安全保障論

年度 2009
科目名 安全保障論
教員名 藤嶋 亮
授業概要 安全保障というテーマは、日常的に関心を集める問題ではありませんが、ひとたび安全が脅かされたと感じると、世論は沸騰し、議論は他のテーマにはない熱を帯びます。しかし、多くの人命を左右するという安全保障の性格から考えた場合、これは危うい態度です。本講義では、バランスの取れた見方を養うために、まず、同盟や集団的安全保障、(核)抑止、危機管理、軍縮・軍備管理、平和維持活動といった、安全保障をめぐる基本的な考え方(概念)について、冷戦期やポスト冷戦期の具体例に即して説明します。その上で、国家間の戦争のみならず、内戦やテロリズム、飢餓や貧困、災害や事故、環境破壊などへの対処を含む、より広い「人間の安全保障」について考えてみたいと思います。
授業計画 ガイダンス/安全保障論とは何か
同盟と多国間安全保障
安全保障の類型
ヨーロッパ:NATO
アジア:「ハブ・スポーク」体制(米中心の二国間同盟)
日本:日米安保条約
核をめぐる問題
核戦略と核抑止:恐怖の均衡
ミサイル防衛(MD)
核拡散のスパイラル
軍縮と軍備管理
核軍縮の展開:SALT、START、PTBT、NPT
大量破壊兵器
「オタワ・プロセス」
国連と安全保障
集団的安全保障と平和維持活動
冷戦期における実践
ポスト冷戦期における変容:「平和への課題」
ポスト冷戦期における安全保障
国連・地域的安全保障機構の変容
9・11と安全保障概念の変化
ポスト冷戦期における日本の安全保障
人間の安全保障
新しい安全保障概念
「危険社会」
評価方法 学期末の筆記試験によって、成績を評価します。
教科書
参考書
メッセージ レジュメを配布し、それに基づいて講義を進めます。したがって、特に教科書は指定しませんが、できるだけ新聞やテレビ、インターネットなどを通じて、最新の情報に触れるように心がけてください。安全保障の問題は、時に極めて厳しい問いを突きつけます。その社会が守ろうとする価値は何なのか、そのためにいかなるコストを払い、いかなるリスクをおかすのか。このような問いに対し、感情論で応じることや、新聞やテレビの受け売りで答えることは容易です。しかし、自分なりの答えを探すためには、知的格闘が不可欠です。安全保障論とは、そのような刺激に満ちた学問です。