国際関係論

年度 2010
科目名 国際関係論
教員名 林  薫
授業概要 この授業は現代の国際社会の基本的な仕組み、現在起こりつつある変化、課題などについて学ぶこと目標とします。1990年代以降、世界レベルで「ヒト、モノ、カネ、情報」の「移動量」×「移動」速度が爆発的に増大しています。これが「グローバリゼーション」と呼ばれる一連の変化を生み出しています。たとえば、現在の国際関係は国民国家を中心にして構成されていますが、この原型は17世紀のヨーロッパで形成されたものです。現在、変化はこの基本的な枠組みにまで及んできています。授業では、グローバリゼーションのもたらした変化や南北問題、貿易自由化、地球環境、資源、地域協力、安全保障など現在の国際社会の直面する課題を分析、展望し、21世紀の新たな枠組みはどうあるべきかについて考えます。この授業を通じて国際関係の基礎知識と市民として国際社会の中で生きていくための、特に政治、経済面での基礎的教養の修得を達成目標とします。具体的な知識修得目標としては日本経済新聞などの政治面、経済面の記事を読んで理解できるようになることを目指します。
授業計画 グローバリゼーションとは何か(千年単位で見た人類の歴史/グローバリゼーションによる経済・社会・政治の変化)
国際経済の基礎知識(1)豊かな国貧しい国(国民所得の考え方/経済成長とは何か?)
国際経済の基礎知識(2)人間の生活(生活レベルの比較/人間開発指数/その他の指標)
国際経済の基礎知識(3)世界の経済(国際経済の基本/貿易と投資/グローバリゼーションによる世界経済の激変)
日本の位置づけ(国際的な指標の比較で見た日本/日本の経済発展/日本は豊かな国か?)
国際社会における「公共」とその担い手(国際社会と国内社会の違い/国際公共財の供給/覇権国家の役割)
現代国際社会の形成(第一次大戦後の国際協調とその挫折/第二次大戦と冷戦/パレスチナ問題)
経済と政治の比較体制論(資本主義と社会主義/市場か計画か?)
国際関係の理論(国際関係の主体/主権国家から国民国家へ/国際政治の基本・国際関係理論/リベラリズムとリアリズム)
アイデンティティ・エスニシティ(内戦と民族紛争/幻想の共同体・ナショナリズム)
貧困の削減(国際開発のレジーム/ミレニアム開発目標は有効か?/「国際協力」のパラダイムの変遷)
資源と環境(資源・環境の制約と人間社会/脱石油文明は可能か/水と食糧)
持続可能な国際社会を目指して(国際的な危機管理/激変する国際社会における日本の役割/個人が何をすべきか、何ができるか?)
(以上の授業概要は、学期の実際の授業回数・回次と一致するものではありません)
評価方法 授業内で何回か実施する試験、中間、期末レポート等の平均点を評価の基本とします。試験もしくはレポートの実施方法等については授業中に説明を行います。授業への貢献(よい質問の提起などのプラス面および私語などのマイナス面)を考慮します。国際社会の基本的見方、知識が取得できているかどうか、自らと国際社会のつながりを認識できているかどうか等が評価基準です。具体的な評価の基準は以下の通りです:国際人として必要な知識を習得できた場合AA、ほぼ習得できた場合A、多少不足しているが概ね習得できた場合B、一層の努力を要するが今後の発展に期待できる場合C、もう一度履修することが適当と思われる場合D。
教科書
参考書
メッセージ われわれは今、人類が経験したなかでも最も急速な変化の中に生きていると思います。国際関係を学ぶ上で重要なことは、自分自身がいかに世界の動きと結びついているかを認識し、同時に、自分がどのような形でよりよい世界のために行動できるかを考えることです。