情報表現・マンガ表現

年度 2004
科目名 情報表現・マンガ表現
教員名 竹宮 惠子
授業概要 マンガは、誰もがよく知っていて、大変に身近なものであるが、その割に正体を解っている人は少ない。簡単に描けるような気もするが、その方法となると、はっきりとは見えてこない。マンガは「発想」からの距離が最短の表現方法であると、よく言われる。その分だけ個人的でもあるから、これが正しい、と導くマニュアルなどは基本的に意味がない。自由度が高いだけに雲をつかむようなところがある。しかし、それがなぜ、ここまでの文化に育ったか、「読ませる」ために、これまでどんな工夫がされてきたかなど、掘り下げてみれば、マンガはかなりのことを指し示してくれる。この授業では、「表現」としてのマンガの能力、個人にとっての「マンガ表現」の意味、社会にとってのマンガパワーなどについて、マンガを今までとは違った視点で見られるように、展開してみたい。受講生もそれぞれ目的・習熟度などが違うと思われるので、全員に平均的な授業をするのは難しい。しかし一度はマンガに興味を持ち、マンガを体験してみたいと思う受講生であろうから、それなりの満足がいくよう、課題を工夫したい。
授業計画 【1日目】
午前:「マンガとマンガが育てた世界」入門講義
マンガがこれまでに育ててきた世界とはどんなものか。どんなふうに発展してきたのか。
海外からも「文化」と言われて、もうすでに数年が過ぎ、現状はどうなってきているのか。
マンガと読者の関係、伸びるべくして伸びてきた「野の文化」の力学について、それがつくる想像もつかないパワーのこと。またそれをうまく用いることが、ここから先の読者には求められること。
午後:練習課題
「マンガ言語」というものを知るために、少しずつ実習を始める。
最初は模写で、例題を参考にして、同じような効果を用いて一つのコマ表現をしてみる。
とにかく始めは鉛筆で十分なので、ペン練習まではペンを用いない。「そっくりに描く」「応用して描く」さらには「その前後のコマを創造する」まで、それぞれ受講者の実力に合わせて、実行してみる。
授業の最後はペン練習。枠線の引き方から始め、効果線の例題を見て、同じものを描いてみる。最初にやり方をざっと説明するが、まずはやってみることが大切。
【2日目】
午前:「絵を描くという心」なぜ絵が人をとらえるのか
1日目の実習で経験した「絵を描く」ということについて、どう感じたか。上手下手とは関係のない、伝えようとする心が、「絵」に存在感を付け加えること。皆に描いてもらった絵をもとにして、それを解いてみる。うまく描くことも大切だが、うまく伝わることのほうが、ストーリーマンガではより大切であることを実感して欲しい。
いろいろの既成の作品を用いて、作者の努力がどこにあるのかを考えてみる。
午後:起承転結と、ストーリーの構成
自分の知っているテレビCMで、4コママンガを描いて持ってきてもらう。できるだけ起承転結になっているものを探して描くこと。
ではストーリー構成になると、起承転結はどのように生かされていくのか。いくつかのことばから、オリジナルプロットを書いてみる。ストーリー世界の広がりをつくるための工夫はどのようにしてするのか、例題を示す。
次に、用意したシナリオをもとに、実際に場面、あるいはストーリーそのものを「表現」してもらう。
最後は再びペン練習。1日目の練習でいろいろと疑問も出たことと思うので、それぞれについて質疑応答。さらに深く技術習得をしたい者だけ参加。
【3日目】
午前:なぜマンガを描くのか、ということ
「自分なりの表現」を2日目には試してもらったが、同じシナリオでありながら、すべての人が違うものを描くことがよくわかる(描いてもらったものを例にあげて説明)。それはすなわち、マンガというものが他の表現媒体に比べ、個と直結していることを示している。まさにそこがマンガの自由さであり、皆が魅力と感じる部分でもある。
オリジナルのマンガを描くための準備。自分のことをテーマに。
「許せない瞬間」「恥ずかしい誤解」「ささやかな幸福」「目が覚めた!」「U・S・O」「悲しいでしょう、女(男)として」等々、ちょっとした導入をつくる。
午後:作品制作
午前の授業で固めたテーマ、個々人の経験をもとにマンガ作品を作る。時間内に制作するため、ページ数は多くても8ページまでとする。主人公は自分でなくともよい。試験のつもりで臨んで欲しい。集中して描くということ、一つの対象(仕事)に没入すること、それによって生まれる常ならぬ力を、自分自身の中に確信して欲しい。場合によっては教室ではなく別の場所で描いてもよい。ただし、完全にでき上がらなくてもよいから、最終的にはこの時間中に提出すること。ペンを使う余裕がある者は使ってもよい。
評価方法 練習課題提出で40%、出席で30%、最終日の作品提出で30%
教科書
参考書
メッセージ この科目は、実際にマンガを描いてみようとする気持ちがある学生に向く。また「表現」としてのマンガを知りたい人に。マンガ表現をしようとする者がどんなことを身につけていくべきか、実際のマンガにはどんな工夫がされていて、どんな効果を上げているかなど、読んではいるが気づいていない、マンガの「読み取らせ」技術などを知る。