年度 | 2008 |
---|---|
科目名 | 国際関係史 |
教員名 | 林 薫 |
授業概要 | 本講義では国際関係の歴史を学びますが、支配者、政治的リーダー、外交官のレベルでの協調と対立、合従連衡、権謀術数というだけではなく、一般市民の視点から国際関係の歴史的変遷がどのような意味を持っていたのか、また生活者がどの程度国際関係の変化に力を及ぼすことができたのかを見ていきたいと思います。これを考える媒介項として、安全保障確保、交通インフラ網、情報(言語)、制度(市場やルール)などの「国際公共財」を見ていきます。これらの「国際公共財」は人々を結びつけるために極めて重要ですが、同時に誰がどのように供給するかについては、その時々の国際関係に大きく左右されるからです。この授業を通じて、国際社会を安定させ人々の暮らしを支えるためには何が必要か、そのために自分はどのように貢献できるか、という基礎的な認識とそれを支える知識の修得を目指します。後半部分では、「国際公共財としての援助」というテーマを掘り下げます。開発援助を通じて世界中の人々がいかに安全で安心できる生活を送ることができるかについて、グローバリゼーションの深化という状況を踏まえて考えます。また、日本が政府や市民などを通じて援助などを通じてどのように国際公共財を提供できるかについて考えます。 |
授業計画 | 国際関係の歴史的展開と国際公共財(国際公共財の考え方、覇権国家と国際協調) 古代の国際関係の展開。ギリシアとローマ ローマの平和。公共財としての物的インフラ(道路、水道など)、制度的インフラ(法律、貨幣、度量衡など)、コミュニケーション。インフラ(言語) アジアの大帝国と東西通商ヨーロッパの拡張 世界資本主義の形成(16~18世紀):公共財供給者としてのオランダの役割。国際貿易と重商主義、大航海時代のヨーロッパ大国、絶対王政と革命、商人資本と殖民主義、大国覇権の交替(オランダ→英国) 英国の時代:世界の工場としてのイギリス、パックス・ブリタニカの外交、英国資本主義と自由主義、アジアと英国 帝国主義時代:重工業化と資本蓄積、交通網の発展 パックス・ブリタニカの終焉、20世紀初めの大国と外交、第一次世界大戦、ワイマール共和国の成立 戦間期:ウィルソンと国際協調、大恐慌と30年代のブロック化 国際協調の挫折 第2次世界大戦と戦後体制 パックスアメリカーナの成立 社会主義の70年:ソ連の成立と共産党支配体制、1920年代の国際経済、東西冷戦と社会主義、社会主義の行き詰まり、市場経済移行 日本の戦時体制と戦後の経済発展 冷戦時代とその終結 安全保障体制の変遷 パックスアメリカーナの動揺 冷戦後の世界:国連主導と単独主義、グローバリゼーションのリスクとその制御 第2次世界大戦後の国際制度:さまざまな分野における国際協調、制度的・物的インフラ整備と私たちの生活との関係 第2次世界大戦後の経済秩序の形成と援助) ブレトン・ウッズ体制 援助の基礎知識 国際公共財としての援助 援助の変遷(1) 国際援助体制の成立 援助の変遷(2) 日本が世界最大の援助国だった時代 援助の変遷(3) 冷戦後の援助 グローバルイシューへの取り組み 援助に何が可能か? (1) 貧困削減 援助に何が可能か? (2)インフラ開発 援助に何が可能か? (3)人間開発(Capacity Development) 援助に何が可能か? (4)コミュニティーの開発と生計向上 援助と貿易・投資 国際的な援助と知識、経験の共有と蓄積 OECDの役割 援助協調 (援助に援助国の「旗」をつけるべきか?) 21世紀の公共財とその供給:自由貿易、貧困削減・南北格差解消、環境・地球温暖化防止、防災、人間の安全保障、人類の遺産の継承 |
評価方法 | 出席(50%)、レポートもしくは試験(50%)で評価します。レポートや試験の実施方法については授業中に指示します。授業への貢献(プラス面=よい質問等、マイナス面=私語等)も考慮します。 |
教科書 | |
参考書 | |
メッセージ |