専門ゼミナールⅠ[CM]

年度 2005
科目名 専門ゼミナールⅠ[CM]
教員名 藤巻 光浩
授業概要 越境することとは、境界線を越えることを意味します。何かの境い目を越えることなのですが、これは、決してパスポートを利用して国境を越えていくことではありません。パスポートを利用して、国境をこえることは近代国民国家の論理の内側にいることを意味します。フランス革命終了時に、このパスポート制度は、生まれました。それ以後、近代国民国家の境界を遵守するために、この制度は維持させられてきたのです。近代国民国家が誕生したのが、フランス革命を契機とすることは、パスポート制度が生まれたことと無縁ではないことが良く分かるでしょう。 みなさんには、今自分が持っている所属感から自由になって欲しいと思っています。「日本語」を話す「日本人」であるとか、「日本文化」を賞賛する「日本人」であるとか、みそしるをおいしく感じると「日本人」でよかったと思うとか --- このような等式を当たり前のものとして考えすぎることが多いと思います。 しかし、わざわざ「日本人」として所属感を持たなくても、楽しいことはできます。もしかしたら、このようなことを当然のものと思うことによって、このシステムの強化に参加してしまっていることもあるのかもしれません。また、誰かを傷つけていることもあるかもしれません。「私たちは」、この所属観から自由になることの意味を真剣に考えるべきでしょう。これは、所属観を持つな、という意味ではありません。これを別の形で捉えることにより自由になることができるのではないかと考えています。このゼミでは、このようなことをテーマにしています。 もう一つ付け加えるならば、この所属観を捉え直そうとする際には、必ずコミュニケーションの問題が関わってくるということです。断言してしまえば、これは本質的なコミュニケーションの問題でしょう。味わう、話す、書く、観る、見る、触る、きく、覚える、思い出す、仲良くなる、けんかする、議論する、住む、すてる、出す、なく、などのさまざまな私たちのコミュニケーション的行為と深く関わっているのです。コミュニケートすることによって、「何々人」になったり、この枠組みの外に出ることができたりします。その方法を模索するのが、このゼミであると言っても過言ではないでしょう。みなさんも、コミュニケーションを通じて、越境してみませんか?
授業計画 詳細なシラバスを授業時に配布する。また、ウェッブサイトでも公開しているのでそちらでもチェックすること。(http://open.shonan.bunkyo.ac.jp/~fujimaki/)
評価方法 課題提出と参加がすべてです。期日を守りましょう。尚、藤巻ゼミは卒業研究が必修です。
教科書
参考書
メッセージ 他の大学との合同ゼミがあったり、研修旅行があったりします。楽しく研究したい人を求めています。それは、勉強を通じて友人を作るということを意味しています。とにかく、コミットメントを求めます。