経済学

年度 2010
科目名 経済学
教員名 杉山 富士雄
授業概要 従来のミクロ経済学の主流は、需要と供給に関する均衡論を中心に展開され、市場の効率性を議論します。しかし、いくつかの「現実離れ」した前提に立脚した理論から成り立っています。近年では、企業間の協調と競争、企業組織の成立・存在、契約や取引コストといった重要な問題を解明するのに、ゲーム理論と、情報の経済学が急速に発展し、相次いでノーベル経済学賞の対象となっています。本講義では、多数の取引主体の戦略的意志決定を扱う「ゲーム理論」という数学の一分野及び、不完全な情報の下で個人がどのように行動するかを解明する「情報の経済学」について解説します。 論理的思考について不慣れな学生が履修された場合、内容を理解したり、単位修得は容易ではありません。
授業計画 ゲ-ム理論入門
囚人のジレンマと共有地の悲劇
競争とナッシュ均衡
同時手番の寡占ゲ-ム
サブゲ-ム完全均衡
ゲ-ムの駆け引き
2段階ゲ-ム
協力の発生と繰り返しゲ-ム
交渉ゲ-ム
数量競争ゲ-ム
価格競争ゲ-ム
現実の企業競争への応用
サンクコストと機会費用
インセンティブと逆選抜
価格裁定と比較優位
モラルハザードと計画経済の失敗
旅行ビジネスの競争戦略
格安航空会社の経営戦略
評価方法 、授業中の活動と期末の試験を総合的に評価する。ただし、成績評価の基準は次ぎのとおり。AA)形式に不備がなく内容が特に優れている、A)形式に不備がなく出題意図に応じた内容である、B)形式は満たしているが内容がやや不足である、C)形式・内容とも若干の難点がある、D)課題がこなせていない
教科書
参考書
メッセージ 授業には、必ずテキストを持参して出席すること。単位取得には、論理的思考力を必要とします。従来のミクロ経済学は、他の市場参加者との戦略的相互作用を無視した仮定の下で成立する「特殊ケース」を扱うのに対して、ゲーム理論では、相手が何をするかによって自分の行動も変わる「駆け引き」の状況を分析します。より複雑な現実経済を分析するのに有効です。また、情報の非対称が取引する市場参加者の間に存在する場合、市場の効率性は保証されず、様々な誘因(インセンティブ)の設計が必要になります。現代の先進工業国や経済発展する開発途上国の経済構造を厳密な科学的アプローチで解明するために、急速に進化する「ゲーム理論」と「不完備契約論」を解説しますから、論理的思考を利用した授業になります。履修する学生は、まずテキストを見て、自分が履修できるかあるいはすべきかどうか判断してから、登録して下さい。