旅行業論

年度 2010
科目名 旅行業論
教員名 高井 典子
授業概要 旅行業は観光産業の中核を担う産業である。需要(旅行者)と供給(旅行サービス提供機関)との間にたち、両者に対して異なる役割と機能を果たしながら、両者を繋いでそれぞれに向けて価値を生み出している。近代旅行業は19世紀半ばの欧州で誕生し、その後、近現代社会における旅行の大衆化とともに世界各地で旅行会社が設立され、それぞれの地域の特徴や、時代の旅行者ニーズに適応する形で旅行業は発展してきた。そして現在、世界は多様な環境変化‐グローバリゼーション、ITの高度化、環境問題など‐に直面し、社会・経済の構造変化が進行するなかで、旅行業の経営にもこれまでにない規模と質での変革が求められている。講義では、旅行業の経営とその業務について、歴史的な変遷から現在の姿までを幅広く紹介することによって、旅行業が現在の環境変化にどのように対応していけばよいのかを探り、その経営課題と今後の展望を考察したい。
授業計画 【第1部】導入講義
私たちと旅行業のかかわり、旅行者として、未来の社会人として
旅の歴史と旅行業の変遷
旅行業の役割と機能:旅行の需要側に提供する価値
旅行業の役割と機能:旅行の供給側に提供する価値
【第2部】旅行業の経営とその業務内容
旅行業経営の特質
旅行商品づくりの業務
販売形態別の営業
主要市場における営業
業種別に見た営業
旅行業のマーケティング:市場調査と商品化
旅行業のマーケティング:流通と販売
【第3部】旅行業を取り巻く環境変化と課題、展望
社会と経済の構造変化
旅行者の意識と行動の変化
ニューツーリズムの台頭と旅行業
旅行業は何を目指すのか-存在意義の再定義に向けて
評価方法 成績評価方法:講義への貢献度(出席率、講義中の発言、コメントカードの提出および内容、その他講義に臨む態度一般)が50%.期末試験が50%.評価基準:以下の学習到達目標への達成度を期末試験で問う。(1)旅行業が社会に果たす役割と機能を、社会・経済・市場の変化と関連づけて論じることができる。(2)日本の旅行業の現状を歴史的な経緯から説明することができる。(3)日本の旅行業の現状を営業内容やマーケティング活動の点から説明することができる。(4)日本の旅行業の経営課題を指摘し、その背景や理由を論じることができる。
教科書
参考書
メッセージ わたくしが学生だったころから現在に至るまで、旅行会社は常に大学生の就職人気企業の上位にランクインしている。旅行会社で働きたいのは、自分自身が旅するのが好きな人、またお客様と直接接して旅の楽しさを届けることにやりがいを感じる人が多いようだ。この講義では、「旅行業」をひとつの事業体として眺めてみよう。旅行業はどのような仕組みや活動を通して社会に価値をもたらしているのだろうか、また激変する現代社会にあってどのような課題を抱えているのだろうか。社会にとって今後もずっと必要とされるような旅行業であるためには、今どのような変革が必要なのだろうか、みなさんと一緒に考えていきたい。旅行業を巡る冒険の旅に一緒に出かけよう。