T210 管理科学

 

 情報システムの物理的な問題、あるいは運営上、管理上の諸問題を把握しその解決を図る上での考え方や方法論を扱う。とりわけ、問題状況のモデル化を図り、それを用いて問題を検討し、解決策を得る方法の習得を図る。これらの科目は、学部の2、3年次に設置するのがよいであろう。より高度な内容を備えた科目を大学院用に開設する必要がある。

 

T211 モデリング

(1)位置づけ

 情報システムの計画・設計や運営などにかかわる諸問題の解決にあたって、対象とする問題を把握し、解決策を考えるために問題の状況を表現するモデルを作成し、そのモデルの上で問題や解決策を検討することがしばしば行われる。ここでは、問題からモデルを作成していく過程を中心に取り上げる。技術的な基礎を与える参照学問領域として扱う。

(2)ねらい

 問題の発見や把握の方法と問題解決のためのモデル作りを習得させるとともに、モデルを用いた問題解決のやり方について理解を深めさせる。

(3)アプローチ

 ケース問題を使って、モデリングを理解・習得させる。また、同じ問題状況に対して複数のモデルを示し、それぞれの特徴・長所・短所などを整理させる。身近な問題を与えて学生にモデル化を行わせ、それぞれの特徴を検討させるのもよい。

(4)内容

 ・問題や問題の状況を整理・記述するための図的方法

   要因関連図、KJ法、パレート図、階層図など

 ・モデル化の前提・仮定、モデルの同定

 ・モデルの種類・タイプ

 ・モデルの利用法

 ・モデル利用の際の前提とモデルが示す結果の限界

などを扱う。

(5)レベル

 学部2〜3年

 

T212 オペレーションズ・リサーチ

(1)位置づけ

 モデル上で問題を検討するために必要な数理的な方法の一つとして、オペレーションズ・リサーチを取り上げる。情報システムの計画・開発の過程や運営について学ぶ上での技術的な基礎となる。

(2)ねらい

 オペレーションズ・リサーチの方法として知られるいくつかの標準モデルとその解法について、基礎にある考え方と利用の仕方を中心に習得させる。

(3)アプローチ

 それぞれの方法を用いる簡単なケース問題や演習問題から始めて、それらの方法を利用していくための考え方や限界が理解できるように説明する。使いやすいソフトがあれば積極的に利用して、モデルや解法の特徴をより深く理解させるのが望ましい。

(4)内容

 ・標準的な数理的手法(数理計画法、スケジューリング、マルコフ・モデル、待ち  行列など)

 ・評価に関する方法(AHP、経済性分析、信頼性など)

 ・各方法の What-if分析や感度分析

について扱う。

(5)レベル

 学部の2〜3年

 

T213 シミュレーション

(1)位置づけ

 情報システムの計画・設計を行う際に、対象をモデル化し、想定される状況に照らしてシステムの挙動や成果を事前に検討・評価する有力な方法の一つとしてシミュレーション手法を取り上げる。「モデリング」と関連深い技術的な専門科目である。

(2)ねらい

 シミュレーションのための確定的モデルや確率的モデル、モデルの作成、シミュレーションの実施の仕方、結果の解析の仕方、結果のプレゼンテーション、ソフトウェアの利用の仕方などを理解、修得させる。

(3)アプローチ

 簡単なモデルを使って実際に数値を入れて動かしながら、モデルの使い方やシミュレーションの意味を理解させる。システム・ダイナミックス、SLAM、IFPS(Interactive Financial Plann-ing System)などのシミュレーション・パッケージを利用して、複雑なシステムのモデルを作り、実行させるのもよい。

(4)内容

 ・確定的なモデルと確率的なモデルの作成

 ・いろいろなタイプの乱数とその利用の仕方

 ・モンテカルロ法

 ・簡単な確定的モデルと確率的モデルによるシミュレーションの実施

 ・待ち行列型モデルによるシミュレーションの実施

 ・結果の解析法

 ・モデルに含められなかった要因の考察

 ・結果の示し方

 ・企業財務、スケジューリング、生産、流通、環境、ネットワークなど複雑なモデ  ルによる実習

などを扱う。

(5)レベル

 学部の2〜3年

 

T214 統計的方法

(1)位置づけ

 複雑なシステムを扱うときに、実態に関する種々のデータから各種要因の関連を把握したり、評価したり、判断を迫られることが多い。そうした場合に有効な統計的方法を取り上げる。技術的な基礎を与える科目である。

(2)ねらい

 データから事実を把握したり、データの背後にある構造を推定したり、問題点を探ったり、解決のきっかけを掴んだりするための各種の統計的手法について、基礎知識を理解させるとともに、各種統計ソフトの利用の仕方について習得させる。

(3)アプローチ

 データを与えて、それから知りたいことや推定できることを引き出すというやり方で、主要な統計手法を習得させる。既製の統計パッケージを使って実習するのもよい。

(4)内容

 回帰分析、分散分析、時系列分析、基礎的な多変量解析、因果分析、ノンパラメトリックな方法などの考え方と方法・手順を扱う。

(5)レベル

 学部の2〜3年