「 エラヘさんのペルシア語入門講座 」

 多くの日本人にとってイランという国は「遠くて、さらに遠い国」なのかもしれません。

 皆さんがイラン、と聞いて思い浮かべるものは何でしょうか。石油、天然ガス、石炭、ザクロ、ナツメ椰子…あるいは革命や戦争などという少し物騒な?言葉でしょうか。いずれにせよ、この国のことをあまり多くは知らない、という人がおそらくほとんどなのではないしょうか。

 国土面積165万平方キロ、人口6500万人、多くがイスラームを信仰するイランは、はるか昔から高度な文明が花開いた地域です。古代オリエントを統一した大帝国アケメネス朝、独特の華麗な文化を展開したササン朝、イスラーム文明とイランの民族主義を巧みに結びつけ、壮麗な建築群を作りあげたサファビー朝…世界史に登場するこうした王朝は、古代から続くきわめて水準の高い文明の担い手でした。

 また、イランは昔から東西文明の混じり合う「文明の交差点」でもありました。かつてユーラシア大陸を東へ西へと横断した人々は、アレクサンドロス大王やマルコポーロを含め、例外なくこの現在のイランの地を踏みして旅をしたのです。異なる文明や生活観・価値観の交錯は、今の時代に問題になっているような「文明の衝突」ではなく、「文明の融合」をもたらしました。物事に寛大で多様性を認めるイラン人の国民性は、そうした歴史と必ずしも無縁ではないでしょう。

 さて、このようなイランという国で話されている言葉がペルシア語です。ペルシア語で使用する文字は、もともとはアラビア語で用いられてきたアラビア文字です。美しいけれどもどうにも難解に感じられるこの文字のため、日本人にとってペルシア語はなじみの薄い言語となっていますが、アラビア語をはじめとする周辺諸国のセム語族系の言語と異なり、実はペルシア語は英語その他欧米諸国の多くで用いられている言語と同じくインド・ヨーロッパ語族の系統に属します。耳で聞けば英語などとの関連がわかるような単語も少なくありません。

 この企画では、イラン人の国際学部留学生ジャフアルザデ・エラヘさんを講師として、ペルシア語の初歩の初歩を学ぶとともに、イランに関するさまざまな事柄を紹介したいと思います。エラヘさんは日本語も堪能ですので、高校生、市民の皆さん、どうぞ気軽にお越しください。  

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