リトルサイゴン"V-POP"探訪記





--第話--

ダウンタウンのベトナム語
サンノゼ・ダウンタウンは、ちょっとした碁盤の目になっていて南北に向う2本のストリートがモールになっている。ちょっと古いアメリカを模した新しいモールは清潔感がある。お洒落なカフェが並んでいて、夕方になるとどこからともなくジャズの演奏が聞こえてくる。昼間はやや人通りの少ないストリートも、夕方になるとスーツ姿の人々で溢れている。ヨーロッパ調の作りの教会や建物がところどころにあり、少し離れにはいくつかの高層ビルが並んでいる。

カリフォルニア・クージン!サンノゼを食べよう!(http://www.sj-downtown.com/dining.htm)

チケットを無事確保した僕はここダウンタウンで2泊して、ぼ〜〜っと街を散策。照り付ける太陽に、カリフォルニア・フルーツのシェイクが美味しく、公園で水浴びする子供たちの陰が濃い。なんていい休日だろう。

ダウンタウンを横に貫くメインストリートを歩くと、さっそくベトナム語の看板を見つけた。ベトナム料理店だ。ちょっと歩くとこうしてあちこちにベトナム語を見ることができる。

ちょっと食材店に入ってみると、そこは何でも屋のようで、ベトナムの国の形をした時計やら壁飾りのようなの小物、新聞雑誌などが並んでいる。ニョックマムやフォーや各種野菜、コメもある。フルーツジュースは中国産が多いようだ。ラジオからはベトナム語が流れている。アメリカでよく見かける普通のなんでも屋だが、売っているものを見るとすっかりここはベトナムだ。

路上の新聞販売機には英語の新聞と並んで、ベトナム語の新聞が置いてある。といって周囲がベトナム関連のお店ばかりというわけではなく、お隣は英語で家具屋と書いてあるような、そんな感じで、街の風景の一つに馴染んでいるのだった。ところどころにアリーナコンサートのポスターも貼ってあって気分が盛り上がってくる。

時間はたっぷりある。夕方は8時半ごろまでは日が沈まないのだった。美術館で絵を見たり教会でミサに参加してみたり。僕はクリスチャンではないけれど、海外で教会に入るとなんとなく異国情緒が増すので好きだ(失礼(^^)::)。

SJMA サンノゼ現代美術館(http://www.sjmusart.org/)は「水」の特集だった。

暑いし髪の毛が伸びていたので美容院に入ってみた。たくさん注文しても、間違った英語でとんでもない髪型になったら大変なので、「このままの形でちょっと短くさっぱりとね」と。しかし、びっくりしたことに、濡らすこともなく、いきなりバリカンで後ろからジャギーーンと。ちょっとビビる僕。

ところで静かにしていたからか美容師さんは「Are you speaking Vietnamese?」と聞いてきた。へえ、こういう表現もあるんだなあと思う。アメリカにいて「Are you Vietnamese?」と聞くのも変だし、あえて「Vietnamese-American?」とハイフン付きにするのもそぐわない感じだ。年齢を考えても「from」ではそぐわないのかもしれない。それに美容師さんだって英語を話しているがヒスパニックに見える。いろんな人がいる国の相手のことの尋ね方は面白いものだ。たいてい僕はどこへ行っても「ベトナム人?」と聞かれるので、面白いので成りきってみたりするが、まだ勉強不足のベトナム語を「話す」というには気がひけたので正直に日本語を話すと言った。

髪型は元の通り短くという訳にはいかなかったが「クール!」になったと言われ、なんとなく満足。10ドル。安い!

お金を払うとき、どこかで聞き覚えがあるような英語を耳にした。ふと顔を見ると、え?ベトナム人?.....周囲を見渡すと、髪を切ってくれた人以外はみんなアジアンだ。僕は「Are you speaking Vietnamese?」と聞かれた訳がやっと分かった。

サンノゼでは何度かこういったことがあった。

靴屋で靴を買った時もそうだった。

旅行の直前までなんの準備もしていなかったため、ジーンズとTシャツぐらいしか持ってこれなかった。以前見たベトナムポップスのコンサートのビデオでは、写る観客はみなお洒落をして静かに聞いていたので、浮いてしまってもなんだなあと思い、シャツと靴を探していた。

靴屋さんははじめから僕にベトナム語で話し掛けてきた。少しは勉強していたので、まったく分らないわけではなかったが.....

「ここにあるものは****で25ドルで安い、こっちは******で****だから35ドルだね。あなたは****??」(**部分は分らない...数字と場所と代名詞しか分らない僕....)

この店もベトナム人のお店という看板は出ていなかったけれど、お店はベトナム人の経営だ。

ベトナム人が広い街の中に点在するように生活しているダウンタウンの街はリトルサイゴンではない。サンノゼに住むメルトモは「ベリー・リトルサイゴン」ならあると言っていたけれども、使い古された言葉で言うなら、いい意味でのアメリカ的統合のなかにコミュニティーがあるように見える。

州立大学の側にはちょっとしたベトナム・ストリートもあった。食材店、レンタルビデオ、法律事務所、歯医者、美容院、カフェ、ビリヤード場....などなど。もう一つサンノゼの「ベリー・リトルサイゴン」はダウンタウンから10キロほど離れた場所にある。コンサート会場で教わったこの場所はまた後ほど訪れるのでまた。

サンノゼ州立大学の中は緑いっぱいの公園のよう!(http://www.sjsu.edu/)。

ちょっと感動したのは、ダウンタウンを走る路面電車に乗った時のこと。料金表やドアの開け方などの表記に、英語/スペイン語に加えてベトナム語があったのだ。人の多さに応じたこうした公的表記言語のフレキシビリティは日本にも欲しいものだと思える。

Sant Clara Valley Transportation Authorityのホームページはこちら!表紙にはさわやかな駅舎の風景が.....(http://www.vta.org/)。

--第話--

ダウンタウンのベトナム語


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