2009年4月に発刊されたこの本は、法政大学の藤田真文先生と同じく法政大学の岡井崇之先生が編集した書籍です。
本書の序論で、編者の岡井先生は、「いままでのメディア分析は・・・いかに美しい分析結果を導き出したか、新たな発見があったかが重視され・・・分析や考察、それに至るまでのプロセスは『見せるものではないもの』とされ、なかなか読者がアクセスできるようなところに出てこなかった」と述べています。この「見せるものではないもの」を見せ、メディア研究者がこれまで明かしてこなかった、いわば手の内を存分に見せてみよう、というのが教科書としての本書のねらいの一つだと思います。
目次をみてもお分かりのように、多様なメディアの分析事例が掲載されています。またそれぞれのサブタイトルに「○○学」「○○論」とあるように、研究アプローチは非常に多様で、メディア研究だけではなく広く学ぶことができ、同時にメディア研究を行う上での学習視座を身につけることができるような構成になっています。さらに、各章は、大学の授業に対応するように、10数週分のどの週にどの部分を読み、何を学び、そしてどう「実習」すればよいのか、ガイドがされており、教科書に実践的に用いられるように編集がなされています。
日吉は、本書では第五章の「エスニシティの表象と『外国人』イメージ ~CMの世界の人口統計学」という部分を執筆し、メディアの「内容分析」の方法について、解説しています。
藤田真文先生には、常日頃からご指導いただいておりますが、2005年度には法政大学社会学部の「メディア分析実習」の非常勤講師を担当させていただきました。本書の私の執筆部分は、この授業を受け持った際の経験が大きく影響していると思います。ゼミ形式の授業では、「テレビジョンのメッセージ分析」という報告書も作成し、熱心な学生さんに囲まれました。改めて感謝の意を表したいと思います。また、企画時から、本書の著者が集まって研究会を開いてきました。貴重なご意見をくださったみなさまに心より感謝申し上げます。
2009年 日吉昭彦
日吉 昭彦
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