国際法特論

年度 2010
科目名 国際法特論
教員名 中田 達也
授業概要 本授業は、秋期の2単位(半期)である。国際法の分野は、国際政治や国際関係論とも隣接するので、「国際関係法」といわれることもある。実際、筒井若水編『国際法辞典』(有斐閣、1998年)、国際法学会編『国際関係法辞典[第2版]』(三省堂、2005年)、猪口孝・田中明彦他編『国際政治事典』(弘文堂、2005年)には共通する部分も多い。これは、かつて国際政治や国際関係論等のなかで論じられていた問題が、国際法としても捉えられるようになってきたことを示している。この現象を理解するには、まず17世紀以降に国家間で作られた基本的な規則や規範を押さえる必要がある。そのうえで、特に第二次大戦後の国際社会で形成される合意を基礎とした制度について、17世紀以降の基本的な枠組みと何が類似し、何が異なるのかを理解することが重要である。これによって、国家の「主権」が、分野によっては絶対的なものから相対的なものに変質してきていることを理解できる。これを各自の専門に活かして欲しい。
授業計画 本授業は通年ではないので、半期の講義数を使って、国際法の基本的理解につき5回の講義を行った後、国際法の最近の動きを伝える。具体的には、最初の5回は、私の授業内容をノートしてもらったうえで、湘南キャンパス図書館で利用できる文献を指示するので、復習に努めて欲しい。6回目に論述テスト(1,000字程度)を行う。その後は、授業概要で述べた基本的枠組みを押さえたとして、第二次大戦後の新しい国際法の動きを日本語と英語の文献を参照しながらレジュメを作って貰うことで、受講生の力を確認しつつ授業を進めてゆくものとする。
評価方法 上述の論述テストの採点結果、作成されるレジュメに対する評価、及び講義における発言の積極性とその内容を踏まえて評価を行う。学年末にテストは行わない。テキストについては、最初の5回の講義では使用しないが、7回目以降の講義では下記の2冊を使用する。両者とも、200頁強である。なお、参考書(購入の必要なし)は、授業概要で述べた辞典類及び条約集(三省堂、有斐閣、東信堂のいずれでも可)とする。
教科書
参考書
メッセージ 2009年の秋期は、3名の受講生との出逢いがあった。そこでは、国際法の基本的理解を伝えた後、受講生の取り組む論題に貢献するための国際法視点を伝えた。今期は、この3名との出逢いから得た教訓を活かして、授業概要を作成した。その意味で、「国際法特論」の授業概要は本学大学院独自のものである。これを発展させながら、受講生と最良の「教室空間」を創るよう互いに努力したいと心から願っている。