年度 | 2010 |
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科目名 | 数学 |
教員名 | 田鎖 聡史 |
授業概要 | 古代文明からすでに、物事を考える手法の一つとして、数や図形の概念は人間にとって身近なものであった。以来、文明の発達とともに様々な発見や発明が数学の概念に付け加えられていった。この講義では、数学史上において重要な役割を果たしているいくつかの名著を話題として取り上げながら、現代数学の基盤となっている重要な概念や考え方を、できるだけ予備知識を前提とせず理解できるように解説する。 |
授業計画 | 「リンドパピルス」-アーメス(1回) 古代エジプトの知的水準を知る手がかりとして残されている「リンドパピルス」について紹介する。また、古代ギリシャに至るまでの様々な数学的発見について、時代背景を交えながら概説する。 「ストイケイア」-ユークリッド(3回) 古代ギリシャの当時の数学的背景とユークリッドの「ストイケイア(原論)」の概要を紹介し、数学史において果たした役割について論考する。また、中学校、高等学校で学習した事柄も含め、初等幾何学の公理や定理を考察し、さらに、「ストイケイア」の原著ではそれらがどのように論述されているか紹介する。 「方法序説第3付録 幾何学」-デカルト(2回) デカルトの座標の概念の解説を原著に依拠して解説し、近世の解析幾何学の誕生を振り返る。また、2次曲線の分類などの古典的解析幾何学の成果を概説する。 「アルス・マグナ」-カルダノ(2回) 古代から近代に至る代数学的知識や研究の歴史を概観し、16世紀に近代代数学の始まりの端緒を開いたと言われるカルダノの著作「アルス・マグナ」を紹介する。さらに、3次方程式の解法(カルダノの公式)等、古典的な方程式論について解説する。 「ケーニスベルグの橋の問題」について-オイラー(3回) オイラーの論文等を通じて、黎明期のグラフ理論を紹介する。また、オイラーの考察から始まった「周遊性」の問題が、現代のグラフ理論でどのように発展しているかを解説する。さらに、現代のグラフ理論の発展と広がりについても概説する。 「塵劫記」-吉田光由(2回) 近世以降の日本大衆の数学的教養の拠り所として多大な貢献を果たした書を紹介し、当時の日本の数学的状況を概観する。また、江戸期の和算について解説する。 「幾何学基礎論」-ヒルベルト(1回) ヒルベルトの「幾何学基礎論」の内容を解説し、近代公理主義の思想を完成させたヒルベルトの歴史的業績を論考する。 |
評価方法 | 期末試験の成績に、出席状況を加味して成績を評価する。 |
教科書 | |
参考書 | |
メッセージ | 数学を理解しその技法を身に付けるための授業ではありません。数学を苦手としていたような学生でも、受講して面白いと感じてもらえるようなものにしたいと考えています。 |