「 ユーラシアの芸能と会食の夕べ 」

国際学部国際協力フォーラム実行委員会

1.企画趣旨

 中央アジアを歩いていますと、ふとした谷間などの小さな岩に彫られた仏像に出会うことがあります。今のインド、パキスタンから大切なお経を持ち帰ってきた三蔵法師の話しはよく知られています。仏教はユーラシアの長い長い旅を経て日本に伝えられて、今日に至っています。

 宗教はもちろん、歌や踊りなどの芸能もあらためて調べてみるとユーラシアに起源をもつものが少なくありません。地平線までもが見渡せる大草原で、動物や植物と共生する遊牧の生活の中で育まれてきた文化をわたしたち日本人も共有している事実に驚かざるを得ません。  お父さんやお母さんも聞いていたユーミンの唄う歌はどうして世代を超えた支持を得ているのでしょうか。日本人の声の出し方、また唄う声に対する反応の仕方は、ユ ーラシア大陸にその起源があるという研究結果を発表している人がいます。

 この企画では、まず草原のチェロといわれるモンゴルの馬頭琴が草原を駆ける馬のリズムにあわせて弾かれます。また、オルチンドーはモンゴル語で『長い歌』という意味の民謡であり、遊牧民族であるモンゴルの人たちを代表する音楽です。オルチンドーは日本民謡である「追い分け」や「馬子うた」のルーツと言われています。

 一方では、日本人の「江差追分」のお師匠さんがモンゴル現地の人たちから大歓迎を受けたという話しもあります。そして、シルクロードの中心で生活するウイグルの人々が愛好するラワープという弦楽器は日本の三味線のルーツと言われています。そしてウイグルの人たちはダンスが大好きです。

 当日は、これらモンゴルの馬頭琴やオルチンドー、そしてウイグルのラワープや民族舞踊を、本場のアーチストたちの出演でお楽しみいただきます。ラワープの名手、東京芸大大学院に在籍中のウメルさんも出演します。そしてユーラシアの人たちはお祭りが大好きです。演奏のあとは来場のみなさまと歓談のひとときを一緒に楽しんでいただきます。

2002年7月8日


2.プログラム 「ユーラシアの芸能と会食の夕べ」 (16時30分〜19時)

総合司会:
解説:
中條安芸子(文教大学情報学部)
若林 一平(文教大学国際学部)
来賓あいさつ

ユーラシアの芸能プログラム
     総合プロデュース:ユーラシアンクラブ
     司会:大野 遼(ユーラシアンクラブ代表)

出演者 曲目 内  容
タラー(中国琴) 雪山の春 チベット民謡をもとに春を迎えた山の景色を表現したメロディ。
秦桑曲 故郷を離れた人が故郷を偲ぶ気持ちを表現。
アブライティ マイマイティニヤズ(ウイグル・タンブル) モダンハン 花の名前に託して恋人を偲ぶ曲、唄付き。
エジャム ウイグル人の苦難と未来を歌う。
ミヌンユルトゥム(私の田舎) 唄付き。故郷を懐かしむ唄。
アブドゥセミ アブドゥラフマン(ウイグル・ラワップ)   右から2曲 ヤル(恋人) 恋の歌。
タシュワル ラワップの名人に送られた曲。
チャビアタゼ マルグル(12ムカムから)。
グリザール ヌスラデ(ウイグル舞踊家) 1曲もしくは2曲 希望  
山の水  
ライ・ハスロー(馬頭琴) 万馬疾走 草原を疾駆する群馬の嘶き、疾駆する様子を表現した曲。
シヌ川の夜 夕方牧民が仕事を終え、酒を飲んだり、懇談する川辺の祭りを表現(オリジナル曲)。


出演者のプロフィール

タラー
 中国琴演奏家。内モンゴルフフホト市生まれ。モンゴル民謡歌手の母の影響で13歳の 時に琴を習い始める。14歳で内モンゴル芸術専門学校音楽科に入学。1992年卒業し、 内モンゴル歌舞団に勤める。1997年、日本語を習い始め、日本文化に興味を持ち、 5月に来日、ユーラシアンクラブのコンサートで演奏。


アブライティ マイマイティニヤズ(ウイグル・タンブル)
 タンブル、ドタ―ル、ラワップ等民族楽器のほかアコーデオン演奏家。1978 年7月19日、新疆ウイグル自治区の南にあるアクス町で生まれ。12歳の時父にラワ ップ演奏を教育され、アクス市師範学校音楽部でタンブル、アコーディオン等を学 ぶ。アクス市から150キロ離れたカルプンという町の中学校で4年半、音楽教諭をして いた。2001年4月来日。麗澤大学で日本語学習。50曲以上の演奏が可能。唄と演奏、 舞踊と何でこなし4,5時間1人で演奏可能。現在麗澤大学で日本語を学んでいる。


アブドゥセミ アブドゥラフマン
 1967年10月31日、新疆ウイグル自治区ウルムチ市生まれ。小学5年生の 頃から正式にラワップ演奏を学び、1983年、新疆芸術学院音楽学部に入学、ラワ ップを専攻。2001年大阪芸術大学作曲科の研究生となり、2002年4月から東 京芸術大学音楽研究科修士課程で民族音楽学を専攻している。ウイグル自治区をはじ め中国各地で演奏活動.、1999年にロシア・シベリアのバルナウル、モスクワで 開催された国際演劇祭に出演、特別賞を受賞、2000年7月から9月まで、ウイグ ル12ムカムの録音のため演奏した。現在東京芸術大学大学院修士で民族音楽専攻。


グリザール ヌスラデ
 1978年4月25日新疆ウイグル自治区ウルムチ生まれ。著名な作曲家、指揮 者の父の影響で幼少よりウイグル民族の舞踊を勉強。2001年北京北方工業大学卒 業後来日、千葉大学に在学しながら、名古屋、京都、岡山などでウイグル舞踊を紹介 し、高い評価を受ける。


ライ・ハスロー
 1958年、中国・内モンゴル自治区出身。8歳より馬頭琴に親しみ、13歳の 時、師について本格的に習い始める。高校からは、黒龍江省ハルピン市にある芸術学 院で技術を磨き、数々のコンクールで優秀賞を取得。卒業後は故郷ハイラル市にある 民族歌舞団へ入団。1980年、北京中央民族歌舞団の招聘で、同歌舞団へ入団。演奏活 動の傍ら、民族学院において作曲の勉強を開始、多数の優れた馬頭琴のための作曲、 最優秀作曲賞をいくつか受賞している。カナダ、アメリカ、コロンビア、韓国、フィ リピン、日本などでの海外公演で好評を博し、1991年、モンゴル国での演奏で は、文化芸術勲章を授与された。1995年、中国国家一級演奏家の称号を授与され た。


(ノンアルコールタイムを設けましたので、中高生のみなさんも気軽に参加できます。芸能が終わり、ノンアルコールタイムが終わった後、アルコールタイムとなります。)

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