国際理解論

年度 2009
科目名 国際理解論
教員名 林 薫
授業概要 この授業は現代の国際社会の基本的な仕組み、現在起こりつつある変化、課題などについて学ぶこと目標とします。1990年代以降、世界レベルで「ヒト、モノ、カネ、情報」の「移動量」×「移動」速度が爆発的に増大しています。これが「グローバリゼーション」と呼ばれる一連の変化を生み出しています。たとえば、現在の国際関係は国民国家を中心にして構成されていますが、この原型は17世紀のヨーロッパで形成されたものです。現在、変化はこの基本的な枠組みにまで及んできています。授業では、グローバリゼーションのもたらした変化や南北問題、貿易自由化、地球環境、資源、地域協力、安全保障など現在の国際社会の直面する課題を分析、展望し、21世紀の新たな枠組みはどうあるべきかについて考えます。この授業を通じて国際関係の基礎知識と市民として国際社会の中で生きていくための基礎的教養の修得を達成目標とする。
授業計画 グローバリゼーションとは何か
概観とデータの見方(1)豊かな国貧しい国(所得と人間開発指標)
概観とデータの見方(2)世界の紛争(9.11後の世界と紛争)
概観とデータの見方(3)世界の経済(貿易、経済成長)
概観とデータの見方(4)エネルギーと環境(地球温暖化)
国際社会の歴史(1)文明史概観:歴史を動かす力としてのイノベーション
国際社会の歴史(2)ギリシアの都市国家と力の均衡
国際社会の歴史(3)ローマ帝国と中国の歴代王朝:地域覇権国家による安定
国際社会の歴史(4)ヨーロッパの膨張と植民地:ヨーロッパ中心の考え方からの脱却は可能か?
国際社会の歴史(5)国民国家の成立:想像の共同体としての国民国家とナショナリズム
国際社会の歴史(6)19世紀から第1次大戦:帝国主義の分割と現代国際紛争の起源
国際社会の歴史(7)戦間期:国際協調の成立、展開とその挫折
国際社会の歴史(8)第2次世界大戦後:戦後世界の制度設計と現代
国際社会の歴史(9)冷戦とその終結・ポスト冷戦
国際関係の理論(1) リアリズムとリベラリズム
国際関係の理論(2) ネオリベラリズムとネオリアリズム
国際関係の理論(3)従属理論と世界経済システム論・コンストラクティヴィズム
現代の課題(1)豊かな国と貧しい国・開発援助の役割・ミレニアム開発目標
現代の課題(2)グローバル経済 そのチャンスと脅威
現代の課題(3)成長の限界:有限なエネルギー資源
現代の課題(4)生存の条件:水と食料
現在の課題(5)人間の安全保障
(以上の授業概要は、学期の実際の授業回数・回次と一致するものではありません)
評価方法 授業内で何回か実施する試験(50%)および出席・レポート等(50%)で評価を行う。レポートもしくは試験の実施方法等については授業中に説明を行う。授業への貢献(よい質問の提起などのプラス面および私語などのマイナス面)を考慮する。国際社会の基本的見方、知識が取得できているかどうか、自らと国際社会のつながりを認識できているかどうか等を評価基準とする。一応の基準は以下の通り:国際人として必要な知識を習得できた場合AA、ほぼ習得できた場合A、多少不足しているが概ね習得できた場合B、一層の努力を要するが今後の発展に期待できる場合C、もう一度履修することが適当と思われる場合D。
教科書
参考書
メッセージ われわれは今、人類が経験したなかでも最も急速な変化の中に生きていると思います。国際関係を学ぶ上で重要なことは、自分自身がいかに世界の動きと結びついているかを認識し、同時に、自分がどのような形でよりよい世界のために行動できるかを考えることです。