コミュニケーションと文化

年度 2005
科目名 コミュニケーションと文化
教員名 藤巻 光浩
授業概要 私たちの世界は、戦争・虐殺などによる暴力に満ち溢れてきた。それらの事件を反省する意味を込めて、様々な取り組みが行われて来たし、また行われようとしている。なぜそのような事件が起こってしまったのか、どのようにしたら防ぐことができたのか、死者に対する鎮魂は充分になされているのか、犠牲者に対する補償はどのように行えばよいのであろうかなど、多くの問題を抱えてきた。何よりも大切なことは、私たちはどのようにこれらの事件を鮮明な記憶として思い出し続けていくことができるのか、という問題意識を持ち続けていくことであろう。 しかし、思い出すという行為は決して中立的なものではない。2001年9月11日の同時多発テロによる死者を弔うためのモニュメント建設のためのデザインコンペは、様々な思惑が交錯したために混迷を極めた。コンペに勝ったリベスキンドのデザインも、アメリカがコロンブスによって「発見」された年から現在までの年月を数えそれをモニュメントビルの高さにするというものである。また、広島平和記念館のエノラ・ゲイの展示方法とスミソニアン博物館のそれとは、全く違っているのである。その他にも多数の人の死を伴った事件の思い出し方に、違和感を感じる例は数多く存在する。その一方で、このような事件を思い出そうとする歴史博物館、モニュメント、フィルム、アニメなどは増加するばかりである。私たちは、戦争・テロ・暴力などの事件を、今後どのように記憶すべきなのであろうか?この授業では、これらの事件の思い出し方、つまり記憶の問題を、過去とのコミュニケーションの問題として考察する。
授業計画 イントロダクション:証言の時代
生存者たち:エリ・ヴィーゼル、プリモ・レヴィ、ジーン・アメリなど
歴史修正主義とは
クロード・ランズマンの「SHOAH」について
ホロコーストのアメリカ化I:「シンドラーのリスト」
ホロコーストのアメリカ化II:「アメリカ合衆国ホロコースト記念館」
記憶のアメリカ化I:正戦論(スミソニアンのエノラ・ゲイ展示を例に)
記憶のアメリカ化II:ヴェトナム戦争と多文化主義
核の記憶I:広島のエノラ・ゲイ
核の記憶II:原爆と植民地主義
9.11の記憶
南京虐殺と東史郎問題
従軍慰安婦とされた<彼女ら>を覚えておくこととは
「在日」と斉州島の記憶:証言としての「火山島」
心のノートと教育基本法改正問題:心と戦争
靖国問題と国立戦没者慰霊施設について
まとめ
評価方法 レポートを二回書いてもらう。一つ目のレポートは、エリ・ヴィーゼルの「夜」を読みレポートを書いてもらう。このレポートの締め切りは、ゴールデンウィーク明け。もう一つのレポートは、学期末に書いてもらう。この最終レポートは、これらの出来事の思い出し方を各自に実践してもらうものとなる。
教科書
参考書
メッセージ 過去の思い出し方に興味のある学生にきてほしい。