--第十九話--

フィナーレ




T氏とM氏はこの長時間のステージに「疲れた」といって最後Y Lanのステージの前に帰ってしまった。僕も玄関まで送りがてら休息を。ステージ間のMCはほとんど分らないから、さすがに4時間半連続ではボーッとしてくる。途中ハプニングらしきことはほとんどなかったが、MCが紹介しても幕があがらないとか、ちょっと疲れ気味なのであろうか、Duyenが歌手の名前を忘れてしまったことなども。特に問題なしの出来事だ。

トリを飾ったY Lanは母を歌手のThai Thanh、父を映画俳優のLe Quynhに持つ女性歌手。親の七光りとは縁なく、落ち着きはらったパフォーマンスと音域の幅、音程の正確さ、感情溢れる表現力、なにをとっても素晴らしいシンガーだ。どのアルバムを手にしても高品位なサウンドクオリティーを期待できる。前述のPham Duyの曲を歌うことも多い。今回もステージはゴージャスさと落ち着いた音楽的魅力の同居がよかった。

よくこうしたコンサートの最後は、歌手がひとりづつ歩いて出てくることが多いが、その代わりに今回はなんとニュー・デザインのアオザイ・ファッションショーが行われた。これまで出演した女性歌手が、斬新なデザインのアオザイを着て、パリ・コレよろしく二人ずつ登場して、ステージ前方に歩いてひと回り。歌手の違う見方ができてうれしい。といってもこれまでも外見で買ったCDも数知れずの僕だが......。

これがアオザイかっ?!と思わせる袖のないドレス調のものあり、モダンな柄ものありで、目を楽しませてくれる。トラディショナルにトラディショナルをかけ合わせるものよりも、モダンをかけ合わせたもののほうが多いようだった。最後にはデザイナーも登場。まさにファッションショーだ。

それが終ると男性歌手が入場した。天井から風船が落ちて、子供がステージに上がって、フィナーレを迎えた。

僕のV-POP探訪ももうすぐフィナーレだ。本当に楽しかった!



--第十九話--

フィナーレ


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