平和構築特論

年度 2010
科目名 平和構築特論
教員名 中村 恭一
授業概要 冷戦終結後、おびただしい数の地域紛争、民族紛争が発生し、長年かけて築いてきた経済、社会、文化をことごとく破壊している。国際社会特に国連を中心にして、破壊された社会を再構築するために国際協力という名の下に努力が続けられる。しかし復興支援は小さな治療法であり、やっと復興の成果を見始めた時再び紛争に舞い戻るのが多くの紛争のパターンである。いかに紛争の再発を防止するか。国際社会は国連憲章に定められた紛争解決の方法をさらに大きく拡大して、人間生活のあらゆる側面での問題解決が同時に行われなければ、紛争の防止(再発防止)はできないという考え方になっている。このトータルな紛争防止活動が平和構築という言葉の意味するものである。この観点から具体的な紛争そのものについての考察を中心に、紛争予防、平和維持、平和構築、復興支援などの言葉で表される現在の世界の紛争問題と国際協力のあり方を検討する。
授業計画 第1段階では、平和構築という言葉の意味するものと国際社会の考え方について考察する。
第2段階では、具体的な国際紛争、地域紛争の概要を理解し、その発生原因と解決方法を検証する。
第3段階で、受講生それぞれが関心を持っている地域の紛争について研究し、期末リポートにまとめる。
評価方法 日常的な授業での取り組みと受講者が自ら選んだ紛争問題について平和構築という視点から書いた期末リポートにおける意識や考え方を総合的に判断して評価する。
教科書
参考書
メッセージ 修士コース修了後に国際協力の現場で実践するという強い意志を持って励んでほしい。人間の生活はあらゆる形の紛争から解放されることはない。このために国際協力のいかなる分野も紛争と無関係ということはあり得ない。さまざまな紛争の理解を通して、地域社会の在り方、国の在り方、国際協力の在り方、国連や大国に代表されう国際社会の在り方を常に厳しく考える能力と習慣を養ってもらいたい。