現代社会と文化

年度 2009
科目名 現代社会と文化
教員名 上谷 香陽
授業概要 この講義では、文化と社会の関連について社会学の発想で考察します。「文化」という言葉はそもそも、明治時代以降に、英語のcivilizationやcultureあるいはドイツ語のKulturの翻訳語として使われ始めた、比較的新しい言葉です。今日文化と総称される一連の人間社会現象は、翻訳語「文化」の登場を含む、日本の近代社会化の中で生み出されてきました。講義では産業社会、国民国家、性別をキーワードに、現代社会が明治以降の近代社会化の過程に位置づけられることを理解します。その上で、わたしたちの日々の生活に見出せる身近な文化現象を題材に、文化のあり方が社会のあり方といかに関連しているかを社会学します。最終目標は、受講者各自が自分自身の関わっている文化現象を題材に、自ら社会学的に考察してみることです。受講者が問題意識を持って授業に参加できるように、予習課題や授業コメントのやり取りを取り入れて進めます。
授業計画 オリエンテーション
現代社会の文化の諸相
社会とは何か
予習課題1:『翻訳語成立事情』から「まえがき」と「社会」
文化と近代社会
学校教育と産業社会
予習課題2:『遅刻の誕生』から「子どもに時間厳守を教える」
雑誌と男女別の文化
ナショナルメディアとしてのテレビ
予習課題3:『メディア文化論』から「テレビが家にやってきた」
産業社会と消費文化
服装と性別
予習課題4:『文化の社会学』から「ファッション」
化粧と性別
グローバリゼーションの中のファッション
予習課題5:『マリクレール』から「フェアトレードレポート」
フェアトレードとファッション1
フェアトレードとファッション2
現代社会と文化を学んで
予習課題6:授業の講評
評価方法 出席1回1点×14回=14点満点(遅刻や早退は減点)、授業コメント1回1点×14回=14点満点、予習課題1回3点×6回=18点満点(締切に遅れた場合は減点)、学期末レポート54点満点の合計。学期末レポートは、以下の4段階で評価。(AA:授業を十分に理解し身近な文化現象について社会学的に新たな発見を提出している、A:授業を十分に理解し身近な文化現象について社会学的な考察ができている、B:授業の理解について多少の誤解があるが身近な文化現象を社会学的に考察しようと努力している、C:授業の理解は不十分であるが身近な文化現象を考察しようと努力している)。なお単位修得のためには、予習課題全ての提出と出席2/3以上を必要とする。
教科書
参考書
メッセージ この授業で重要なことは、「文化」や「社会」について考えるとはどういうことかを、受講者各自が自分の興味関心を持って、自ら思考実験してみることです。そのために、この授業では予習課題としてA4版用紙1枚程度の小レポート(計6回)を指定された授業の前日までに提出してもらいます。これは高校までの「宿題」とは違います。受講者各自が自分自身の問題意識を持って、授業の議論に積極的に参加するための準備です。提出された予習課題や授業コメントは授業の教材として使います。この授業をとおして、高校までの勉強と大学での「勉強」の違いを理解し、身に付けていってください。なお、受講希望者は、特別の理由がない限り、第1回目のオリエンテーションに必ず出席して下さい。