現代経済政策

年度 2010
科目名 現代経済政策
教員名 大井 幸子
授業概要 ますますグローバル化が進む21世紀、グローバルな資金が瞬時に世界中を駆け回るなか、一国の経済政策は世界の金融市場の動向と密接に結びついています。そうした環境で一国が成長を続け、その豊かさを維持していくためにはどのような経済政策が有効なのか、そして「国家の屋台骨」として金融はどうあるべきか、本授業ではこうした大きな課題に取り組みます。近代資本主義経済がもたらした豊かさにおいて、市民社会の社会的な富と反社会的な富に言及します。さらに、今回の国際金融危機を先進国はどう乗り越えるのか、新興諸国や産油国・資源国が成長を続けるにはどのような政策・戦略が可能なのか、現在話題の地球規模の温暖化や環境問題、代替エネルギーの意味についても、経済政策として取り上げていきます。最終的には、世界の中の日本の位置付け、高齢化の進む日本がいかに成長を続け豊かさを維持できるのか、そのための有効な政策を考えます。
授業計画 21世紀とはどういう時代か
大変動の時代
IT革命の世界史的意義
グローバル化する金融市場
国を豊かにする政策とは: 経済成長と国富の蓄積
人口動態の観点から
成長と貯蓄について
株価からみた国富
資本主義と金融市場:経済の実体と金融のありかた
金融の位置付け:農業、製造業、貿易、そして金融
社会資本:社会的な富と反社会的な富
マネー・イリュージョン
世界の景気循環と金融危機の時代
1989年からの20年を振り返る
2010年からの10年を先読みする
バブル生成と破たんの経済政策
日米のケーススタディ、1985年から2000年
日米のケーススタディ、2000年から2010年
持続可能な国富を実現するための経済政策とは
財政・金融政策の観点から
社会資本の観点から
政府のガバナンス
日米のこれからの戦略
日本: 一次産業からの成長戦略
米国: ポスト石油経済へ
地球環境と代替エネルギー
グリーン革命と技術革新
代替エネルギーの市場化:排出権取引を考える
代替エネルギーの拡販:ITネットが制するロジスティックス
同時多発的なリスクをマネジメントする
経済・金融危機
政治リスク: テロ、SARSなどへの対処
国家資本主義の時代へ
成長戦略と国富の運用
日本が高齢化に耐え、成長を続けるためには
個人が資産運用力を高め、豊かさを持続するためには
成長のための新規事業育成
ベンチャー投資
企業の活性化、企業買収など
リスク・マネーの管理
市民のための国富運用とは
健全な運用とは何か
家計の資産形成と資産運用
金融市場の役割
新興国経済の行方
中国、インド、ロシア、ブラジルなど新興諸国の経済成長は続くのか
新興諸国の資本市場は発展できるのか:ドバイショックとその後
中国、インドの成長と経済政策
中東産油国、ロシア、資源国の成長と経済政策
まとめ
再び国富と社会資本について
評価方法 各講義の終わり15分で自身の意見・感想を書いて提出してもらい、これを出席表とします。また意見・感想文の内容で問題への取り組みの真剣度なども評価します。出席表50%、定期試験(小論文形式)50%
教科書
参考書
メッセージ 本授業では広く経済政策に関する時事問題を取り上げ、国際経済・金融ニュースを分析し、問題意識を深めます。具体的には、経済紙やビジネス誌を理解するのに欠かせない、世界経済の動向や金融の仕組、資本市場の基礎知識を身につけます。授業前半では新聞記事などの配布資料をもとに問題を提起をします。次に、問題へのソリューション・ツールとしての理論や経済政策のケースを取り上げます。後半ではテーマについて様々な角度から議論します。最後にテーマに対する問題意識がどのように深まったか、各自の意見を掘り下げます。