システム開発の経済性(E)

年度 2010
科目名 システム開発の経済性(E)
教員名 長尾 弘修
授業概要 とかく技術的な面から語られることの多い情報システムとその開発ですが、この授業では「お金の面から」情報システムとその開発運用を解説します。
情報システムの開発運用も企業の経営活動のひとつですから、「投資に見合う効果があるかどうか」が問われます。またシステムを企画したユーザーが開発をベンダーに委託する局面では、「システムの規模を想定し見積もりに合意」しなければ始まりません。開発の責任者は、「与えられた予算の中で」開発を完了する必要があります。
すなわち、情報システムを「お金の面から」理解することも、SEにとっては必須なのです。
授業計画 Ⅰ 講義ガイダンス
講義の狙い、目標、授業運営上のルール、評価方法などを徹底します。
情報システムとお金を巡る3つの視点について説明します。
Ⅱ ユーザーの見る視点 「投資対効果」
Ⅱ-1 情報システムに関わる投資と経費
情報システムを開発し運用するために必要な投資や経費にはどのようなものが
あるのでしょうか。
目に見えないコスト、継続的な投資なども整理しなければなりません。
Ⅱ-2 情報システムの効果
導入する情報システムの種類や目的によって、期待される効果は違います。
定量的に把握できるものもあるし、定性的にしか把握できないものもあります。
Ⅱ-3 問われる投資対効果
1と2から投資に見合う効果があるかどうかを判断します。
その情報システムの寿命をどう想定するかも大切です。
Ⅲ ユーザーとベンダー共通の視点 「見積り」
Ⅲ-1 開発の委託と「見積り」の意味
システムを企画したユーザーと開発を請け負うベンダーの間で、
システムの規模や開発費用について双方が納得できて、合意して、
初めて開発に結びつくのです。
Ⅲ-2 開発工数と人月単価
開発費用は開発工数と人月単価をベースに算出します。
特に人月単価の意味を正しく理解しておく必要があります。
Ⅲ-3 システムの規模の見積り
ところでシステムの規模というのは何でしょうか。
画面や帳票の数、システムの範囲や機能、開発に必要な工数、プログラムの
総ステップ数などいろいろな考え方があります。
それらをどう見積るのでしょうか。
Ⅲ-4 FP法による見積り
FP(ファンクションポイント)法による見積りの考え方について説明します。
Ⅲ-5 いろいろな見積り技法とその特徴
FP法以外にもいくつかの見積り技法があり、それぞれ特徴があります。
開発すべきアプリケーション、具体化の度合い、経験の有無、工程のどの局面で
見積るのかなどによって使い分けています。
Ⅲ-6 実例研究
実際のユーザーやベンダーではその企業としての標準見積り法を定めた上で、
個別の見積りはその時々の事情に合わせて対応しています。
いくつかの事例を説明します。
Ⅳ 開発責任者の視点 「コストマネージメント」
Ⅳ-1 開発責任者の役割
「開発が成功した」ということはどういうことでしょうか
そのために開発責任者は何をすればいいのでしょうか。
Ⅳ-2 コストマネージメント
開発責任者の役割のひとつに、与えられた予算の中で開発する、ということが
挙げられます。これが非常に難しい。何が難しくしているのでしょうか。
Ⅳ-3 EVMを使った工数とコストの管理
計画と実績の差異の評価方法にEVMがあります。
これを使用して工数とコストを管理する方法を説明します。
*上記は、授業の予定回数と必ずしも一致するものではありません
評価方法 (1)授業への出席(2)授業中に何回か提出を求めるレポートの内容(3)期末試験
この3点で評価します。(1)と(2)に40%、(3)に60%の重みを置きます。
教科書
参考書
メッセージ 参加型の授業を目指します。