| 年度 | 2009 |
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| 科目名 | 現代社会と法律 |
| 教員名 | 中田 達也 |
| 授業概要 | 国際法を専門としている私が、2006年の春期講義の終わりに大学に持ちかけて戴いたのが、この「現代社会と法律」である。国際法が、主権国家同士から生み出される規範であるならば、国内法は―民主主義国家であれば―主権国家内で生み出される国民意思の最大公約数であろう。この点、国内法でも、最近、一国内だけの判断ではなく、国際社会の動向を受けたり、国際圧力がかかったりして、その変更を余儀なくされる場合がある。その意味で、国内法の制定であれ、国際法との関係は無縁ではない。その意味で、できれば、国際法で縁あった学生が受講してくれることを願っている。それは、国際法で生み出した論述の方法論を導入し、ある特定の問題に関する法のあり方について自説を持つに至る過程を提供できるからである。 とはいえ、本講義の受講生には、「現代社会と法律」を受講して、その後に「国際法」を選択してくれる学生も多い。これについては、国内法も国際法もコインの表と裏のようなもので、いずれが先が適切かはさほど重要ではない。国内法と国際法が体系として無縁ではないどころか、分野によっては相当に密接な関係があることを知って戴ければ幸いである。 ところで、この「現代社会と法律」を行うにあたっては、その総論ともいえる法学の講義は不可欠である。とりわけ簡潔に伝えたものに、憲法、六法について、主要な行政庁、行政国家現象、地方自治(条例)、法の形成過程、基本法の特質、法の実効性、そして「法の欠缺」(けんけつ)の問題がある。これまでの受講生は、法律の改正問題とは別に、そもそも法が存在しない事態(法の欠缺)について、その分野の法を制定すべきか否かを国家がいかに呻吟しているかも知ったことと思う。そこには、答えがない。答えがでない問題に対して、自らいかに考え、いかに思い至るか、これは民主主義を支える国民として求められる姿である。この点、講義ではテレビの主要なドキュメント番組に対する注意を喚起してきた。たとえば、下記のものである。 □毎週日曜日・午後2時近辺「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系列) □毎週日曜日・深夜1時近辺「NNNドキュメント」(日本テレビ系列) □毎週月曜日・深夜1時すぎ「ドキュメント・ナウ」(TBS現代センター制作) □毎週月曜日・深夜2時40分~「テレメンタリー」(テレビ朝日系列) □毎週水曜日・深夜(時間変更有)「NONFIX」(フジテレビ系列、1989年~) □毎週月~木曜日午後7時30分~7時56分「クローズアップ現代」(NHK)など こうした番組が、正に「現代社会と法律」に直接関連する内容で放送されることがよくある。本講義の最終的な目標は、講義を通じて広く様々な社会問題に関心をもつようになって、上記の番組を録画したりして、長く関心を持ち続ける人を作ることである。他にもすぐれたテレビ番組や映画等、たくさんある。講義では、そうした作品も多く解説をつけて紹介してゆく。そして、国際法同様、1,500字の論述をテストに課すことで、情報の優劣を自分なりに判断して、問題の本質がどこにあるかを見つけ、それが法学の知識の中でどのような位置づけにあるものかを説明する。その上で、自説を根拠をつけて展開することを求めるものである。 講義の前半の6~7回分は、この法学総論の講義を行う。そして、その後は、別途レジュメを用意し、それに従って1話完結のトピック制授業に入る。これまで何をやってきたかは、ブログ「ひさしde勝負」に譲る。本講義は、学生の理解や興味度等、反応を見ながら最大の効果を出そうとするものなので、学生と創ってゆく「共有の空間」を目指すものである。出席については、学生の進展度を明確に知るためにも、論述答案に加えた評価対象とする。 これまで、たくさんの学生から嬉しい手紙やメールを貰ってきた。その都度、それを講義に反映させようと努力してきた。授業がいつも新鮮で学生の興味に対応できるよう、毎年同じ講義は行わない。広く社会問題に関心を持つ学生の積極的な参加を歓迎する。なお、私は、「ビデオニュース・ドットコム」というネット番組を継続視聴している。それが、互いの会話のきっかけになればと願いつつ、新たな論述添削方法を模索しながら新たな出逢いを待っている。 |
| 授業計画 | 第1回 教育基本法の改正について。 第2回 民事事件と刑事事件の相違について。 第3回 国歌に対する教員の行為についての事例について。 第4回 法律作成における新たな担い手といわれるNGO・NPOについて。 第5回 代理母(他者のお腹を借りる・祖母が孫を産む)問題について。 第6回 脳死体からの臓器摘出をめぐる法的問題・臓器売買をめぐる法規制の現状。 第7回 中学、高校の履修漏れ問題について。貸金規制法の成立がもたらす効果について。 第8回 自殺対策法について。内部告発法における内部告発と公益の関係について。 第9回 裁判員制度の内容と今後の展望について。法テラスの日本社会における定着の可否について。 第10回 大学非常勤講師の賃金問題について。学納金訴訟について。中国残留孤児訴訟について。 第11回 職務発明への対価をめぐる訴訟について。憲法における三権分立について。 第12回 国定教科書における他国への配慮問題について。宗教の自由は無制限であるかについて。 *残りは、試験対策及び学生からの質疑応答やゲスト・スピーカーのために残しておく。予定変更の場合は、別途トピックを設ける。 |
| 評価方法 | 2006年に文教大学湘南校舎に縁あってから、とうとう1,500字論述法に辿り着いた。学生も良く言うことであるが、互いの限界能力で最終的な答案作成に向けて講義は進んでゆく。本年度からは、いっそう出席についての配慮も詳細なものにしてゆこうと思っている。別途、救済措置もあるが、それもまた作成が大変なものである。 |
| 教科書 | |
| 参考書 | |
| メッセージ | 文教大学に赴任し、4年目を迎える。これまで縁のあった学生の多くは、キャンパス等で声をかけてくれる。本当に嬉しいことです。また、本学の図書制度が充実しているため、随分多くの書籍も図書館に入れることもできている。本講義に積極的に参加し、自分なりに最高の答案を作ろうと「限界能力で」努力すれば、新しい可能性の扉も開けることができると信じている。実際、これまでたくさんの学生の成功をみてきた。そうした学生と美味しい食事ができるようになる日をただただ待っている。 |