--第話--

アリーナ・コンサートのパンフについて
表紙



内容はコンサートの案内や来年度の予定等、挨拶、歌手の紹介で計40ページ。うち半分は広告だ。

この広告の内容分析を通して、このコンサートの特徴のある一面がよく分る。

まずは表紙に記載の広告主から見てみよう。
日本料理店
法律事務所
歯科医
金融*2
インターネット・プロバイダー
ビデオ製作販売
これらの広告主の広告は、当日の会場でも特設モニターでCFとして流れされており、主要広告主であると考えられる。ここにあげられた日本料理店は、経営がベトナム系アメリカ人の手にまかされているということなので、ベトナム系コミュニティーとの関連は深いと考えてよいだろう。イベントのバックアップは、大企業の冠広告によるものというより、地域密着型の実用的な生活に根ざした広告主によるものであることが分る。

次に全面広告を見てみたい。
法律事務所
歯科医*3
コスメティック&歯科医
リサイクル/ごみ処理
不動産
金融

日本料理店
ファーストフード

化粧品
電子機器販売

AMラジオ局
出版
ビデオ製作
音楽プロダクション
インターネット・プロバイダー

音楽ソフト/ビデオ/書籍販売*4
などとなっている。
全面広告でも、コンサートと関連の深いメディア企業よりも、事務/医療に関わる広告が多いことが分る。広告としては効果の高そうな小売り店や販売店の広告はこのなかではやや少なく、音楽メディア等、コンサートにごく近いものが多い。社長の顔が広告に掲載される事務/医療関連の広告は、日系のエスニック・メディアや日系ディレクトリなどに掲載される広告に特徴的なスタイルだ。

次に半面広告をみてみよう。
自動車修理/部品販売
医師会
ビデオショップ
主催者広告
レストラン
保険事務所
税吏事務所
さらに1/4面広告では、
レストラン
不動産*2
宝石店
ダンス教室
写真屋
などとなっている。
一貫して特徴であると考えられるのは、現代のコンサート広告には比較的多い、消費されるイメージを伝える広告よりも、現実面で生活を支えるコミュニティー広告が多いことである。
こうした広告の側面には、コンサートの観客像を投影することができ、その空間は一種のエスニック・メディアとして機能しているとが考えられるだろう。