年度 | 2008 |
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科目名 | 文献講読 |
教員名 | 深瀬 槙雄 |
授業概要 | Albert Camus アルベール・カミュ作「LES JUSTES・正義の人々」は,1905年2月ロシアS・Rのテロリストたちによるセルゲイ太公暗殺事件に題材をとった戯曲である.この5幕の劇曲は,圧政に抵抗して人民のために立ち上る「正義の目的」と「テロルという非人間的手段」の根源的矛盾に引裂かれる若きテロリストの苦悩を描いている. どのような目的であれ,「他を殺す行為」を正当化するには,自己の「死」で解決する他はないとするこの考え方は,21世紀に入っても続くテロリズムの横行と同一思想とも云える. カミュの不条理の哲学が結晶した「我反抗す,故に我ら在り」の命題を,この戯曲を精読することによって知り,今日なお多くの若者たちを引きつける「反抗的人間像」をさぐる. |
授業計画 | 戯曲の母体となったサヴィンコフ作「テロリストの思い出」 血の日曜日事件 日露戦争とツァーリズム ナロードニキ的テロリスト集団「S・R」 大仏次郎作「詩人」の中のS・Rテロリスト 「反抗的人間」「異邦人」にみる実存的人間像 「正義の人々-5幕-」の朗読とテキストレジ 音声劇(朗読劇)として,ラジオスタジオ(Bスタジオ)での収録 |
評価方法 | 授業への参加度による |
教科書 | |
参考書 | |
メッセージ | この作品は,いわばドキュメンタリードラマ的土台の上にカミュの哲学的命題を観念劇ではなく,一般客も理解しやすい劇的高まりの中で展開させる見事な作品です.その科白(セリフ)劇的要素を味わうためにも,朗読劇の手法によって授業を行います. |