H220 人間のコミュニケーション

 

 組織体の構成員間での円滑なコミュニケ−ションは、情報システムの開発・運用・利用に際して不可欠であるので、人間間のコミュニケ−ションに固有な特徴を明らかにすることは、きわめて重要である。ここでは、情報処理や意思の伝達に関する人間の基本的な行動と、コミュニケ−ションを円滑に遂行するための具体的な技術を扱う。「人間の情報処理」と「情報行動」は学部レベルの科目であり、まとめて一つの科目として開講することも考えられる。一方、「コミュニケ−ション技術」は、扱う内容により学部、大学院のどちらでも開講することが考えられる。

 

H221 人間の情報処理

(1)位置づけ

 人間は情報システムの基本的な構成要素であるので、情報処理の諸問題を理解するには、人間の情報処理の特性を知ることが必要である。この科目は、情報システムの開発・運用と密接に関連する。

(2)ねらい

 情報システムでの情報処理を効果的に行うために、コンピュ−タによる情報処理と人間の情報処理との違いを理解させる。

(3)アプロ−チ

 コンピュ−タでどの程度代用可能かなどを明らかにすることによって、人間の知的行動の特徴に関する基本的な知識を与える。また、人間の情報処理の理解を図るという見地から、人間に固有な知的行動様式の特徴に重点をあてる。

(4)内容

 認識、記憶、連想、選択、分析、意思決定、評価などの対象を把握する行動と、意思の伝達・コミュニケ−ションなどの伝達行動、さらに意図、あやまち、価値基準、反応や処理の多様性・速度・信頼性・あいまいさ・多様性、言語理解など人間の行動に直接関連する要因を取り上げる。

(5)レベル

 学部および大学院

 

H222 情報行動

(1)位置づけ

 情報システムをうまく機能させるためには、人間がどのような情報行動(知的刺激や要求への対応)を行うかを理解することが不可欠である。情報行動の特性は情報システムの開発・運用と密接に関連するからである。参照学問領域として位置づけられる専門科目である。

(2)ねらい

 情報の収集、蓄積、分析・加工、検索、評価、情報要求の特性・型など人間の情報行動に固有な特性を理解させる。

(3)アプロ−チ

 情報システムの円滑な開発・運用・利用に、人間の情報行動がどのように影響するかを明らかにする。

(4)内容

 ・情報の入手・利用の形態(情報をどこで、いつ、どのように、どの程度使用する  のか)

 ・情報要求の種類・パタ−ンとレベル、不確実性、あいまいさ、多様性、評価の主  観性

 ・情報要求の特性

 ・情報の収集・分析・整理、コミュニケ−ション・ギャップなどに関する人間の行  動の特徴

などを扱う。

(5)レベル

 学部および大学院

 

H223 コミュニケ−ション技術

(1)位置づけ

 情報システムの開発・運用・利用の様々な局面で、人間間での意思の伝達、情報・デ−タの収集が重要である。これらの活動を円滑に遂行するために不可欠なコミュニケ−ション技術を扱う専門科目である。

(2)ねらい

 通常行われる人間の意思伝達過程に関連する種々のコミュニケ−ション技術の特徴と、コミュニケ−ションが円滑でない組織はうまく機能しないことを理解させる。

(3)アプロ−チ

 コミュニケ−ション技術を、情報システムの人間的側面の理解と、情報システムの設計・維持・運用・利用における要求分析の効果を高めるとの見地から捉える。演習を重視し、技術を身に付けるさせるようにする。

(4)内容

・コミュニケ−ションの目的・特徴(例:通知、命令、説明、説得、情報・デ−タ  の入手、意思疎通の円滑化、フィ−ドバック)

 ・コミュニケ−ションの媒体・手段・表現方法(例:口頭、資料、言語的、非言語  的)

 ・コミュニケ−ションの技法(例:談話機能、態度、プレゼンテ−ション技法、ヒ  アリング技術、テクニカル・ライティング)

 ・コミュニケ−ションのレベル(社会的、言語的、技術的など)

などを取り上げる。

(5)レベル

 学部および大学院