.....テレビ等のマス・メディアは、私たちが直接的な接触経験をもたないことがらに関して特に大きな影響力をもつはずであり、その意味で外国人についての私たちの知識やイメージがテレビによって大きく左右されているであろうことは容易に想像される.....

萩原 滋、御堂岡 潔、中村 雅子

テレビの中の外国・外国人-日本のテレビにあらわれた外国要素の内容分析-
新聞学評論 
No.36、1987年
p57-72


ITFP-Japanのプロジェクトの一貫として行った調査の報告であり、1985年6月3日から9日までの一週間、主要キー局7局で放映された番組(ドキュメンタリー/クイズ/ドラマ/映画)から外国要素(外国と外国人登場人物)を含む番組をサンプルに、外国については、国名で外国の場所、自然/歴史/人物などのテーマを、外国人登場人物については、国籍、職業や活動領域、性別、年齢、社会的地位などの項目について、内容分析を行っている。また外国/外国人ともに、SD法によるイメージの調査が行われている。

サンプルは、ノンフィクションが29本、ドキュメント/クイズが29本、ドラマ/映画が37本で、サンプルの総時間は62時間50分にもおよぶ。このうち、外国も外国人もほとんどがアメリカかアメリカ人であった。全外国場面におけるアメリカは64.28%の時間を占め、全登場人物におけるアメリカ人は56.68%を占めている。

ポイントをまとめると以下のようになる
  • ドラマなどノンフィクション番組では、輸入された刑事/犯罪ものが多く、内容は類型化している。だが、時間帯も視聴率も悪く、再放送が多い。一方、ノンフィクションは日本制作の番組が多く、週末のよい時間に放映されており視聴率も高い。
  • ノンフィクション番組では「日常生活/風俗/習慣」「自然/景色」などのテーマが多いが、アメリカを除くほかの国のテーマでは「歴史/文化遺産」「食事/料理」などのテーマも多くとりあげられている。
  • 登場人物の職業はさまざまだが、「刑事/景観/兵士/武芸家」などがもっとも多い。
  • 女性(68人)より男性(160人)が多く登場し、年齢では24才から64才の人が、中流の上という社会階層の登場人物が多い。

    SD法のイメージ調査は、サンプルの大多数を占めたアメリカとアメリカ人について行っている。






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