社会科・公民科教育法 I

年度 2010
科目名 社会科・公民科教育法 I
教員名 奥田 孝晴
授業概要 新制中学校の誕生(1947年)と同時期に中学校社会科は発足した。その展開は戦後社会の発展と軌を一にしており、教育実践はすでに半世紀以上を経たこととなる。中学社会科の基本的目標は科学性・総合性を基礎とした平和的国家を希求する公民の育成にあり、その要請に応えるものとして時代に対応して内容を変えてきた。一方、高等学校にあっては社会科の再編が近年進み、「地歴科」・「公民科」への分岐を経験するに至った。本講座では戦後「社会科」の位置づけが社会の変化に応じてどのように変容を遂げてきたかを概括したうえで、現在の中学校社会科(特に「公民分野」)・高等学校公民科カリキュラム内容や構造の分析と、中学・高校における授業実践例、教科教育法の幾つかをケーススタディーとして取り上げ、考察したい。また、対象が国際学部学生であることをふまえ、社会科・公民科教育の国際的比較や、発展途上諸国における、いわゆる「開発教育」の実践例にも言及する予定である。
授業計画 戦後日本の中等社会・公民教育の変遷(1947年~高度成長期まで)
戦後日本の中等社会・公民教育の変遷(1970年代以降~)
中学校社会科「公民分野」カリキュラムの内容と構造
高等学校公民科カリキュラムの内容と構造
教科教育法/授業実践例研究(1)-いわゆる「正統型」の知識伝達指向教育をめぐって
教科教育法/授業実践例研究(1)-いわゆる「正統型」の知識伝達指向教育をめぐって
教科教育法/授業実践例研究(2)-「体験知」を重視する社会科の授業をめぐって
教科教育法/授業実践例研究(2)-「体験知」を重視する社会科の授業をめぐって
教科教育法/授業実践例研究(3)-「参加と情報の創造型」としてのwebbing topic teaching
教科教育法/授業実践例研究(3)-「参加と情報の創造型」としてのwebbing topic teaching
社会科・公民科教育の国際比較研究(1)(欧米)
社会科・公民科教育の国際比較研究(2)(東アジア)
「開発教育」をめぐって(1)-発展途上諸国の社会環境と教育
「開発教育」をめぐって(2)-informal educationとenpowerment を考える
まとめと総括
評価方法 出席、課題発表、期末レポートなどを総合的に評価する。
教科書
参考書
メッセージ この講座は中学校や高等学校の教員を真摯に目指す学生諸君のためのものであり、中学「社会」・高校「公民」教員免許を取得するためには“避けては通れない”多くの出会いの機会でもあります。「education」という言葉は、もともと「個々に秘められている能力・個性を引き出すこと」を意味しており、あくまでも個人の主体性を重んじることが教育の原点です。温かく、心優しく、そして冷静な判断力を兼ね備えた教員に育って欲しいとの願いを込めて、また、国際学部学生にふさわしい複眼的思考と、社会的弱者の「痛み」が分かる温かい感性、そして逞しい行動力のある教員に育ってほしいとの期待を込めて、この講座を開きたいと思います。