シンポジウム 「 国際紛争の解決と国際協力を目指して −市民の視座から考える− 」

[パネリスト]
   山口博一    文教大学国際学部教授(アジア外交史・南アジア研究)
   戸田三三冬  文教大学国際学部教授(平和論・国際関係論)
   中村恭一    文教大学国際学部教授(国際協力論・国際ボランティア)
   金井恵里可  文教大学国際学部助教授(憲法・行政法)
   グローバル・ボランティアサークル TEAM ONE 関係学生
[司 会]
   奥田孝晴    文教大学国際学部教授(アジア経済論・開発経済論)


 21世紀初頭の世界情勢はまことに混沌としています。

 冷戦構造の崩壊は第二次世界大戦後の国際政治経済秩序に大きな変容をもたらしたものの、それは世界の紛争や対立を収めるものではなく、むしろ、イデオロギ−的対立軸のもとで潜在化していた諸々の民族、宗教、文化、経済的矛盾をより露わなものとしました。止むことなく繰り返される紛争により、愛する人々を奪われた無念は次々にあらたな怨念を生みだし、人々の心から憎しみが消え去ることはありませんでした。紛争は、虐げられ、抑圧されてきた社会的弱者により大きな負担を強いることとなりました。アフガニスタン、パレスチナ、バルカン半島等々…世界各地で生み出された数千万人にも達する難民の悲嘆の声は、今も絶えることはありません。

 一方、アジア地域に限っても1日2ドル以下でしか生活できない「絶対的貧困人口」が8億人に上っているという数字が示すように、世界中に蔓延する飢えと貧困の問題も深刻です。約1世紀前にワイマ−ル憲法が唱え、半世紀前に日本国憲法が高らかに宣言した社会権的基本的人権、すなわち「人が最低限度に健康で文化的に生活を営む権利」が、20世紀中に実現しなかっただけでなく、現在に至るも、世界で共有されるまでにはなっていないことに、素朴な義憤を感じる人も少なくないでしょう。

 要するにこういうことです。私たちが生きるこの世界は、いまだ矛盾と不条理に満ち満ちており、人々が最小限の意味で「人間らしく」生きることにおいてさえ、圧倒的な苦痛と困難が伴なう状況下にあるのです。満ち満ちている諸矛盾や不条理は「大国の力」、たとえば「先進諸国」による「援助」などで解消するような性質のものではなく、いわんやアメリカがアフガニスタンに空爆をすることで霧散するようなものでもないでしょう。求められるものは、より善き国際社会を築き上げるための一人一人の積極的な参画意志と、多様な文化・価値観を認めあい、理解しつつ、「世界の人々と共に生きる」という明確なメッセ−ジ、そしてその実現への方途に叡智を集めるより実践的な努力です。

 こうした問題に対して、私たち国際学部は主として各自の研究発表や授業を通じて解答を見つけだす努力をしてきたわけですが、それは基本的に各教員「個別」の段階に留まっており、市民の皆さんたちと忌憚なく見解を表わし、意見をたたかわせ、共同して解決策を模索する、という機会をこれまであまり多く持ってはきませんでした。一方、喜ばしいことに、湘南キャンパスでは国際ボランティア活動や海外体験・研修を通じて蓄積してきた学生諸君の学術的・実践的な活動が着実に成長してきています。

 本シンポジウムは、国際ボランティア活動などで活躍する本学の学生諸君を交え、市民の皆さんとともに、「地球市民」の立場から国際紛争の解決と国際協力のあるべき姿をともに考え、目指すべき方向性を模索する機会たることを願って企図されたものです。この小さな催しが、皆さんたちとの活発な対話を促し、国際社会への関心を高めるための一助となることを期待しています。

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