H240 人間の文化と情報

 

 個々の組織体およびその情報システムはそれぞれ固有の文化に根ざして存在するので、組織体の活動や情報システムの機能を考察する際には、その文化的基盤を把握する必要がある。また、逆に組織体の活動や情報システムの機能は文化に影響を与え、それを変化させる力を持っていることも認識しなければならない。本科目群はこのような相互関連を文化論的に理解させるものである。理解にあたっては幅広い知識と洞察力が必要であるので、大学院で開講することが望ましい。

 

H241 情報文化論

(1)位置づけ

 文化は情報の捉えかたを規定し、情報は文化に影響を与えるというように、両者は相互依存の関係にあること、敷衍すれば情報システムの存在価値、在り方は、情報システムを運用する組織体がよって立つ文化に影響され、また、情報システムは組織ばかりではなく個人の生活にも大きな影響を与えるということを理解する必要がある。したがって、本科目は情報システムに関する種々の知識・技術を扱う科目群を学ぶ際の、背景的知識を与える科目(つまり支援的科目)と位置づけられる。

(2)ねらい

 情報が文化にどのような影響を与えるか、また情報の価値、有効性の判断基準と文化との係わり合いを明らかにすることによって、文化を情報の視点から理解させる。

(3)アプロ−チ

 情報技術や情報システムはそれを取り巻く環境とは密接に関連するとの観点に立ち、情報システム、情報技術のもたらした変化を日常生活など身近な側面から捉える。

(4)内容

 ・マスコミやメディアの発展とその社会的影響

 ・日常生活の中での情報技術・情報システム

 ・美術・音楽などの創作活動に対する情報技術の影響

 ・研究・教育で利用される情報技術

 ・マルチメディア社会

 ・文化が情報活動に与える影響

 ・情報技術の文化に与える影響(疑似体験、人工現実、ハイビジョン)

などのトピックを取り上げる。

(5)レベル

 大学院

 

H242 情報と異文化理解

(1)位置づけ

 情報システムの設計と運営における大きな環境要因として「文化」がある。情報システムは多様で、多層化した文化の中で働く。また組織体の活動の国際化にともなって国境をまたぐ情報システムも構築されている。したがって、情報システム設計者や運営者は異なる文化を理解する必要性がある。これは、情報システムの設計、運営の背景知識と位置づけられる。

(2)ねらい

 文化とは芸術ではなく、生活様式や思考様式の集積であることを理解させた上で、文化の多様性と異文化の存在に気づかせる。また、自分がどのような文化環境に置かれているのかを客観的に認識させる。

(3)アプローチ

 国、集団、組織などの具体例を通して、文化の多様性とそれらが、組織体の活動や情報システムの機能にどのように影響するかを、具体例を中心とした討議形式の授業で扱う。

(4)内容

 ・文化の多様性とその表れ方

 ・各国・各民族の文化の独自性

 ・ビジネス慣行の違い

 ・時代による思想・文化の変遷

 ・コンピュ−タ文化

 ・異文化の理解(例:言語、風習・習慣)

 ・異文化理解の可能性

などを扱う。

(5)レベル

 大学院

 

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