2025_A14: 生成AIを用いた子育て相談業務の効率化システム開発プロジェクト


概要

本プロジェクトは、世田谷区をはじめとする都市部自治体で顕在化している子育て関連相談の増加、ならびに手続き業務の複雑化に伴う職員の業務負荷を軽減し、相談支援および行政手続きの質を向上させることを目的として、生成AIを活用した統合的相談支援システムを開発するものである。

現場では、保健師・助産師・医師が個別に相談へ対応しており、相談内容の記録作成に1件あたり約2時間を要するなど、業務の属人化と事務負担の増大が深刻化している。また、子育て世帯が必要とする児童手当、乳幼児医療費助成、こども医療証等の申請手続きは複雑で、住民からの問い合わせも増加傾向にあります。

本システムでは、生成AIを活用した相談内容の自動整理・要約、リスク兆候の自動検知、相談履歴の一元管理、ならびに主要申請手続きのガイドや自動質問応答を実装する。これにより、相談支援業務の標準化・効率化を図るとともに、住民に対してはチャットボットによる迅速かつ正確な情報提供を実現する。

さらに、世田谷区の子ども・若者部 児童相談支援課における業務DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、支援者が本来注力すべき専門的支援に集中できる体制を整えるとともに、地域母子保健における持続可能な支援エコシステムの構築に寄与することを目指す。

背景

・世田谷区は出産数都内最多、先進的な子育て支援自治体であるが、保健所・児童相談の現場では「産後うつや孤立による相談件数が増加」傾向にある。

・東京都医師会は、「地域母子保健の連携とICT活用」の必要性を提言。

・現場では保健師・助産師・医師がバラバラに対応しており、継続的な支援に限界がある。

・対面や電話だけでは見逃しが発生しやすい。

想定クライアント

世田谷区 子ども・若者部 児童相談支援課

・東京都内で出産件数トップ(毎年約7,000件超)

・先進的な子育て支援制度を多数展開している

・産後うつや母親の孤立に関する相談が増加傾向にあります。

課題点

・クライアントの人員に対して、相談数が増加している。

・一件当たりの記録作成に2時間程かかる。

目的

児童手当や乳幼児医療費助成、こども医療証の申請などの複雑な子育て系の申請手続きの事務的負担を軽減し、支援業務に集中できる環境を提供する

目標

生成AIを活用した相談支援および手続き案内システムの導入により、児童相談支援課における業務効率化と支援品質の向上を実現することを目標とする。

相談記録作成にかかる時間を削減し、職員が専門的支援に十分な時間を確保できる体制を構築する。

継続支援が必要な家庭を早期に把握できる仕組みづくりを進める。

保護者が必要な申請手続きや書類に迷わず到達できる案内満足度90%以上を目指して住民サービスの向上にも寄与する。

メンバー・役割

酒井大三:プロジェクトマネージャー

金山陽向:デザイナー

野口丈:デザイナー

酒井聡万:プログラマー

上田遥:プログラマー

ZHANG LEILEI:プログラマー

成果物

開発環境

  • 言語:Dart, JavaScript, HTML, css
  • エディタ:Visual Studio Code
  • データベース:Firebase Authentication, Cloud Firestore, Cloud Storage
  • 使用AI:Gemini API, Vertex AI Search
  • OS:Windows