現代社会と文化

年度 2010
科目名 現代社会と文化
教員名 上谷 香陽
授業概要 文化とは、華道や茶道や武道のような国家単位の伝統だけでなく、人間の生活に関わるあらゆることを含みます。言語、時間、教育、労働、家族、メディア、性別などのあり方も一つの文化です。文化とは人間の生活様式の総体のことです。授業では、21世紀を生きる私たちの生活様式=文化と社会の関連について、社会学の視点で考察していきます。そもそも日本語の「文化」という言葉は、明治時代以降に、英語のcivilizationやcultureあるいはドイツ語のKulturの翻訳語として使われ始めました。今日の私たちの生活様式=文化は、翻訳語「文化」の登場を含む、日本の近代社会化の過程と深く関わっています。授業では、国民国家、産業社会、近代家族、性別などをキーワードに、西洋発の近代社会と私たちの生活様式=文化との関連を考察します。また、20世紀半ば以降西洋(とりわけ欧州)で顕在化してきた、近代社会に内包される矛盾を自己変革するような生活様式=文化の創出の動きについても、理解を深めます。この授業の最終目標は、受講者各自が、自分の馴染みの生活様式=文化を、自ら社会学の発想で考察してみることです。
授業計画 授業ガイダンス
「日本語」と近代社会(柳父(1982)『翻訳語成立事情』i-22:以下括弧内は予習課題)
「文化」と近代社会(佐藤・吉見編著(2007)『文化の社会学』27-54)
時間革命と近代社会の教育(橋本・栗山編著(2001)『遅刻の誕生』157-187)
近代家族と「女性」の国民化(小山(1991)『良妻賢母という規範』65-92)
国民国家中心メディアとしてのテレビ(吉見(2004)『メディア文化論』177-192)
消費社会とファッション(佐藤・吉見編著(2007)『文化の社会学』83-110)
脱「近代家族」への道(1)(原編著(2001)『家族論』189-206)
脱「近代家族」への道(2)(指定する新聞・雑誌記事)
仕事と生活の調和の模索(岩上(2007)『ライフコースとジェンダーで読む家族』134-162)
脱近代社会の教育(リヒテルズ(2008)『残業ゼロ授業料ゼロで豊かな国オランダ』22-70)
「地球市民」とフェアトレード(1)(長坂(2008)『日本のフェアトレード』3-40)
「地球市民」とフェアトレード(2)(指定する新聞・雑誌記事)
「現代社会と文化」を学んで(授業のまとめ:形式は授業時に指定)
※学期授業予定回数と必ず一致するものではありません。
評価方法 出席14点満点(遅刻や早退は減点)、授業コメント14点満点、予習課題26点満点(締切に遅れた場合は減点)、学期末レポート46点満点、の合計。学期末レポートはAA、A、B、Cの4段階で評価。単位修得のためには、予習課題全ての提出と出席2/3以上を必要とする。
教科書
参考書
メッセージ この授業では予習課題として、A4版用紙1枚程度の小レポート(書式は授業時に指示)を毎回の授業の前日までに提出してもらいます。これは高校までの「宿題」とは違います。受講者各自が自分自身の問題意識を持って、授業の議論に積極的に参加するための準備です。提出された予習課題や授業コメントは授業の教材として使います。受講希望者は、第1回目の授業ガイダンスに必ず出席して下さい。