知識システム

年度 2010
科目名 知識システム
教員名 広内 哲夫
授業概要 私達は、日常的に仕事や生活の場で色々な判断を行っている。例えば専門店の店員は経験的に身につけた知識を用いて、顧客に適切なアドバイスを行う。このような人間の知的行為はコンピュータでシミュレートできるのであろうか? これは現在、エキスパートシステム(知識システム)と呼ばれるシステムではある程度可能となっており、そこでは人間の思考のメカニズムが応用されている。本授業では、その基本的な原理を論理代数を用いてモデル化する方法を学ぶ。授業の後半では研究室で製作した推論シミュレータ(推論エンジン)を用いて、学生諸君の作成したモデルベースを実際に稼動させることにする。
授業計画 1.チェスの世界チャンピオンにコンピュータが勝った!!!
2.人工知能の歴史・・・揺籃の時代、失望の時代、AIビジネスの時代
3.人工知能とは・・・人工知能の定義とその判定方法
4.思考のメカニズムとモデル化・・・パズルにおける探索、ヒューリスティックス
5.人間における推論・・・演繹推論、帰納推論、発想推論
6.論理代数の基礎・・・命題論理、推論規則、ド・モルガンの法則と分配率
7.思考のシミュレーション・・・エキスパートシステム(知識システム)の実現
8.モデルベース作成演習(1)・・・モデル化の方法
9.モデルベース作成演習(2)・・・推論プロセス
10.専門家の思考方法・・・仮説生成-検証の方法
11.推論シミュレータを用いた実習(1)・・・仮説生成・検証プロセス
12.推論シミュレータを用いた実習(2)・・・モデルベースの検証
13.推論シミュレータを用いた実習(3)・・・演繹推論の検証
14.推論シミュレータを用いた実習(4)・・・仮説生成・検証の確認
15.総合演習・・・まとめと討論
上記の授業内容は体系的な全体計画であり、学期の授業予定回数と必ずしも一致するものではありません。
評価方法 試験は実技試験+口頭試問である。学生諸君が好きな領域を選んで何らかのモデルベースを事前に作成し、試験当日、実際に稼動させる。その結果に基づいて口頭試問を行う。評価基準は、口頭試問に合格し、精巧なモデルベースを構築すればする程、高得点となる。評価の基準は次の通りである。AA)質の高い良いモデルベースである。A)良いモデルベースである。B)一応の水準のモデルベースである。C)最低限のモデルベースである。D)課題のモデルベースに該当しない。
教科書
参考書
メッセージ 1997年5月、マスコミは「チェスを指すコンピュータが人間のチェス世界チャンピオンに勝った」と言う衝撃的なニュースを報じた。(専門家を含め)誰もが起こり得ないと信じられていたことが起こったのである。実はこのチェス・コンピュータは、人間の思考をシミュレートしたシステムである。是非、この授業を通して、チェス・コンピュータが如何にして人間に勝ったのかを考えて欲しい。授業では、そのヒントを提供する。乞うご期待!