脂質異常症の予防と食事のポイント
生活習慣病の代表である脂質異常症は、生活習慣(食事・運動・休養・睡眠)の乱れによって起こる疾患です。食習慣の乱れを修正することで、脂質異常症を予防しましょう。
①~④は、食習慣に関する共通のポイントですが、⑤と⑥は、脂質異常症のタイプ別のポイントです。定期健康診断の結果と照らし合わせながら進めましょう。
① 1日の摂取総エネルギー量を抑えて、適正な体重を保ちましょう。
エネルギーをとりすぎて肥満にならないように注意しましょう。
標準体重は、次の式で求められます。自分の標準体重を知っておくとよいでしょう。
(例)身長170cmの人の場合 → 1.7 × 1.7 × 22 = 63.6kg
② 偏らず「栄養バランスのよい食事」をしましょう。
③ 獣肉性の脂肪を控え、魚の脂肪・植物性脂肪をとりましょう。
④ ビタミンやミネラル、食物繊維を多く含む野菜・果実・きのこ・豆・海藻などを多めにとりましょう。
⑤ コレステロールが高い人は、コレステロール値を上げる食品を控えましょう。
動物性脂肪には、コレステロール値を上げる要因となる飽和脂肪酸が多く含まれています。脂身の多い肉、バター・チーズなどの乳脂肪分、卵黄などをとるときには量をとりすぎないように注意しましょう。反対に、植物油、青魚、海藻類、大豆食品などはコレステロール値を下げる働きがあります。
⑥ 中性脂肪が高い人は、砂糖や果物などの糖質と、お酒を減らしましょう。
コレステロール値を 上げる食品 |
コレステロール値を 変化させない食品 (多く含む食品) |
コレステロール値を 下げる食品 |
---|---|---|
肉の脂身 ・ 肉加工食品 卵黄 ・ バター ・ チーズ チョコレート ・ ポテトチップス |
マヨネーズ ・ 低脂肪牛乳 和菓子 ・ レバー 魚卵(タラコ・イクラなど) イカ ・ タコ ・ エビ |
青魚 ・ 大豆食品 植物性油脂 ・ 野菜 果物 ・ 海藻類 |
脂質異常症のおすすめ献立紹介
※1日1539kcalの献立例
朝食
ご飯豆腐の野菜あんかけ ひじきとれんこんの炒め煮 かぶのみそ汁 |
昼食
トマトのリゾット鶏のささみとキノコのマリネ グリル野菜 牛乳 |
夕食
サツマイモご飯鮭のマヨネーズ焼き 白酢和え 舞茸と根菜のみそ汁 |
|||
一日の栄養素量
|
※ここで紹介した献立は、文教大学女子短期大学部の学生が作成・撮影したものです。
管理栄養士からのコメント
① できることから始めましょう
食事療法は、毎日の食生活の中で積み上げて習慣化していくものです。
まずは自分のこれまでの食事全体を見直して、良い点、問題点をあげてみましょう。次に問題点を解決する方法を具体的に考えてみましょう。
ちょっとした工夫の積み重ねが食生活の改善につながります。まずはできることから始めましょう。
② 食欲をそそる献立にする工夫
食事療法は長く続けていくことが大切です。
献立(食品や料理の組合せ)を考える時、彩りも考えるとよいでしょう。赤・黄・緑・黒・白など、材料・調理法とともに頭の中でイメージしてみましょう。また、食器の色で補ってもよいでしょう。
食事のポイントから見た献立の工夫点
① 1日摂取総エネルギー量を抑えるには?
油の使用量を減らす工夫をすると、エネルギー量を抑えることができます。
◆ 揚げ物・炒め物を減らし、網焼き・蒸し焼きなどにする。
◆ 肉の部位は、脂身つきを避け、赤身・ヒレ・ささみなどにする。
今回の献立には、揚げ物は使われていません。また、昼食のマリネに鶏ささみ、副菜のグリル野菜も網焼きや茹でるなどの調理法を選んでいます。これらの工夫により、1日のエネルギー摂取量を1600kcal程度に抑えています。
② 偏らず「栄養バランスのよい食事」をするには?
エネルギーを低くしたことで栄養素のバランスが崩れないように、主食・主菜・副菜を一食ごとに揃えましょう。
◆ 主食 穀類を中心に炭水化物を摂取する
◆ 主菜 動物性食品を中心にたんぱく質を摂取する。
◆ 副菜 野菜・きのこ・海藻類を中心にビタミン・ミネラルを摂取する
今回の献立は、三食とも主食・主菜・副菜をきちんと一品ずつ揃えていますが、調理するのが大変なときは主食と主菜、主菜と副菜を一皿に合わせた形の献立を作ってもよいでしょう。
③ コレステロール値が高い人は?
今回の献立は、コレステロールを多く含む食品をあまり使用していません。また、コレステロールの吸着を防ぐ食物繊維を多く含む食品(根菜類・海藻類)やコレステロール値を下げる効果があるといわれる大豆性食品(豆腐)を取り入れています。同じく効果があるといわれる青魚も積極的に取り入れるとよいでしょう。