..... relative balance of coverage, including a large share of neutral stories, is likely to hold unless there are major open conflicts pitting minorities against the dominant(as seen and embodied by the media) culture.....

Ma, Jianming Hildebrandt, Kai

Canadian Press Coverage of the Ethnic Chinese Community
A Content Analysis of The Toronto Star and the Vancouver Sun, 1970-1990

Canadian Journal of Communication
Vol.18:4
1993(カナダ)


1970年から1990年までの、カナダの新聞「トロントスター」と「バンクーバーサン」における華人コミュニティに関する記事の内容分析である。

カナダのプレスにおけるマイノリティの表現についての研究は、1970年代までまれであった。1945年から1974年までのバンクーバーサンとプロビンスを対象とした研究では、集団間のコンフリクトが主に報道されたことが指摘されている。例えば、カナダにおけるネイティブ・インディアンの記事は80%がネガティブなものであった。

カナダは移民の国であり、1967年以来、ニューカマーの移民の半数は第三世界からのものである。中華系コミュニティはカナダのマイノリティのなかで最も大きく、1971年から1991年までに4倍にと急成長している。中国系移民の第一期は、19世紀後半で、ブリティッシュコロンビアにおけるびカナディアン・パシフィック鉄道建設のための労働力不足から始まった。1967年以降、アジア系移民は経済的な立場を増し、香港や台湾出身の投資移民なども増加してきた。1986年には、管理職につく華人も国家の比率に追い付き、代議士も出て、高等教育の面でも進歩を遂げている。

トロントスターとバンクーバーサンは同じ程度の発行部数で、知名度や紙面なども類似している。両者ともに「民族」に関する紙面と政策を持ち合わせているものである。また華人移民の最も集中している地域でもある。

調査の対象となる`ethnic Chinese''とは、カナダ市民あるいは永住者を指し、カナダ出生のものも、中国、台湾、香港出身のものも含まれる。他国出身の`ethnic Chinese'は除外している。1990年における全ての記事を対象として分析した。1970年および1980年の記事対象はサンプリングされたものである。3期間の合計で、`ethnic Chinese'を含む記事や写真、マンガなどは783あった。

トロントスターの場合、ethnic Chinese'を含む記事は、1970年で48、1980年で74、1990年で265となっており、バンクーバーサンの場合は、1970年で72、1980年で116、1990年で363となっている。
トロントスターの1970年から1990年にかけての記事の増加率は452%である。一方、トロントにおけるethnic Chineseは660%増加している。
バンクーバーの1970年から1990年にかけての記事の増加率は404%である。一方、トロントにおけるethnic Chineseは293%増加している。
1970年ではバンクーバーのほうがethnic Chineseが多く在住しており、バンクーバーサンのほうがethnic Chineseを扱った記事数が多いが、1980年からはトロントが逆転している。しかし、記事数は、バンクーバーサンのほうが80年90年ともに多い傾向である。記事の長さにおいても同じ傾向であった。

ニュースフォーマットに関しては若干の変化が見られたにすぎない。オピニオンの欄では70年から90年にかけて3%から8%へ、ハードニュースに関しては45%から50%へ、人物を扱った記事は38%から30%へと変化している。主に地域を扱った記事にethnic Chineseに関するものが多く見られている。
1970年の記事では、主に文化的な様相に主な関心が向けられていた。チャイナタウンや食事、芸術などである。1980年から90年にかけて、トピックはバラエティに富むようになり、経済やビジネス、犯罪、移民、政治などが扱われるようになった。文化が中国人の唯一のイメージということはなくなった。

記事のテーマ別にみると、政治/文化/移民/犯罪/経済に分類した結果(一つの記事が複数の分類がなされる)、1970年には文化の記事が73%含まれたが、1990年には43%に減少している。移民に関する記事は1980年に少なかった。経済に関する記事も1980年には少なく3%だけであったが、70年では35%だったものが、90年では53%に上っている。犯罪に関する記事は一貫して上昇しており、70年で7%。80年で16%、90年で28%である。
トロントスターとバンクーバーサンではテーマにやや違いがある。

記事を、ポジティブ、ニュートラル、ネガティブの3つに分類して結果、ポジティブな記事は48.3%から29.9%へと減少し、ネガティブな記事は13.3%から24.8%へと増加した。
トロントスターのほうが、若干、ネガティブな記事が多い。
ネガティブな記事は、主に文化に関する記事において増加している。経済に関する記事では、ネガティブな記事は1980年の24.3%から90年の2.1%へと大きく減少している。移民に関する記事は、1990年に主にニュートラルな記事が多くなった。犯罪に関する記事についてはあまり変化が見られていない。

記事の多様性は劇的に増加している。これは文化に関する記事において、犯罪や移住に関するもの増大してからである。ステレオタイプ的にポジティブな記事もまた増加しており、これらは中国系コミュニティの統合が進んだことや、メインストリームに対する記事によるものである。


Contents Analysis Review
ranslated & Summarized by 日吉 昭彦
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