社会調査の統計学

年度 2010
科目名 社会調査の統計学
教員名 日吉 昭彦
授業概要 社会調査の妥当性を保証する基礎となる部分の統計学を学ぶ。記述統計における分布、標本統計における分布と検定・推定の理論、標本抽出の理論、変数間の相関の基本的な理論と適用を学ぶ。統計の理解だけでは、実際の調査・分析がどのようなものか実感がわきにくいため、様々な指標概念の理解と同時に、実際のデータ操作を合わせて進める。そこで学習過程では適宜にSPSSとEXCELおよび調査データを利用して、社会調査が直面する様々な判断の妥当性と限界を考察する能力を育成する。このためにコンピュータ教室を利用する。
授業計画 社会調査をあらしめている統計学の基礎の理論を、じっくり学習します。計算はほとんどコンピュータにさせますので、数字の操作が得意とは言い切れない学生諸君にも対応出来るでしょう。以下の内容で基礎から授業を進めます。
授業ガイダンス:社会調査における統計的問題の概略等
基本統計量とその試算
確率論の基礎1:確率の概念、事例と確率の分布
確率論の基礎2:確率変数と正規分布、母集団と標本統計量、標本分布と出現確率
標本抽出法1:母集団と標本抽出要件、各種抽出法と標本誤差
標本抽出法2:標本抽出の実施
検定・推定理論1:帰無仮説・対立仮説と検定の概念
検定・推定理論2:第一種の過誤と第二種の過誤、両側検定と片側検定
検定・推定理論3:各種の分布関数と検定・推定
クロス集計の検定:χ2乗検定
変数のコントロール:相関関係と因果関係、エラボレーションとその実施
相関係数:ピアソンの積率相関係数と検定、その他各種相関係数と検定
偏相関係数:擬似相関関係と変数の統制
回帰分析の基礎1:単回帰分析と重回帰分析
回帰分析の基礎2:回帰分析の検定
評価方法 授業への積極的な参加と出席を重視します。授業毎の理解度をミニテストやリアクション・ペーパー、中間レポートなどで確認し、それらを総合した平常点を30%とします。また、期末に行うまとめの課題試験を70%として評価します。成績評価の規準は、授業への積極的な参加を前提に、AA)授業内容を特に理解し、社会調査の実施に十分対応し応用できる、A) 授業内容を理解し、社会調査の実施に十分対応し応用できる、B)授業内容の理解あるいは社会調査の実施への対応にやや不足がある、C)授業内容の理解あるいは社会調査の実施への対応に難点がある、D)課題がこなせていない、とします。
教科書
参考書
メッセージ 「社会調査士」の資格に必要な科目の一つです。情報社会の急激な進展のなかで、数字を読解するリテラシーを身に付けることは、現代社会の要請でもあるでしょう。統計学を学ぶことで、メディアで伝えられる世論調査の結果を批判的に読み解いたり、選挙の際の当確報道の課題などについて考えるなど、統計データと社会の関係を考察する一つのきっかけになればとも考えています。