T110 数理と論理
問題の様々な現象やシステムの状態を形式的に記述したときに、論理的に思考することおよび不確実な扱いをする必要がある場合の方法に関する基礎を扱う。理工学の分野における数学的基礎としての扱いというよりも、それぞれの事項に含まれる意味や内容を、例題と結び付けて扱うことにより、理解を深めさせる必要がある。この科目群は学部の低学年のうちに履修させておくべきものである。
T111 離散数学
(1)位置づけ
情報システムを構成する要素間の相互関係を表現し、理解し、設計・開発する際に、また周辺の関連分野を学習する際に必要となる数理の基礎的な概念として離散数学の基礎を扱う。
(2)ねらい
いろいろな要素間の関係を表現する方法と、離散的な系を表現し解析する手段の基礎知識を理解させる。
(3)アプローチ
単に数学として扱わず、たとえば、仕事の手順であるとか、並列処理や系の平衡状態など、情報システムに関係する具体的な事象や現象と関連づけながら説明することが望ましい。
(4)内容
離散数学の内容はいろいろあるが、ここでは、無向・有向グラフの理論の基礎、ネットワーク・フロー、割当て問題、ペトリネット、ニューラルネットなどシステムやデータの構造の記述、解析などに必要な範囲のものの基礎を扱う。
(5)レベル
学部 低学年
T112 情報論理
(1)位置づけ
情報システムの計画・設計あるいは開発の際に不可欠な、論理的な思考能力を養うために、論理的思考を助けるフレームワークとしての論理学の基礎を扱う。
(2)ねらい
形式的な記述によって論理的な思考や推論を行う上で必要な、集合論、命題論理、述語論理などの基礎知識を理解させるとともに、その応用能力を高めさせる。
(3)アプローチ
抽象度の高い内容をそのまま教えるのではなく、できるだけ情報システムと関連した例題を使うなどして学生の応用能力を高めるように工夫することが望ましい。
(4)内容
・基礎代数(集合、関係、代数系と群など)
・ブール代数
・記号論理(命題論理、述語論理、論理と推論、デシジョンテーブル、デシジョ ンツリーなど)
・推論や問題解決のための言語(論理の記号法や利用法)
(5)レベル
学部 低学年
T113 確
率(1)位置づけ
問題に含まれる不確実性を形式的な記述によって取り扱えるようにするために、確率の基礎知識を理解している必要がある。本科目は、「統計」、後述のコア科目群、「管理科学」などの基礎となる科目である。
(2)ねらい
対象に不確定性が含まれる場合の取り扱いができるための基礎知識を与える。
(3)アプローチ
確率事象のデータを用いて、確率や分布に関する諸概念を理解させることが望ましい。
(4)内容
不確定な情報にもとづいたシステムのモデルを形成するために必要な基礎知識として
・確率の直観的な考え方
・離散分布と連続分布
・主要な確率分布(二項分布・ポワソン分布・指数分布・正規分布など)
・モーメント、期待値、分散
・特性関数、ベイズの定理
などの諸概念を扱う。
(5)レベル
学部 低学年
T114 統 計
(1)位置づけ
対象のシステムに不確定の要素やバラツキのある要素がある場合に、それらを記述したり、推定したりするための基本的な考え方や取り扱い方を扱う。
(2)ねらい
母集団の概念やその記述法、サンプルとサンプリング法、簡単な検定法や推定法、信頼区間などの基礎的な統計の知識と方法を理解させる。
(3)アプローチ
方法の説明や数学的な解析といった形から入らずに、データを提示して、それから何をしたいかといった形から入る方がよい。また、表計算やデータ解析のためのアプリケーションソフト活用した演習などを取り入れることが望ましい。
(4)内容
・データのまとめ方
・標本分布(カイ2乗分布・t分布・F分布など)
・標本調査(母集団を記述する統計値)
・相関関係
・検定、推定、信頼区間
などを取り上げる。
(5)レベル
学部 低学年