what's V-POP


V-POPとは何か!? 〜これぞV-POPうんちくだ〜 V-POP スーパースター列伝
-もくじ-
  • 総括「V-POPとは何か」
  • 歴史「V-POPとは何か」
  • ジャンル「V-POPとは何か」


総括「V-POPとは何か」

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歴史「V-POPとは何か」

Coming Soon

ジャンル「V-POPとは何か」


 最近は、よくテレビや雑誌にベトナムが登場するので、日本でもV-POPについて興味を持つ人が増えたようだ。「V-POPってどんな感じ?」と聞かれることも多いけれど、なかなかうまく答えられない。たくさんあるCDを全部並べて聞いてもらうわけにもいかないし、それぞれの歌手が独自の雰囲気を持っていて簡単には説明できない。そんなときにガイドになるのが「音楽ジャンル」だろう。日本ではよくロックとかテクノなどのような言葉で音楽を分類する。「J-POP」のような総称が生まれたり、「なんとか系」のようなあいまいな言葉もある。V-POPについてはどうだろうか。いろいろな言葉があるだろうが、いくつか代表的なものを紹介してみたい。

 「Nhac Tre」という言葉は、日本語の「ポップス」という言葉に最も近い意味合いで使われるようだ。「Nhac Tre」を翻訳すると「若者の音楽」となる。ただ、日本語の「ポップス」同様に非常に広い意味で使われるようで、決して若者だけの音楽ではないが、世代をあらわす言葉が音楽ジャンルに使われているのは面白い。日本にも以前は「ヤング」というジャンルがあったように思うので、言葉に込められた雰囲気はよく分かるのではないだろうか。ベトナムのカフェでひと休みして、アイスコーヒーの氷をまぜつつ聞こえてきそうな音楽を思い出したら、それはきっと 「Nhac Tre」だ。
 「Nhac Dan Toc」という言葉は、いわゆるベトナムの伝統的な音楽だ。日本語にすると「民族の音楽」となる。日本で伝統音楽を「ポピュラー音楽」と言うとやや妙な感じがするが、ベトナムでは少々事情が異なるようだ。「Nhac Dan Toc」も細かく分類するときりがないのだが、ベトナムではテレビなどでもしばしば「Nhac Dan Toc」が流れている。私がベトナムの17弦琴(Dan Tranh)を習ったときの師承であるHai Phuong氏はベトナムでは名の知れたスターだったし、現代風にアレンジした民謡などは「Nhac Tre」の歌手がしばしば歌う。「Nhac Tre」のコンサートでも伝統的な要素がたくさん含まれている。ベトナムの音楽の魅力は「Nhac Tre」と「Nhac Dan Toc」が融合しているところにあるのかもしれない。ところで、「Nhac Tre」は「Nhac Dan Toc」の対語ではないが、実際の用いられ方は伝統音楽以外のものをなんでも差し示すことができる言葉でもあるようだ。
 「Nhac Tre」と「Nhac Dan Toc」という二つの大きなジャンルから、V-POPの「らしさ」とは、世代と民族の融合にあるのだろうかと感じる。ベトナムには、売り上げの大きさや販売量だけでは計れないみんなの歌手がいるのも、そんなところに理由があるのだろうか。そのような魅力あふれるV-POPの一つに「Nhac Que Huong」というものがある。日本語にすると「故郷の音楽」となる。ジャンル名があらわす通り、「故郷への想い」が一貫したテーマだ。「Nhac Que Huong」は、「Nhac Dan Toc」を近代的なものと融合させて出来た南部の伝統的アマチュア歌劇である「Cai Luong」を、さらに歌謡として発展させたものだ。「Cai Luong」は日本語にすると「改良」となる。涙モノからからお笑いまで、大衆的な人気芸能である。「Cai Luong」の意味である「改良」とは、文化の運動としての意味合いであって、芸術音楽の普及における方法が表現されているのであって、音楽の違いを良い悪いで分けているのではない。この「Cai Luong」の音楽部分だけを取り出して、より歌謡の要素を発展させたのが「Nhac Que Huong」だ。
 「故郷への想い」がテーマであるように、「Nhac Que Huong」は、リスナーによって異なる故郷を思い起こさせるのだろう。私は「Nhac Que Huong」を聞くと、ベトナム旅行を思い出す。地方から都会に出てきた人も、海外で生活するベトナム人もそれぞれの故郷があるだろう。「Nhac Que Huong」のなかでも20年以上も前に流行っていた音楽を特に越僑歌手が歌っている時によぶ名称として「Nhac Vang」というジャンルがあるそうだ。日本語にすると「黄色い音楽」となる。V-POPには、歌い手と聞き手、そしてその背景もふまえた音楽ジャンルがある。
 ところで、「Nhac Tre」と「Nhac Dan Toc」分けるキーとなる言葉に、「Ca Khuc」という言葉がある。日本語にすると「歌曲」となる。これは、作曲家のある近代の名曲をさす言葉で、ジャンル名としても使われているようだ。ベトナムの文化では、曲を歌手の持ち歌としてとらえず、作曲家の歌としてとらえる傾向がある。コンサートでは、歌手は必ずといっていいほど作曲家の紹介をする。そのときに音楽を示す言葉として「Ca Khuc」と表現するようだ。ただフォーマルな場でないときは、「Nhac Que Huong」は「Ca Khuc」であるが、ヒット中の「Nhac Tre」を「Ca Khuc」とは言わないようだ。
 様々な音楽ジャンルと同様にリズム名を用いて音楽ジャンルを示すのもV-POPの特徴である。「Cha Cha Cha/Rumba」はリズム名であり、音楽ジャンルでもある。二つのリズムはV-POPの間で極めてよく浸透しており、どのジャンルの音楽もこのリズムであればリズム名で呼ぶことがある。
 最後に「Nhac The Gioi」あるいは「Nhac Quoc The」という言葉を紹介しよう。日本語にすると「世界音楽/国際音楽」となる。これは海外の音楽を指し示すときに使うジャンルだ。日本で「ワールド・ミュージック」というと一種独特の意味合いになる。日本語の「ワールド・ミュージック」は「エスニック・ミュージック」という別のジャンルと混じりあって、英語圏以外の音楽を指し示すような傾向があるが、ベトナム語の「Nhac The Gioi」はその逆なのだ。
 日本語の「ワールド・ミュージック」という言葉は輸入語ではあるが、アジアやアフリカなどの音楽をなんでも一括りで表現してしまう。「V-POPってどんな感じ?」というとき、日本語で「ワールド・ミュージック」と答えるよりも、ベトナム語のジャンルで答えてみると、ベトナム独自のV-POPの雰囲気が伝わるかもしれない。ベトナムでCDを買いたいな、と思ったとき、この言葉を知っていれば、店員さんのお勧めにも力が入ることうけあいだ。
-もくじ-
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「V-POP スーパースター列伝:越僑歌手編」


 ここでは主に在アメリカで活躍するベトナム人V-POP歌手を紹介しよう。V-POPカルチャーの一つに、よくプロフィールを紹介するというものがある。ちょっと大きなコンサートのパンフレットには、歌手の写真とともに、必ずといっていいほどプロフィールが紹介されている。歌手よりも、どちらかというと、作曲家を大切にするのがV-POPカルチャーの特徴だが、作品としての曲に魂を込める歌手にとって、その経歴は極めて大事なのものなのだ。ただ、それだけではない。ここではV-POP歌手やその主なリスナーの置かれた独特の境遇、つまり、越僑という移民性が大きく関連している。

 そこで、「V-POP スーパースター列伝:越僑歌手編」では、

  • 1975年以前からのスター
  • 思い出としての二世
  • ベトナムからの歌手流出
  • アメリカ育ちの越僑二世
  • 難民から歌手へ
  • 役割モデルとしてのエスニシティ他

    と大きくその経歴を6類型にして紹介しよう。


    Elvis Phuong --1975年以前からのスター--
    1960年代前半からサイゴンでロックバンドとともに活躍。力強い歌声がの実力派で、越僑・ベトナム問わず人気の歌手。

    Thanh Tuyen
    幼少の頃から活動歴の長い南ベトナムのスター。1979年にアメリカに移民。独特のスタイルの歌唱は誰にも似ていない。

    Y Lan
    スターの家族に生まれ、サイゴンで歌謡カフェ経営していたが陥落で移民。出演料の最も高い歌手の一人。在日経験がある。

    Shayla --思い出としての二世--
    Thanh Tuyen の娘で移民後に生まれた二世歌手。移民の世代としての二世でもあり、新世代の歌手として活躍中。

    Nguyen Cao Ky Duyen
    南ベトナムの政治家Nguyen Cao Kyの娘で亡命後はアメリカ育ち。越僑メディア産業の政治性が分かる。主にMCで活躍。

    Hoang Lan
    Kim Tuyenという有名な歌手の娘であり、1989年に移民。伝統的な歌やステージスタイルで近年人気を集めつつある。

    The Son --ベトナムからの歌手流出--
    ベトナムで活動していた歌手だが、1990年代に移民。演奏家でもあり、ベトナム伝統歌謡のスタイルにコントを交えて人気。

    Truc Linh Tuc Lam
    1990年中盤にベトナムの歌謡コンテストで優勝し、ホーチミン市で活躍していたが移民。音楽産業生き残りの苦労が分かる。

    Huong Lan
    南部ベトナムの歌曲劇カイルーンの実力派だが、近年になって移民。ベトナムでも大人気の数少ない越僑歌手である。

    Don Ho --アメリカ育ちの越僑二世--
    アメリカ育ちの越僑二世。アート専攻の学生から、派手な無国籍風パファーマンスで人気を集める若手歌手に。来日有り。

    Phi Phi
    アメリカ育ちの越僑二世。アルバムの半数の曲は英語で、コンサートでもブラコンのカバーなどを歌っている。来日経験有り。

    Uyen Mi
    アメリカ育ちの越僑二世で姉妹で歌手として活動。アメリカンポップとベトナム的伝統の混ざった不思議なニューウェイブ。

    Nguyen Ngoc Ngan --難民からスーパースターへ--
    南ベトナムの軍で英語教師をしていたが1978年にボートピープルとして難民に。その後は小説家として、またMCとして活躍。

    Thanh Ha  
    高校卒業後に難民に。1991年にフィリピンの難民キャンプで美人コンテストに優勝して以来、様々なスタイルの歌で人気。

    Vu Khanh  
    サイゴンの音楽大学卒業後の1975年に難民に。故郷を想う歌を中心に人気。越僑の複雑な故郷への想いをパフォーマンスに。

    Phi Nhung --役割モデルとしてのエスニシティ他-- 
    南ベトナム最大の基地プレイクで生まれた、いわゆるアメラジアン。音楽産業自ら役割モデル性を強調しているのが分かる。

    Lam Nhat Tien  
    中国系ベトナム人歌手で、中国語のほか英語、フランス語などで歌う。難民に多い中国系ベトナム人の役割モデルである。

    Pham Duy  
    1950年代から活躍していた有名な作曲家。ベトナムでは曲を語るとき、歌手よりも作曲単位で語ることが多い。




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