システム開発の経済性(S)

年度 2009
科目名 システム開発の経済性(S)
教員名 児玉 公信
授業概要 情報システムは企業や組織で活用されて,はじめて効果や価値を生み出します。その価値を生み出すためにさまざまな費用がかかっています。情報システムを構成するソフトウェアの開発コストもありますが,運用場面では,そこで使われるデータ作成のコスト,コンピュータシステムや通信システムを安全に稼働しつづけるためのコスト,ビジネス環境の変化に対応するための変更に関わるコストなどがあります。一方,生み出される価値も多様で,作業効率の向上や,ムダの排除だけでなく,ビジネス機会の損失防止,市場における地位の確保,他社の参入障壁などのビジネス戦略上の価値もあります。
本授業では,このように情報システムの開発から運用までの活動に関わる価値と費用を広く捉えて,その経済性について議論します。
授業計画 講義と小演習を交えて授業を進めます。
講師へのフィードバック用に「大福帳」を用います。「大福帳」については受講生へのメッセージで説明します。
オリエンテーション,経済性とは何か
このプログラム,いくらで売りますか/買いますか。
この小さな例題で,プログラムの取引価値と原価の問題を議論します。
情報システムのライフサイクルと取引の共通フレーム
情報システムが作られてから捨てられるまでの流れを確認します。
この間,さまざまな費用と効果が発生します。それを発注者と受注者,それぞれの立場から概観します。
コスト見積もりの重要性と課題
ソフトウェアの開発費用がどのくらいになるか。
これは,発注者,受注者ともに重い意味を持っています。
しかし,その見積もりを巡って多くの課題があります。
要求の規模計測(1)
ソフトウェアの開発費は,発注時点では要求しか決まっていません。
要求から規模を計測する。その方法がファンクションポイント法です。
要求の規模計測(2)
要求の規模計測(3)
ソフトウェアの規模計測
設計が進めば,ソフトウェアの規模がある程度推定できます。
ソフトウェアの規模をLOC(コード行数)で表す方法があります。
LOCをベースにしたCOCOMO-IIという方法を概観します。
開発コストと期間の見積もり
要求の規模やソフトウェアの規模からコストを推定します。
規模以外にもコストを左右する要因があります。
非機能要求とコスト
規模以外で最も大きな開発コスト要因は,信頼性に対する要求です。
性能や拡張容易性についてどのように捉えたらよいでしょうか。
要求仕様から開発コストを見積もる(1)
見積もりで犯してはならない失敗は,要求の把握漏れです。
そのために,最低,見積もりに必要なモデリングを行います。
ユースケースとデータモデルからファンクションポイントを計測します。
要求仕様から開発コストを見積もる(2)
データフロー図からファンクションポイントを計測します。
見積もりレビューを,モデルを使って行います。
情報システムの効果の推定
情報システムの効果にはどのようなものがあるでしょう。
財務的効果と非財務的効果にわけて捉えます。
IT投資マネジメント
その情報システムを開発する経済的意味があるかの判定について議論します。
まとめと総合演習(1)
これまでの議論を総括します。
具体的な題材で開発費を見積もり,運営費を見積もって,投資判断をする演習を行います。
まとめと総合演習(2)
評価方法
教科書
参考書
メッセージ 「大福帳」は,受講生から講師へのフィードバックの仕組みです。個人ごとに大福帳(紙)を作ります。これには,授業の感想,授業でわかったこと・わからなかったこと,もう一度ここを詳しく説明してほしいなどの要望を書くことができます。講師はそれらにコメントを付けて返します。このやり取りを通して授業をあなた向けに変えていきましょう。