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(動画:From Asia Entertainmant 32 )演奏の仕方 -要旨- まず右手で竹製のピックを持ち、左手で垂直に伸びている棒を持ちます。 右手の小指の付け根を軽く弦に触れたまま、ピックを弦に軽くあててみましょう。 ピックは弦のハーモニックスポイントに狙いを定めます。 さあ、右手の手首を返してピックをはじいてみましょう。そしてその瞬間に右手は弦から離します。 弦のハーモニックスは出ましたか?開放弦はあまり鳴らしません。 すぐにあなたはハーモニックスは弦中央部より左側のほうが簡単に音を出しやすいことにお気づきになるでしょう。 さらにハーモニックスポイントの出しやすい6つのポイントを、何度も弾いて確認しておきましょう。 音がでるようになったら、左手で垂直に伸びたバーを揺らします。音程が変化しますね。 優しく、時には強く、しなやかに、また、激しく揺らしましょう。握りこんではいけません。 音程は安定してきましたか。難しいですね。僕もまだできませんが...... 安定してきたら揺らすバーに手を添える位置も研究してみましょう。ポルタメントする度合や変化時のリズムの微妙な違い!これこそダンバウの持ち味です。 さらにピッキングする手を離す方向、手の添え方の強さ、手の位置によっても音色はどんどん変わります。 豊かなボディーの共鳴を得るためにボディーはしっかりと固定しましょう。美しい絵柄にあった楽器台の選択も難しそうですね。 エレクトリックの場合は、音域のチューニング次第でハーモニックスは出やすくもなれば、汚くもなります。イコライザーでベストのセッティングを探したら、コンプレッサーやリバーブの類で空間のシミュレーションをしてみるのも楽しいですよ。 チューニングは曲に応じて変えましょう。低いG音から高いD音まで5度の範囲ぐらいなら弦も切れなそうですし、ボディーが弦の張力に負けそうな感じはしません。 もう残すは練習あるのみですね。がんばりましょう。
-ダン・バウのチューニングと弦のセット-
民族楽器を手にして、当初の喜びいさんで弾いている時を過ぎ、しばし弾かぬ間に「弦が錆びてしまった」「弦が切れてしまった」なんてことはありませんか。弦は弦楽器の命。弦が切れてしまった弦楽器を見ることほど悲しいことはありません。でも、その時に初めて気が付くことがあります!「嗚呼!弦がどうやってつながっていたのか、確認しておけばよかった!」
ダンバウはたった一本しか弦がないとはいえ、ちゃんと弦をセッティングしないと、ちゃんと弾くことができません。そこで、ここでは弦の張り替え方についての話から始めることにしましょう。
その1:ダンバウの弦
まず弦の種類についてお話します。
ダンバウの弦は、エレキギターと同じスティール製のニッケルやステンレスでできた弦を使います。
太さは、通常のエレキギターの3弦(Gの音の弦)とほぼ相同で、この太さがもっともベトナムでポピュラーなものです。
しかし、エレキギターでも同じように、3弦(Gの音の弦)といっても、各種さまざまな太さがあります。微妙な差ですが、太いもの細いもの、若干の違いがあります。しかも、この微妙な差は、実はダンバウのように大きな楽器では、大きなテンションの違いに結びついてきます。ひいては、音の性格もずいぶん異なってきます。
ベトナムでは大きく二つの種類の弦の太さがあるようです。「35ポイント」「40ポイント」の2種類です。しかし、この**ポイントという数字、わたしたち日本で暮らすものにとっては役に立たない目安です。なぜなら日本ではこの「**ポイント」という基準で弦を分類したり、販売したりしていないからです。日本の基準ではエレキギターの3弦は「0.17」とか「0.15」とかになり、ミリ単位の基準です。果たして「35ポイント」「40ポイント」って何なんでしょうね。
いずれにせよ、「35ポイント」「40ポイント」とは、「0.17」とか「0.15」の太さの弦とほぼ相同です。つまりエレキギターの3弦(Gの音の弦)が使えるということですね。
ホーチミン市在住T氏の話に基づくと、ホーチミン市のような南部では「35ポイント」の細い弦が用いられ、ハノイのような北部では「40ポイント」の太い弦が用いられているそうです。
この弦の太さの地方における違いもたいへん興味深いものですね。弦が太ければテンション(弦の張りの強さ)は必然的に強くなり、太く力強い音がし、演奏にもより力が必要です。細ければその逆です。また、金属弦には、ある一定の長い距離の張力の下で弦を張ると、やや細めの弦のほうがハーモニックス成分がより多くなるという性格があります(ただし、弦を長くすれば長くするほどハーモニックス成分は出やすくなり、太い弦を短く張ることはできないので、一般の楽器では弦が太ければ太いほど弦長が長くなりハーモニックスが多いことには注意)。この点はハーモニックスだけで演奏するダンバウには重要なポイントです。いずれにせよ、こうした選択は、本人の意地の問題という点が多々あるように思います。それが文化とよばれることもあれば、慣れと呼ばれることもあり、ある人はハノイとホーチミンでの人柄の差に結び付けたりしますが、あなたが好きな弾きやすい弦を選べばいいのです。
ところで、困ったことにダンバウの弦長(張られた弦の長さ)は、エレキギターよりも相当長いです。なんと通常のエレキギターよりも25センチ以上も長いのです。ご存じのとおり多くの日本の製品は規格通りに作られています。ギターの弦も無駄なくギターに合うような長さで作られています。つまり日本のギター用の弦をダンバウに用いようとしても、長さが足りないため、使えないのです。
ダンバウを購入したあなた!忘れずにベトナムで弦を購入してきましょう!!
その2:弦のセット
ダンバウの弦は左右両端ともにポールの付いていないものを使います。
左端は上側に伸びているバーに、右端はペグの方に付けます。ペグの方は楽器によって構造が異なりますが、だいたいは同じやり方です。
まず、楽器の左端のバーに弦を取り付けるやり方です。
弦を写真のようにちょっとねじ曲げて輪っかを作ります。輪を作ったら、弦を少し余らせて、輪の部分に数回ネジ巻き状に巻き付けてあげましょう。
輪が出来たら........
1. バーと、装着してある共鳴部分をはずし
2. 共鳴部の内部に弦の先の輪を挿入し
3. 共鳴部の下の穴からバーを通し
4. 共鳴内部にある弦の輪にバーを通し、共鳴上部の穴にもバーを通し
5. バーの下の部分まで、共鳴部/弦を下げる
この作業を行い、バーと弦をしっかりと結び付けます。
共鳴部と弦が接地しないように気を付けましょう。
さて、今度は右側部分のペグに弦を結び付けます。
ペグの構造によって弦の装着法は異なりますが、多くの弦楽器と同じように、ペグを巻いたら音程が上がるように装着すればいいはずですので、この点は省略します。
さて、右側ペグ部分にも弦を結び付けられたら、左側のバーの部分をボディにある穴にしっかり差し込みましょう。グっと力を入れて。しっかりとバーがボディーに付きましたか?
次に弦高(ボディーからの弦の距離)についてです。
上の写真をみてください。この写真は、ボディーと弦の距離を示しています。
写真では、楽器に向かって左側の部分、つまり柄のある部分から少しだけ離れたところに赤い矢印が書かれています。このあたりに、指をそろえた手の平をを入れてみましょう。指4本程度が入る高さに調整します。低すぎても、高すぎてもいけません。
なぜ指4本分の高さか.......というのはよく分かりません。弾きやすさや、テンション、美的感覚を総合して、伝わっている指標なのでしょう。
民族楽器は、このように身体を使って、なんらかの幅や高さを決めることがあります。楽器のように身体の拡張といえるものは、その民族その文化独自の身体性を体現している場合があります。あくまでベトナム人の手の大きさで4本分の間隔という点をお忘れなく!
その2:弦のチューニング
たった一本しかない弦のチューニングというのも妙な話かもしれません。他の弦がないのだから、ハーモニーが生まれるわけでもないし、他の弦の音を邪魔することもありません。もしも、ダン・バウをソロで弾くのならば、正しいチューニングというものはありません。
晴れたある日、あなたが田んぼで農作業をしていたとしましょう。秋に唄う収穫の歌を口ずさみたくなったら、あなたはどうしますか?楽譜を持ってきて歌いますか?あるいはドの音から始められるようにピアノの音を聞きに帰ってから歌いますか?横に友だちがいたらどうでしょう。ド〜〜ソ〜〜とハーモニー練習してから歌いますか? 答えは「いいえ」でしょう。思い出せる場所だけ歌い、知っているメロディーをドとかソとか関係なく歌い、横の友だちはあなたが歌うのを聞いて途中から一緒に歌い出すでしょう。ダンバウも同じです。
しかし、実際にはダンバウを弾きやすくするためのチューニングというものがあります。また、他の楽器と合奏をするためにはある程度の固定したチューニングが必要です。
まずは、よく使うチューニングを例示してみましょう。
ド(開放弦/ポイント1)「ド」といってもオクターブでたくさんあるので、どの「ド」なのか文章で説明するのは難儀です。そこでリアルオーディオでも聞いてみてください。
→(「ド」にチューニングしたダンバウの開放弦とポイント1の音)
この「ド」に合わせたときの弦の張りの強さ(テンション)が、ダンバウらしい音のコツの一つです。
前後に一音づつ(「レ」/「シb」)上げるか下げるようなチューニングも可能です。音を下げるぶんには「ソ」の音ぐらいまで下げても大丈夫です。右に写真のペグの部分を回して、音を上げたり下げたりしてみましょう。
ダンバウは弦長が長い割に、弦が細い楽器なので、ちょっとしたチューニングの変化が、大きなテンションの違いになります。このことは、若干のチューニングの違いが、大きく音の質に影響してくるということです。
-ダン・バウは何で弾くの?-
「ダンバウのひみつ」のコーナーでも書いたように、元々ダンバウは竹からできた楽器でした。現在はサボテン科の一種の固い木材や牛の角を材料に出来ています。しかし、このオリジナルのルーツが生かされている部分があります。それが、ダンバウを弾くためのピックです。まずは写真をいくつか見てみましょう。
写真左手に写っているのが、もっともポピュラーな竹製のピックです。竹を薄く削って、先端を三角状に尖らせてあります。厚みは2ミリ程度でしょうか。先端に行けば行く程、尖りがっています。しかし、鉛筆のように鋭くはありません。平面の部分を生かした削り方がされています。
写真からお分かりのように、木材はなんであっても、このような形状であれば、ダンバウを演奏することができます。ベトナムの先生は、なんと、アイスキャンディーの棒を削って、ダンバウのピックを作ったりするそうです。あの厚みがいいらししんですね。しかし、なんといっても竹のあの固さ、滑り具合、表面のツルツルさ、そして「しなり」具合を考えると、竹以外の素材は考えられません。竹のせせらぎのダンバウ.......実は素材も大事です。
写真右手に写っているものは、水牛の角を材料としたピックです。ダンバウの音を揺らす左側のバーと同じ素材で出来ているものです。ベトナムでたいへん有名なダンバウ演奏者Thanh Tam氏のプロモーションビデオを見ると、この長い牛角ピックを握って演奏しているのを見ることができます。それはそれはたいへん優雅で美しいものです。
しかし、もしもあなたがダンバウの初心者であれば、このピックは将来のためにとっておき、まずはひたすら竹のピックで練習しましょう。このピックで演奏することはたいへん難しいのです。素材の特徴からパキパキした音がします。それを押さえてなめらかでぬめりのあるダンバウらしい音を出すには...........ダンバウ・マスターの称号が必要かもしれません。
-ダン・バウを弾こう! その1-1: 姿勢 その1
ベトナムのポスターやカレンダーを見ると、伝統楽器を手にした美しいアオザイの女性の姿を目にすることがあると思います。CDなどのジャケットでもしばしば見ることができます。この左手の女性も同様で、あるCDジャケットに写っていた写真です(ただし、この写真は「Vietnamese MIDI homepage」から拝借したものです。失敬)。
注意しましょう!彼女たちは、たいていの場合「モデル」さんなのであって、演奏家ではないものです。
この写真のショット、本当に美しいですね。北部の民族衣装に、艶やかな長い黒髪、そしてしなやかに軽やかに楽器を構えています。ああ、膝枕して永遠に眠りたい.....おっと、いけません(^^);; 。このような姿勢でダンバウを弾くのは至難の技と言えましょう。
やはり楽器には「しっかり、そして、どっしり」とした構え方があるものです。ピアノがなぜあんなに重いのか考えてみましょう。あれだけ大きくて重いからこそ、豊かな響きが生まれてくるのです。ダンバウも、いかに安定した姿勢で楽器と向かい合い、いかに楽器を安定させるか、これが大事なんです。
まずは楽器の向きです。
右側の図をご覧ください。
「柄」の部分が左側に、「ペグ/ブリッジ」の部分が右側にくるように構えます。 図の円柱の部分が自分の身体の位置になります。
次に、弾く身体の位置をまずはしっかり決めておくことが大事です。どっしりとした構え方で、しっかり弾くためには、楽器に合った演奏位置があるものです。
この図では、まず張った弦を二等分しています。二等分したうちの左側部分が赤い線で図示されています。
さらにその赤い線の部分を二等分した位置が青い線で示されています。弦から見て垂直方向に青い線を引いてあります。
この青い線が身体の中心にくるように座ります。背骨と青い線が垂直に交わるような位置ですね。
プロの先生に実演していただきましょう(<勝手に失礼(^^;;))。ダンバウ演奏家のNguen Thi Hai Phuong先生です。
この写真から座る位置がよく分かりますね。
さて、座る位置が決まったら、今度は楽器との身体との距離です。
左手で軽く「柄」の部分を握ってみましょう。
腕がピンとまっすぐ伸び切ってはいけません。腕がまっすぐな状態の場合、身体が楽器から離れ過ぎということになります。またマラソンのときのような腕の状態もいけません。肘の関節が脇腹とくっついている状態では、楽器が身体と近すぎる状態です。肘を軽く曲げて、肩の力が入らない程度の距離に楽器を置きましょう。
今度は、右手を軽く弦に触れてみましょう。この時の右手は張った弦を二等分した位置に置いておきます。図で言えば、赤い線の一番右側の部分に置きます。左手を同じように、肘を軽く曲げて.........。
この辺の手の感じも、写真のHai Phuong先生の感じを真似してみてください。両手をこの位置に置くと、自然に腋が少し離れますね。肘を軽く曲げ、腋が少し離れる状態で、自然な位置を探してみてください。
そう、あなたは今、パソコンでこのページを見ていますね。あなたが座っている椅子とパソコンに入力するキーボードとの距離、それがダンバウと身体の距離に近いかもしれません。ただノートパソコンの場合はちょっと違うかな?デスクトップパソコンで考えてくださいね。あるいは、ピアノを想像してもいいでしょう。どうでしょう、楽器と身体の距離をつかむことができましたか? こればかりは、身体の大きさや太さ(^^;;)などによっても変わってくるので、ご自身でしっくりくる位置を探すのがいいと思います。
気をつけたいのは背筋。ピンと伸ばした姿勢で座ります。それから、肩が上がり過ぎないように。
ベトナムを旅した方で「ベトナム人は背筋がピンとしているなぁ〜」と気がついた方はいませんか? あるいは東南アジア全般的にそんな風に感じませんか? ベトナム人は「凛(リン)としている」なんて表現をした人もいました。その一つに私は背筋があると思います。たぶん別にいつもキリっとしているから背筋が伸びているわけではないのでしょう。世界中の様々な民族が様々な座り方や歩き方の文化を持ち合わせています。そして同じように背筋も民族様々です。畳の文化と日本人の猫背の関係を論じた人がいましたが、背筋とは一つの生活慣習が長らくかけて作り出した文化なのでしょう。背筋とは身体に投影された文化かもしれません。
アオザイを着た外国人はすぐに分かりますね。特に慣れない日本人女性のアオザイはすぐに分かります(<失敬(^^;;) 冗談です)。でも、それだけ異なる文化をしなやかに着こなすには、身体性をふくめた文化を考える必要があるということだとも思えます。実はダンバウもそうなんですね。
楽器の演奏もそうで、背筋をピンとさせるのはベトナム風の楽器への接し方です。これは他のどの楽器においてもそうです。ダンチャインも背筋をピンと張って演奏しますし、楽器もまた背を曲げる必要はない程度の大きさになっているのです。
ピアノの演奏家が自己表現に鍵盤に顔を近付けて弾くのは情熱的です。しかし、それはダンバウでやるとちょっと妙な感じがします。顔をしかめても、少し動かしても、身体は一定に保ったまま、というのがダンバウのスタイルです。
-ダン・バウを弾こう! その1-2: 姿勢 その2
「ダンバウのひみつ」コーナーで、元々ダンバウは「地球琴」だったという話をしました。このルーツからしても、ダンバウはしっかりと地に落ち着けて弾く楽器のようです。
ダンバウを購入すると楽器台がついてくることがあります。
例えば、私のダンバウの楽器台は、楽器ケースが楽器台に早変わりするという便利なものです。
右の写真は、上から順に、楽器ケースを開けたところ/楽器ケースを楽器台に組み立てているところ/演奏しているところ、となっています。
竹で出来た楽器スタンドの足の部分はなかなかかわいい感じで気にいっています。ただ、楽器を置く部分はハードケースそのままなので、ちょっと満足いかないところもあるのですが......。
この写真では、花模様の細工のある楽器台でダンバウを弾いています。演奏なさっているのはハノイでダンバウを勉強なさってきた等々力さんです。たいへんおしゃれな楽器台です。ベトナムでダンバウのために作られた特注品ですから、おしゃれにクールに決めたい方は、是非、一つ買って持ち帰ってくるといいですね。
おおむね楽器台はこの二種類の形が一般的なようです。
しかし、楽器台がない方も、テーブルに置いて弾いたり、キーボードスタンドなどを代用したりして、演奏することができますからご安心を。
椅子なども、楽器台に合わせて、ちょうどいい高さのものを選んでください。だいたいお腹のあたりに楽器がくる高さが弾きやすいのではないでしょうか?
たとえ楽器台がなくとも、地べたにダンバウを置いて、あぐらなどで弾くのも渋い感じがしていいですね。左の写真はダンバウ演奏家のPham Duc Thanh氏。現在はカナダ在住の演奏家ですけれど、ベトナムでもよく紹介されている有名な演奏家です。
女性の場合は、正座をくずした感じで座るとロマンチックでいいですね。
せっかく座って弾くのだから、こだわりたいのは蓙(ござ)。普通の家では、ベッドにござを弾いて寝ていますが、デザインもかわいくて、手作りのこのござ、涼しくて肌触りのよい(?)ものです。ベトナムの伝統工芸品の一つですね。茶色地に赤色だけで円型状の柄の描かれたものが最も一般的でしょうか? 小物ブームに一つアイテムを加えるなら、ござ、ですね!
ござに座って車座になっての食事もおいしいんですよ。余談ですが、車座になって家族で食事するのは、先祖の霊とともに食事をすることでもあるそうです。神妙な気分で弾くダンバウも味が出ていいかも(^^;;)
-ダン・バウを弾こう! その2: 手の形
さて、そろそろ本格的に楽器に触れてみることにしましょう。
といっても音を出す前に、少し手の形について説明しておきたいと思います。
まず最初に左手で、音を揺らすための「柄」を持ってみましょう。
ダンバウの演奏では、左手はこの「柄」を揺らすことによって情感あふれる演奏をするという役割を担います。つまり、いかに左手を使うか、それがダンバウの演奏に命を吹き込むことにになるのです。ですから最も大事な部分でもありますので、注意深く手の形に注目してみてください。
写真を見てみてみましょう。
これはダメな例です。
ダンバウを演奏するときには絶対に柄を握りこんでしまってはいけません! なぜなら握りこんでしまうと、微妙な表現ができなくなってしまうばかりか、見た目にもお下品な感じになってしまいます。
左手は下の写真のように構えます。いくつかの方向から写真を撮ってありますので、参考にしてみてください。
写真にあるように「握る」というよりも、むしろ「触れる」程度に柄を構えるのが大事です。
まず人さし指です。第一関節あたりでそっと柄に触れます。そのまま親指の爪の少し横の辺りを使って、柄をそっと挟むようにします。
まず最初は、人さし指と親指だけで、柄を挟むように持つ練習をするといいでしょう。その時に気を付けたいのは、手の甲が上を向かないよるにすることです。手の甲はあくまで、垂直に保っておきます。さらに、あまり人さし指が曲がり過ぎないように気をつけてください。ただ、ピンとまっすぐのばすのもよくありません。自然に軽く曲げておいてください。
このような形で何をつかもうとすると、意外に疲れるものです。普段はあまりとらない姿勢ですから、左胸の筋肉から、二の腕、腕の筋あたりにかけて、キューンと力がこもるのが分かりますね。実はダンバウの演奏には、このあたりの若干の筋力が必要になってくるのです。慣れるまでは、けっこう疲れる楽器なんです。
次に、写真のように小指の先を柄に触れてみましょう。人さし指と親指だけは不安定で揺れてしまいそうですが、小指をつけることで手を安定させます。そのまま伸びている中指と薬指を曲げて、これも指の先を使って柄にそっと触れます。
いかがでしょう、写真のような形になりましたでしょうか。あくまで柄を「握る」のではなく、親指と人さし指で柄をはさみ、他の指はそれを安定させるために補助する、という感じで柄に「触れる」のです。
そしてこの形をしっかりと身体で覚え込むようにしましょう。しばらくこの形で柄に触れ続けてみましょう。疲れるかもしれませんが、練習です。自然にこの形が体得できれば、この触れ方を基本として後々は形が変わっても問題ありません。この微妙なふれ方が、ダンバウの微妙な表現につながっているからです。
さて次に右手の形です。
右手は「ダン・バウは何で弾くの?」の章にあったように、竹製のピックを持って弦を弾く役割をします。
ギターなどを演奏できる方であれば、ピックを持つ要領とまったく同じです。
右手の親指と人さし指でピックをはさみます。ギターのピックと異なり、竹のダンバウのピックは細長いので、中指でも軽く補助してみましょう。薬指と小指は軽く開いて。
親指と人さし指では、小さなだ円を描くような形にします。そして力を込め過ぎないようにピックを持ちましょう。右手も握り込まないほうがいいでしょう。ただし、開き過ぎたり、まっすぐ伸ばしてもよくありません。
そして手の甲は縦になるように構えます。
ピックで弾くタイプの楽器に初めて触ったという方は、最初は右手の持ち方は難しいかもしれません。力が入り過ぎたり、力を抜くと弾けなかったり.....。しかし、この形をよく身体で覚えてしまえば、自然に美しくしなやかに音を弾き出すことができるでしょう。後は音を出しながら慣れればいいことだと思いますのでご安心を!余談ですが、この写真の右手は、我が師承Nguyen Minh Thanh先生の手でした(^^;;;) 左は私の手。
-ダン・バウを弾こう! その3: ハーモニクス・ポイント-
さあ、準備が整ったら、音を出しましょう!
ここからが楽しく、そして難しいところでもあります。
ダンバウは、その独特の演奏法や楽器の構造から、最初の音出しがけっこうな関門なのです。こればっかりは実際に音を出して、刺激と反応のなかで、音の出し方を身につけていくしかないので、言葉と写真では無理がありますが、説明していこうと思います。
しばらくは右手しか使いません。左手は音が出るようになってからです。左手はさきほど説明したように、軽く柄に触れたままの姿勢を保っておいてください。
さて、まずピックで弦を軽くはじいてみましょう。どこでも構いません。はじいてみてください。
「ビ〜〜〜ン」という低い音がしますね。
あまり強すぎず弱すぎずではじいてみましょう。はじく強さによって振動が変わるのが分かります。
そこで、次にはじく場所を変えてみましょう。右手を左側にずらしてはじいてみてください。次に右側にずらしてはじいてみましょう。
どうでしょう。音が変わりましたが?
いや、変わっていないはずです。「ビ〜〜〜ン」という低い音が、どこでも同じように鳴るはずです。それもそのはず、一弦琴という名前のとおり、一本しか弦がないので、どこをはじいても同じ音がするはずです。
ダンバウの音色を聞いたことがあるならば、こんな音じゃなかったはずだ、と気付くことでしょう。
ダンバウという楽器は、このように単に弦をはじくだけでは、非常に少ない音しか出すことができません。実はダンバウには別の秘密があるのです。それがハーモニクス(倍音)というものです。
すでにあなたが何かの弦楽器を演奏なさっていて、「ハーモニクスを出す」と聞いてピンとくるならば、どんどん先に読み飛ばしていきましょう。しかし、弦楽器を触るのがダンバウが初めてという方は、まずはハーモニクス(倍音)とは何か、ということを理解しないとダンバウを演奏することはできません。
ちなみにインターネットには、他の弦楽器を使った「ハーモニクス(倍音)とは何か/ハーモニクスを使った演奏法」について、たくさんの資料があります。演奏法にしろ、ハーモニクスの理論にしろ、たいへん役立つものですから、是非、読んで「ハーモニクス(倍音)」についての理解を深めてみましょう。
-----参考までに:ハーモニクス(倍音)について----- http://satsuki.ex.osaka-kyoiku.ac.jp/~k983446/sotsuron/urawaza/flageolett.html
http://plaza18.mbn.or.jp/~yoshiken/music/vlc/vlcplay1.htm
http://home9.highway.ne.jp/ippei/chord/overtone.htm
まず下の写真のように、ダンバウの弦に指で「軽〜〜く」触れてみてみてください。
最初は右手でも左手でも構いません。強く押さえず、本当に軽く軽く、弦に指を乗せる感覚です。
この状態で、空いた手を使って、弦をどこでもいいから、ちょっと強めにはじいてみてください。できれば何度かはじいてみてください。
なんとなく「黒板を爪で引っ掻いた」ような感じの音がしませんか??
音はのびないけれど、耳にツ〜ンとくる、ちょっと高めの音がしませんか??
それが聞こえたら、弦の乗せた指を左右にずらしてみてください。弦に軽く触れたままスライドする感覚で、ずらしてみましょう。できればずらしながら、空いた手ではじき続けてみてください。
なんとなく「通り過ぎた救急車のサイレン」の音が変わっていくように、キュンキュン、キュンキュンと音が変化していませんか??
このなんともいえない高周波の音を出すことができたら、それが実はハーモニクス(倍音)なのです。
次に、下のイラスト(下手ですがダンバウを上から見たものと思ってください(^^;;))のように、弦を二等分した位置に指を持っていきましょう。
正確に弦を二等分した位置に指を置かなくてはなりません。
そのまま、さきほどと同じように弦をはじいてみてください。別にどこをはじいても構いません。
「ポ〜〜ン」と今度はきれいな澄んだような音が出ませんか?さきほどのように音が伸びない耳にツ〜ンとくる音ではなく、よく伸びてちょっと大きな音がするはずです。しかも、指を弦に乗せたままなのに!
もしも音が出ないようでしたら、二等分した辺の位置で指を微妙に左右にずらして、音が出る位置を探してみてください。音が出る位置を探し当てることができたら、そこが弦を二等分した位置なのです。
この位置を探し当てることができたら、チョークでもPOST IT でも何でも構わないので、ダンバウのボディの表面にマークしておくことをおすすめします。
この位置で、弦に指を当てて、空いた手で弦をはじき、「ポ〜〜ン」大きめの音が出たら、今度は弦に当てていた指を放してみましょう。指を放しても「ポ〜〜ン」という音が出続けるはずです。実はこの音がハーモニクス(倍音)というものなのです。
ちょっとでも弦に当てていた指の位置を変えると、音はもう伸びなくなってしまいます。微妙な、たったの1点だけ、ここだけこんなきれいな音がするのです。
今度はもう一度、指を当てずに、弦をはじいてみましょう。さきほど出したハーモニクス(倍音)の音と同じ音階の音が鳴っているはずです。それも低い音で。なにも押さえずに出すこの音を「開放弦の音」と言っておきましょう。「開放弦の音」とハーモニクス(倍音)は同じ音階で、ハーモニクス(倍音)のほうが高い音階の音がします。
もしも「開放弦の音」が「ド」にチューニングされていれば、ハーモニクス(倍音)の音も高い「ド」です。そして、今、あなたはダンバウで二つの音が出せたことになります。たった1本の弦の楽器で、低い「ド」と高い「ド」が出せたことになるのです。
このようなハーモニクス(倍音)は弦を二等分した位置だけにあるわけではありません。三等分、四等分、五等分........それぞれの等分した位置にも、それぞれハーモニクス(倍音)があります。
下の図は三等分、四等分....と八等分までした上で、弦に指を置く位置を「黄色の星印」で示しています。
それぞれの「星印」の位置の上に指を置いて、さきほど「ド」のハーモニクスを出した要領で、「ポ〜〜ン」と音がきれいに出る位置を探し出してみましょう。
音がだんだん高くなるはずです。3等分、4等分と分ける数を増やすに従って、音を出すのが難しくなるでしょう? 「ポ〜〜ン」というより「キ〜ン」という音になってきます。音の大きさも小さくなってきます。
6等分の位置と8等分の位置は非常に近く、鳴らし分けるのも難しくなってきます。最初は音が出なくても問題ありません。せめて2等分/3等分/4等分の位置だけでも音を確認することができれば十分です。要は、こうした位置でハーモニクス(倍音)というものを出すことができる、ことを理解できればいいのです。
たった一本しか弦がないのに、ハーモニクス(倍音)を用いるとたくさんの音が出せるわけです。実はこれがダンバウの音色の秘密です。実はダンバウの演奏では、このハーモニクス(倍音)を使って演奏するのです。
下の図は、このハーモニクス(倍音)を音階で示したものです。
「開放弦」を「ド」の音にチューニングすると、それぞれの位置のハーモニクス(倍音)は図のような音階を取ることになります。
つまり....
1/2=「ド」(開放弦より1オクターブ高い)
1/3=「ソ」
1/4=「ド」(開放弦より2オクターブ高い)
1/5=「ミ」
1/6=「ソ」
1/8=「ド」(開放弦より3オクターブ高い)
このような音階の関係になっています。
1/3の「ソ」より、1/6の「ソ」は1オクターブ高い音になっています。
音は「ド」と「ソ」と「ミ」の三つしかありませんが、3オクターブにもわたる広い音域の音がたった一本の弦から出せるのは、このようなハーモニクス(倍音)を用いる演奏という秘密があるわけです。
これらハーモニクス(倍音)を出すことができる位置を、ハーモニクス・ポイントと呼ぶことにしましょう。
ところで、3等分すればハーモニクス(倍音)のある位置は2点あるはずです。上のイラストを見れば分かるように、4等分すれば3点、5等分すれば4点あるはずです。しかし、ダンバウでは通常、もっとも左端の位置のハーモニクス・ポイントを用います。ですから、黄色の星印の位置をしっかりマーキングして、覚えておくようにしましょう。
次は、ダンバウの演奏の仕方でハーモニクスを鳴らす方法です。
-ダン・バウを弾こう! その4: ダン・バウらしい表現-
Coming soon
表現テクニック1:「ケオ・レン」Coming soon
表現テクニック2:「ケオ・ルン」Coming soon
表現テクニック3:「ルン」Coming soon
表現テクニック4:「ヴォ」Coming soon
表現テクニック5:「トレモロ」Coming soon
表現テクニック6:開放弦による演奏Coming soon
表現テクニック7:タッチ・ハーモニックスComing soon
表現テクニック7:ノイズによる感情表現Coming soon
さいごに
Coming soon
(伝統楽器 index)(BEO RAT MAY TROI Vietnam h.p.)
製作/著作
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