文学

年度 2009
科目名 文学
教員名 小林 千草
授業概要 世界無形文化遺産となった「能楽」のうち、「狂言」は、芸能であるとともに、台本が存在するので戯曲・脚本でもある。戯曲は、広義の文学である。今回は、会話劇である「狂言」に描かれた女性のことば、生き方を手がかりに室町時代の女性の在り方を知るとともに、コミュニケーション相手である男性の実態をも把握していきたい。600年~400年前の男女のコミュニケーションがどのように変化したかは、現代のTVドラマ・映画・小説のそれと具体的に比較すれば、ある程度の軌跡は描くことができる。変わった点、変わらぬ点を見つけ出すことが、今後の自分たちの現実社会に役立つ智恵となるものと思う。また、「狂言」が喜劇であることに鑑み、ユーモア小説や現代喜劇(戯曲・脚本)、“お笑い”と比較しつつ、それらの有する社会風刺性やカタルシス(癒し効果)などについても考えていきたい。なお、「狂言」会話の裏にひそむ人間の心理についても、文学的分析を試みたいものと思う。
授業計画 1.講義ガイダンス ○文学とはなにか-先入観と限界を越えて ○テキト・ 参考書などの紹介
2.自己の文学体験をふりかえり、他人の文学体験・文学観を聞こう( I )
○テキスト導入 I ――「狂言」とは? 室町時代とは?
3.自己の文学体験をふりかえり、他人の文学体験・文学観を聞こう( II )
○テキスト導入 II ――テキスト所載の写真から「狂言」に親しむ
4.~5.湘南・鎌倉・横浜の文学風土に親しむ( I )~( II )――地図上の文学散歩
○テキスト導入 III ~IV――実際に狂言のビデオを観て楽しもう!
6.テキストを男女の生き方・心理・コミュニケーション史という観点から読む( I )
7.テキストを男女の生き方・心理・コミュニケーション史という観点から読む( II )
8.テキストを男女の生き方・心理・コミュニケーション史という観点から読む( III )
9.テキストを男女の生き方・心理・コミュニケーション史という観点から読む( IV )
10.テキストを男女の生き方・心理・コミュニケーション史という観点から読む( V )
(各自の愛読する近現代文学との比較などが小課題として出されることがある。)
11.狂言「武悪」の描く雇用関係の悲哀・不条理と近現代文学
12.狂言「布施無経」「釣狐」の描く人間心理の深淵と近現代文学
13.文学におけるユーモア・喜劇的要素とは
――漱石『我輩は猫である』『坊ちゃん』等
14.まとめ――あなたにとって、文学は何であろうとするのか(将来への展望)
評価方法 出欠票の代わりに、アンケート・質問に答える形でのミニレポートを実施し、その積みかさね(1)を、期末試験(2)と合わせて総合的に判断して評価する。やむをえず欠席した者は、自主レポートの提出が望ましい。また、テーマを深めるために小課題を課すことがある(3)が、逐次、総合評価に組み込まれていくので、努力はむくわれることになる。成績評価は、(1)(2)(3)を総計して、最終的に100点で換算するが、「質問に答える形でのミニレポート」は時間内で真剣に取り組み、質問意図に応じた内容であればA評価、「テーマを深めるための小課題」は、締切日を守り、形式に不備がなく出題意図に応じた内容であればA(特に優れた内容だとAA)であり、内容不足や取り組み意欲の薄さに応じて、B~Cへと評価が低下する。欠席や小課題未提出が続くと、(1)(3)が加えられないので、D評価になる可能性もあり、各自気をつけるように。
教科書
参考書
メッセージ 文学を理解する第一条件は、柔軟な感性です。感動する心を忘れないで教室にのぞんで下さい。