東アジア関係史

年度 2010
科目名 東アジア関係史
教員名 丸山 鋼二
授業概要 日本・中国・朝鮮は歴史的に、そして政治的・経済的にその運命をともに歩んできた。その3カ国を含む東アジアという地域における日本と「アジア」諸国との近代以降の諸関係やさまざまな出来事を学ぶ授業です。現在、多くの日本人は日本が「アジア」という地理的な区分に入っていることを自明のこととして受け止めている。その近接性ゆえに、他の「アジア」諸国に対して「アジアン-テイスト」といった言葉に表現されるように親近感を持つものも少なくない。しかし、日本と「アジア」諸国との間にはさまざまな問題が存在しており、それがしばしば大きな対立を引き起こしていることも珍しくありません。その基本的な原因はお互いの国や国民に対する理解不足です。そこで、まず近代以降の東アジア諸国間の関係についての基本的知識を習得することを目指します。テキストは日中韓3カ国の学者や教師が議論しながら作成したものを使用します。それによって、第一に同一の歴史的事象であっても、自国中心の歴史的解釈に陥ることなく、東アジア近代史を客観的に総合的に把握する能力を身につけることを目指します。第二に、世界史的転換期における日本のアジア「進出」およびそれに伴う東アジア地域のさまざまな葛藤を理解した上で、その過去の出来事が今日の我々にどういう意味を持っているかを理解できることを目指します。
授業計画 1. 導入:20世紀の東アジア史
2. 欧米列強のアジア進出
3. 東アジアを巻き込んだ戦争(日清・日露戦争)
4. 東アジアにおける改革運動
5. 日本の朝鮮支配
6. 朝鮮の抵抗・独立運動
7. 日本の中国東北地方への侵出(満洲事変、満洲国)
8. 日中全面戦争
9. 戦時下の東アジア
10.日本の敗戦と戦後の東アジア
11.東アジアの冷戦と「分断」
12.残された問題
評価方法 規定上の出席が単位取得の前提です。評価は授業中に数回行なう復習テストと学期末のレポート等で総合的に行ないます。
教科書
参考書
メッセージ 現代の日本と「アジア」との関係を把握するためには、近代以降の歴史的な背景を理解することが不可欠です。高校で世界史をきちんと勉強しなかった学生にも理解できるようにと、心がけて講義を行ないますが、近代東アジアの歴史は多くの出来事があるため、一つひとつを丁寧に説明する時間があまりないと思いますので、受講を希望する学生はテキストを中心に予習・復習をお願いします。大学の授業は、自分なりの問題意識・興味・関心と、それをきっかけに集めた多くの知識が支えとなります。この講義を履修することによって、どのように「アジア」諸国と向き合っていくべきかを考えるきっかけになってくれればと希望しています。