文章演習F

年度 2009
科目名 文章演習F
教員名 塚原 政秀
授業概要 分かりやすい文章を書くためには、書くことに慣れることが必要です。たくさんの文章を書くことによって書き方のこつが分かってきます。また、毎日、活字にできるだけ触れるよう努力させます。活字に触れる一番簡単な方法は、毎日、新聞を読むことです。新聞記事は文学作品とは異なり、短い文章で構成されており、5W1Hの中に事実が凝縮されています。読解力を養わなければ、良い文章は書けません。メディアリテラシーを養うためにも作文のテーマはできるだけ新聞を読んでいなければ分からないような今起きている旬の素材を取り上げます。
授業計画 ≪授業ガイダンス≫
作文のテーマは必ず前の週に提示します。2008年秋学期のテーマを参考にしてください。時事問題を中心とするためテーマはそのときに応じて変わります。
解散総選挙
中山国土交通相辞任
要約第1回(金融危機に関する新聞の評論A)
要約第2回(金融危機に関する新聞の評論B)
金融危機
自衛隊航空幕僚長更迭
自己PR第1回
自己PR第2回か大麻汚染
雇用危機
この1年を振り返って
皇室
まとめ
評価方法 出席点重視。出席点40%。あとは授業で書く作文、小論文で評価。A,B,Cの3段階で、特に良くできた場合には「S」を付けます。テストはしません。
教科書
参考書
メッセージ 文章を書くことが楽しくなってくれればしめたものだ。そのためにも思いついたことを必ずメモする習慣をつけよう。素材がなければ、なかなか文章は書けない。メモは文章の源泉である。原稿用紙に鉛筆で書いてもらう。ボールペン、万年筆は不可。辞書類の持ち込みは電子辞書含め可。原稿用紙はB4の大きさのものを必ず持参すること。鉛筆はBか2Bの濃いものでしっかり書いてほしい。
カテゴリー: 2009

確率論

年度 2009
科目名 確率論
教員名 惠羅 博
授業概要 前半は、高等学校までの初等教育で学習した、組み合わせ論に基づく離散的な確率を、体系的に復習する。次の段階として、近代にコロモゴロフによって導入された連続的な量の「測度」の概念を紹介し、それに基づいて定義される連続的な確率の概念を学習する。
授業計画 事象
和事象、積事象
順列
組合せ
離散的確率
定義
条件付確率
独立事象
連続的確率
確率密度関数
確率分布
正規分布
評価方法 学期末試験の成績による。基礎概念の理解ができていればC以上、簡単な応用問題を処理できればB以上、いくつかの重要な定理、公式などを理解し数理的な考察力を習得していればA以上、という基準で出題、採点、評価を行う。
教科書
参考書
メッセージ 確率が数学の中で扱われたのは、17世紀にパスカル達が「賭博」を論理的に考察しようとしたことが始めである言われています。始まりからして極めて現実的な応用を目指しています。確率の概念を知ると知らないとでは、物事の判断基準が大きく変わってくることさえあり得ます。また、誤った確率の知識は危険でもあります。この機会にぜひ、確率の正しい理解に取り組んでください。
カテゴリー: 2009

情報表現・CGI(アニメ基礎)

年度 2009
科目名 情報表現・CGI(アニメ基礎)
教員名 高田 哲雄
授業概要 CGアニメーションはゲーム、映画、CM、教育など様々な場面で活用されています。今やコンピュータ・グラフィックスを無視して現代のアニメーション表現や映画表現を語ることはできません。人間の動きや自然の変化など従来コンピュータ技術では不可能と思えるような複合的な動きに至るまで精緻かつ迅速に表現できる水準に達してきたのです。このような情報メディアの最先端を支えているのが3DCG(3次元空間でのCG)です。最近では実写の映像なのか、それともCGによる仮想の映像なのか全く区別がつかないほどその表現技術は高くなってきています。 この演習では最初に描画を主とする2次元CGを学び、次に3DCGへと順次進みアニメーションの基礎を体験します。
授業計画 コンピュータ・グラフィックス入門:参考作品紹介
アニメにおける2D表現と3D表現の違い
静止画像から動画像へ
演習:手描きアニメ(1) (ペイントソフト)
演習:手描きアニメ(2) (アニメ・ソフト)
手描きアニメ(3) (アクションをつける)
手描きアニメ(4) (キーフレームの補間)
演習:CGで立体を作成(1) (基本形態を3Dで作成)
演習:CGで立体を作成(2) (形態を加工する)
演習:CGで立体を作成(3) (自然な形態を作る)
演習:3DCGで物体を動かす(1) (基本アニメート)
演習:3DCGでカメラを動かす(2) (カメラワーク)
演習:3DCGで照明を変える(3) (照明による変化)
演習:アニメの編集 (編集ソフトの活用法)
プレゼンテーション・合評
評価方法 出席と発表、および提出物を重視します。出席点30%、中間プレゼンテーション30%、最終提出40%
教科書
参考書
メッセージ メディア表現を統合的にアレンジすることのできるトータル・クリエイターが望まれています。そこでは特に”理論”と”実践”の両側面からの総合的能力が求められます。知識のみを目標とするのではなく、実践的価値や感性の価値を重視することを期待しています。
カテゴリー: 2009

安全保障論

年度 2009
科目名 安全保障論
教員名 藤嶋 亮
授業概要 安全保障というテーマは、日常的に関心を集める問題ではありませんが、ひとたび安全が脅かされたと感じると、世論は沸騰し、議論は他のテーマにはない熱を帯びます。しかし、多くの人命を左右するという安全保障の性格から考えた場合、これは危うい態度です。本講義では、バランスの取れた見方を養うために、まず、同盟や集団的安全保障、(核)抑止、危機管理、軍縮・軍備管理、平和維持活動といった、安全保障をめぐる基本的な考え方(概念)について、冷戦期やポスト冷戦期の具体例に即して説明します。その上で、国家間の戦争のみならず、内戦やテロリズム、飢餓や貧困、災害や事故、環境破壊などへの対処を含む、より広い「人間の安全保障」について考えてみたいと思います。
授業計画 ガイダンス/安全保障論とは何か
同盟と多国間安全保障
安全保障の類型
ヨーロッパ:NATO
アジア:「ハブ・スポーク」体制(米中心の二国間同盟)
日本:日米安保条約
核をめぐる問題
核戦略と核抑止:恐怖の均衡
ミサイル防衛(MD)
核拡散のスパイラル
軍縮と軍備管理
核軍縮の展開:SALT、START、PTBT、NPT
大量破壊兵器
「オタワ・プロセス」
国連と安全保障
集団的安全保障と平和維持活動
冷戦期における実践
ポスト冷戦期における変容:「平和への課題」
ポスト冷戦期における安全保障
国連・地域的安全保障機構の変容
9・11と安全保障概念の変化
ポスト冷戦期における日本の安全保障
人間の安全保障
新しい安全保障概念
「危険社会」
評価方法 学期末の筆記試験によって、成績を評価します。
教科書
参考書
メッセージ レジュメを配布し、それに基づいて講義を進めます。したがって、特に教科書は指定しませんが、できるだけ新聞やテレビ、インターネットなどを通じて、最新の情報に触れるように心がけてください。安全保障の問題は、時に極めて厳しい問いを突きつけます。その社会が守ろうとする価値は何なのか、そのためにいかなるコストを払い、いかなるリスクをおかすのか。このような問いに対し、感情論で応じることや、新聞やテレビの受け売りで答えることは容易です。しかし、自分なりの答えを探すためには、知的格闘が不可欠です。安全保障論とは、そのような刺激に満ちた学問です。
カテゴリー: 2009

CALL III(B)

年度 2009
科目名 CALL III(B)
教員名 D.モートソン
授業概要 One of the most fun and fulfilling uses of any language is creative writing and sharing this writing with others. Creative writing allows us to free up our concerns with technical perfection, as in other types of writing such as business correspondence etc., and to let our thoughts flow. This, in turn, will increase our confidence to write in English, improve grammar, and to express our thoughts to others. This class will focus on different writing exercises each week which will be read out to the class in the following week. Different prose and poetry styles will be explored.
授業計画 Course Objectives:
Specifics of the writing exercises will be provided in class. This class aims to enhance writing, speaking and listening abilities and confidence. It also wants to get the creative juices flowing and to get students to be comfortable to express their ideas, impressions and feelings in English.
評価方法 Final evaluations for this class will be based on total performance including attendance, class participation and attitude, homework, reports, and end of term presentations. All aspects of the class will be essential for a good grade.
教科書
参考書
メッセージ With students who are really eager to be creative this course could be very fun and rewarding. This class encourages you to write about anything you want. There are no hard rules in poetry. Please come and create!
カテゴリー: 2009

ゼミナール II

年度 2009
科目名 ゼミナール II
教員名 石田 晴美
授業概要 財務会計の基本的な諸概念、現行会計基準、会計の国際的動向等、教員が与えたテーマについて学生が調べ発表する形式とテキストの輪読を交互に行う。各テーマでは、基本書・参考書の他、各種会計基準等の原本に必ず触れることを心がけている。全体として財務会計の理解を深めていくことが目的である。ゼミ在籍中に日商簿記3級に合格することがゼミ生に課せられる最低限の課題である。
授業計画 財務会計テキスト輪読
ゼミ生発表テーマ
会計基準のコンバージェンス
リース会計
減損会計
税効果会計
退職給付会計
金融商品会計
外貨換算
企業結合
新株予約権付社債・ストックオプション
キャッシュ・フロー計算書等
工事契約に関する会計基準
資産除去債務
内部統制報告制度
棚卸資産評価
評価方法 ゼミナールへの参加、授業への取り組み、課題の提出、日商簿記3級の資格取得等により評価する。無断欠席は認めない。
教科書
参考書
メッセージ ゼミは、学生自らが調べ考え、発表する場であることを肝に銘じてください。日商簿記3級程度の簿記の知識があることが前提ですが、「これから会計を学びたい」、「ゼミ在籍中に日商簿記3級に必ず合格する」という意志があれば、ゼミ入室にあたり、必ずしも十分な会計の知識の有無を問いません。将来、公認会計士・税理士等の会計専門職を希望する、あるいは興味がある学生を歓迎します。
カテゴリー: 2009

データモデリング(E)

年度 2009
科目名 データモデリング(E)
教員名 関 哲朗
授業概要 データベースに基礎をおく情報システムにおいて,開発対象となる業務=現実世界を分析し,そのモデル化,システム化を適切に行うことは,とても重要なことです.本講義では,この中でも特にデータのモデル化に理解の軸足を置きながら学習を進めていきます.「データベース」で学習した内容を一歩進めるとともに,いくつかの事例を見ながら情報システム構築におけるデータモデリングの役割について確認していきます.
授業計画 ガイダンス
この講義の計画と概要をお話しします.
※以下の計画は,進捗によって前週の内容に触れたり,内容が変更になることがあります
データベースとデータモデル(テキスト第1部第1章)
データベースの役割を復習するとともに,データモデルの意味,データモデリングとは何をすることか,リレーショナルデータベースとの関係などについて概観します.
データモデリング入門(テキスト第1部第2章) その1
この回から4回分の時間を使って,データモデリングの基本的な方法を学習していきます.
エンティティをまとめ,ER図を作成するといった「データベース」での学習を確認するとともに,正規化の技法について演習を含めて学習を行います.
データモデリング入門(テキスト第1部第2章) その2
第3回の続きです.
データモデリング入門(テキスト第1部第2章) その3
第4回の続きです.
データモデリング入門(テキスト第1部第2章) その4
第5回の続きです.
データモデリングの実際(テキスト第1部第3章)
テキストの第2章の内容を元にした,ややアドバンストな内容について触れていきます.
<例題学習>商品管理(テキスト第2部第1章)
この回以降は,テキストに示されている事例をもとに,当該システムの一般的な特徴,性質などを知り,そのデータモデルを作成することを学んで行きます.
理解の状況に応じて,6つの例題の内のいくつかを選択して講義する可能性があります.
<例題学習>在庫管理(テキスト第2部第2章)
<例題学習>販売管理(テキスト第2部第3章)
<例題学習>購買管理(テキスト第2部第4章)
<例題学習>取引先管理(テキスト第2部第5章)
<例題学習>会計管理(テキスト第2部第6章)
総合演習1
総合演習2
評価方法 出席や演習の状況と期末試験の成績を総合的に評価します.
教科書
参考書
メッセージ データベースは多くの情報システムで中核的な役割を果たすようになってきています.データベースの構築に興味がある人はもとより,将来SEとして活躍しようとするひとにとっても,情報システム設計の基礎になるものです.この授業は,「データベース」の受講を前提としています.講義内でも復習を行いながら進めていきますが,ER図の描き方,正規化の方法などについては,事前に復習しておくことと良いでしょう.
カテゴリー: 2009

コンピュータ概論

年度 2009
科目名 コンピュータ概論
教員名 八ツ橋 武明
授業概要 パソコンの普及、コンピュータと通信と放送の融合があり、コンピュータはコミュニケーションのメディアとして急速に普及しつつある。インターネットにその典型例を見るが、新参の社会的なメディアには、ほとんどコンピュータが介在し、デジタル情報を処理・通信する社会基盤が成長している。このような社会基盤の成長は、今後の我々の生活やメディアシーンに大きな変容を迫るのは必至である。この様な社会現象をよりよく理解するためには、デジタル情報の表現と処理の技術的な基礎知識を欠くことは出来ない。 そこで当授業では、様々な形態の情報がデジタル表現される仕組み(情報表現のアルゴリズム)を学び、コンピュータがこれらの情報を処理するソフトウエアの体系とプログラミングの役割を学ぶ。次に実習では様々なソフトウエアを利用して、各種情報を実際に作成・ファイル化し、情報圧縮方法と情報品質の関係を学ぶ。またこれらの情報ファイルをHTML言語で記述して、マルチメディア的に利用する仕組みを修得する。 さらにプログラミング言語のJAVAスクリプトを用いて、自分で記述したアルゴリズムに基づいてプログラムを動かし、プログラム利用の効果を学ぶ。以上の学習によって、デジタル情報の表現と処理の仕組みを学ぶが、これらの知識は諸君がよりよいコンピュータとデジタル・メディアの利用者となる際にも欠かすことの出来ないものである。
授業計画 毎回プリントを配布し、また適宜課題を課す。
ガイダンス:メディア分野におけるデジタル化の進展動向(講義)
デジタル情報表現のアルゴリズム:情報と符号化(講義)
文字・記号の符号化と各種コード(講義)
PCM(パルスコード変調)による音声の符号化と各種音声ファイル(講義)
画像の符号化と各種画像ファイル(講義)
映像の符号化と各種映像ファイル(講義)
コンピュータの命令語とソフトウエア(講義)
コンピュータ・システムとソフトウエアの体系:OSとアプリケーション(講義)
アルゴリズムとプログラミング(講義)
タグをもちいたHTMLプログラミングの表現の基礎(実習)
スキャナとデジカメによる各種形式の画像作成とHTML表現(実習)
音声の各種形式のファイル作成とHTML表現(実習)
JAVAスクリプトによるアルゴリズム記述法(実習)
JAVAスクリプトによるプログラミング(1):文字と背景色の変更(実習)
JAVAスクリプトによるプログラミング(2):各種ウインドウの制御(実習)
評価方法 評価は期末試験(約70%)と授業実習課題(約30%)にそれぞれを得点化し、合計値で評価する。
教科書
参考書
メッセージ この授業は、情報表現系を指向する学生だけを対象としたものではない。今後のメディア現象を理解する、コンピュータをより便利に使うことを意図している学生諸君の履修を勧めたい。2セメの「コンピュータと通信」を受講する人は、必ずこの授業の受講が必要です。また「情報」の教職をとる人には履修は不可欠です。
カテゴリー: 2009

異文化交流演習

年度 2009
科目名 異文化交流演習
教員名 野呂田 純一
授業概要 国際理解を深め、地球市民としての資質を涵養するには普段の生活の中で自分が行動する地域をよく知ることが大切である。 地域社会と人間は決して無関係ではなく、自分のこれまでの歩みや自分の個性を少し外延したところに郷土(地域)史・地域学があり、両者は少なからず関わり合っている。そして、それらを知り、体感することは海外に赴いた時に異文化を正面から認識できるための一つの大きなツールとなる。異文化を尊重し、地球大で物事を考え、行動できるようになるには、まずは学生自身が居住したり、頻繁に足を運ぶ横浜という地域への認識を深めるとともに、そこに愛着を持つことが大切である。地球市民としての資質として異文化への共感性や寛容性が重要であるが、その二つは地域を含めた自文化への理解と愛情を基盤にして生まれる。 本演習は学生が、横浜史・横浜学の内容を実際にフィールドワークすることにより、横浜という地域を体感的に理解し、愛着を持つことを目的とする。具体的には横浜のみなとみらい、関内、元町、山手地区の四地域を対象として、アーカイブとメディアという視点から博物館・資料館・記念碑・建築物を中心に読み解いていき、それらが観光やまちづくりの現場でどのように生かされているかを学ぶ。最後にグループごとに既存のパッケージツアーよりも横浜観光を三倍面白くするツアーを企画してもらい、プレゼンテーション(展覧会やパンフレットの作成も含む)を行ってもらう。
授業計画 <4月>サブテーマ「横浜のアーカイブ化」
(1)横浜市概論、横浜学について
(2)博物館(資料館)について:フィールドワーク(第1回) 対象:山手地区
(3)記念碑について:フィールドワーク(第2回) 対象:山下公園
(4)建築物について:フィールドワーク(第3回) 対象:関内地区
<5月>サブテーマ「横浜のメディア化」
(1)錦絵について
(2)旧居留地の外国語新聞について
(3)横浜写真について:フィールドワーク(第4回) 対象:関内地区
<6月>サブテーマ「横浜イメージとまちづくり」
(1)横浜の観光史について:フィールドワーク(第5回) 対象:元町
(2)外国につながる横浜市民について:フィールドワーク(第6回) 対象:中華街
(3)建築物の再生利用について:フィールドワーク(第7回) 対象:みなとみらい地区
(4)創造都市について フィールドワーク(第8回) 対象:関内地区
(5)プレゼンテーションの仕方について
7月 サブテーマ 課題「横浜観光を三倍面白くするツアーとは何か」
(1)プレゼンテーション(第1回)(2)プレゼンテーション(第2回)
評価方法
教科書
参考書
メッセージ
カテゴリー: 2009

国際法

年度 2009
科目名 国際法
教員名 中田 達也
授業概要 文教大学湘南校舎に縁あって3年が過ぎた。本年度は、4年目に入る。どうしたらより多くの学生に国際社会の諸問題に関心をもって貰えるかについて、国際法を位置づけて考えている。国際法とは、一般に、国際社会を規律する規範の総体である。そこでいう国際社会の意味を、ともに考えてゆきたい。そこで形成され、具体的な事象に適用される国際法の対象範囲は、およそ新聞の国際面でみることのできるほとんどの分野に及んでいる。だから、何が国際法かについては、基本を押さえる必要がある。そこでいう基本とは、次の3点に尽きる。
(1)国際法とは、どのように作られるのか(これを定立(ていりつ)という)、(2)それが、いかなる機関によって具体的な問題にどのようにあてはめられるのか(これを適用(てきよう)という)、そして、(3)国際法を適用した結果、それをどのように国が守るのか、または守らせるのかの問題(これを執行(しっこう)という)、である。この3つの柱に「国際法とは何か」という問題を常に考える思考が貫くことになる。この思考によって、国際法が学問分野として規律する範囲が異なってくる。実際、書店や図書館に行っても、国際法と題名のついた書籍は本当にたくさんある。ヤフーの本のページや、紀伊国屋等のページをクリックして国際法と入れて新しい順でみても、実に多くの書籍が出版されていることが分かるだろう。そのそれぞれが、取り扱う範囲も量も異なっている。この点、欧米の国際法のテキストには1,000ページを超えるようなものも多く存在している。
こうした中、本講義では、講義を全体として前半と後半に分ける。前半は、上記3つの国際法の柱を「国際法とは何か」という問題を考えつつ、進めてゆく国際法総論の講義である。そして、後半は、前半の総論を踏まえ、トピック制といって、1話完結の形式で、ある一つの具体的な国際法問題を取り上げ、それに解説を加えながら議論を展開してゆくものである。とりわけこれまでの国際法の講義で重視してきたのは、ある個別の問題を全体の中に位置づけて論じる「空間把握能力」の構築である。本校において私の講義を聴いた学生には、これを「全体把握能力」と名づける者もいる。これは、前半で述べる国際法の総論の中に、トピック制で取り上げる個々の問題をどのようにして位置づけてゆくかという能力である。そのためには、個々の問題も重要であるが、本当に重要なのは前半の「国際法総論」と考えている。
こうして、全体の中に個々の問題を位置づける能力を向上させるのに最も適すると考えるものが、本講義の方法論となる。それは、1,500字の論述問題を完成させることである。具体的には、後半のトピック制のうち任意の設問を一つ選定し、それについて所定の文字数の論述文を完成させることを目的とする。それが高い評価を受けるためには、その選定した問題が国際法全体の中でどのような位置づけにある問題であるのかという基本を押さえることである。これまで3年間、文教大学の学生の論述作成をつぶさに見てきたが、この点をクリアするのが最も難しいということを痛感している。そのため、よい論述答案を完成するには前半「国際法総論」の講義でどれほど集中できるかにかかっているといっても過言ではない。そこで習得する理解の上に、個々の問題の理解をのせてゆくことになるからである。これまでAAやAをとる学生には、圧倒的に講義を休まない学生(実施される添削に果敢に挑戦する学生)が多かった。そうした学生と、単に単位を取れば良いと考える学生との間における、最終的に示される論述答案のレベルには、もはや埋めようもないほどの差が生じる。それを浮き彫りにするために、本年度は出席を頻繁にとる。その出席を評価にどのように加えるかは、講義中に伝える。そして、講義の前半でも後半でも、論述の仕方を詳細に伝えてゆく。その際、これまでの提出されてきた優秀答案を明示し、何がどう優れているのかも解説して、本学に宝石のような学生が多くいることを実証したい。本講義では、これまでの学生からの要望を可能な限り反映しているし、今後の学生の意見も反映させてゆく。その意味で、私たちで心地よい緊張感ある「共有の空間」を創ってゆく。実際、これまでの軌跡は、ブログ「ひさしde勝負」に残されている。限界能力を出して向上を求める学生との新たな出逢いを願って止まない。
授業計画 教育支援課にお問い合わせ下さい。
評価方法 原則として、1,500字の論述答案を評価対象とする。加えて、出席状況をその答案に加味して最終的な評価を行う。
教科書
参考書
メッセージ 本講義には、単位に関係のない学生でも聴きに来てくれる学生もいる。講義を通じて、たくさんの学生と思い出を作ってきた。正門近くの木の机でも、カフェテリアでも、講義室でも、テラスでも、多くの質問に答えてきた。今年も、教室で「共有の空間」を創ってゆきたい。この出逢いをいつまでも大切に守ってゆきたい。
カテゴリー: 2009