H120 経営のしくみ

 

 組織体のしくみとその諸活動を情報と情報システムの側面から扱う。とりわけ事業活動と全ての組織体にとって不可欠の経営管理活動とを取り扱う。それらの活動が、基本的に情報によって主導されることを理解していることは、情報システムの企画・設計・開発・運用に関わる者にとって必要なことである。また、経営管理活動を主導する中心的な情報であるところの会計および財務に関する主題を扱うことにより、組織体で行われる活動の認識と理解を深めるとともに、情報システムに関するプロジェクトを管理する能力を高める。

なお、このカテゴリの教科内容は学部レベルである。

 

H121 経営管理

(1)位置づけ

 情報システム技術者が仕事相手の各種レベルの経営管理者の情報要求を理解したり、また、自身が担当するシステム開発や運用管理に当たって、経営管理の基本原則を理解することが必要である。「組織体における意思決定」、「組織設計論」、「組織における情報システム」、および「経営と情報戦略」を学ぶ基礎知識として位置づけられる。

(2)ねらい

 経営管理の機能と仕組みについて基本的な理解と認識とをもたせるために、経営管理活動とそのプロセスに関わる主要な概念を習得させるとともに、情報の役割についての十分な理解を得させる。

(3)アプローチ

 組織体として、たとえば企業を取り上げ、生産管理や販売管理の具体例を使って経営管理の諸側面の知識を与えるとともに、学生が所属する組織体(たとえばクラブ、学校など)を教材にして、経営管理の機能と仕組みの特徴と問題点を身近なものとして考えさせる。

(4)内容

 経営管理の計画(決定)と評価(統制)という2つの主要な活動とそれらの不可分性、計画化・組織化・動機付け・評価などの経営管理機能とそれらの活動との関係、組織階層ごとの役割、経営環境と経営目標、経営戦略、経営組織構造、経営階層と情報要求、経営管理活動と経営情報などについて事例を中心に取り上げる。

(5)レベル

学部

 

H122 経営計算

(1)位置づけ

 組織体の経営管理活動に使われる基本的な情報には会計情報と財務情報がある。会計や財務はその実践システムそれ自身が情報システムである。組織体の活動とその状態を貨幣尺度を用いて表現する会計の仕組みや、資金の流れや資金的状況の影響および投資問題を扱う財務についての理解を深めることは、会計情報システム、財務情報システム、生産管理システムなどの各種業務処理システムを学ぶ基礎知識として必要である。「経営管理」と並行して学ぶことで、「経営と情報戦略」を理解する基礎を得ることができる。

(2)ねらい

 会計の目的と会計処理の仕組み、資本計算や投資決定の仕組みを通じて、価値の流れの記述と測定の方法についての全般的理解を与える。

(3)アプローチ

 簿記会計の仕組みを理解するのに演習を組み合わせるのが望ましい。また実際の企業の事例を教材に使うことで、その重要性や意味をより深く理解させることができる。

(4)内容

 財務諸表の見方と複式簿記の記帳の仕組みを中心に学び、必要に応じて原価管理、予算管理、経済性分析・投資決定、財務管理、国際会計などを取り上げる。

(5)レベル

学部

 

H123 業務プロセス

(1)位置づけ

 実務経験のない学生に対して、代表的な業種(製造業、流通業、金融業など)の主要な業務の内容とその方法を示し、それらの業種で使われる代表的な業務処理情報システムを理解する基盤を与える。「経営管理」、「経営計算」と並行して学ぶことで、「組織における情報システム」および「経営と情報戦略」を理解する基礎を得ることができる。

(2)ねらい

 代表的な業種の業務処理の仕組みや競争上の要点、主要な意思決定とそのための情報の流れ、および情報システムの活用などを勉強し、代表的な業務処理システムについての理解を深める。

(3)アプローチ

 代表的な業種での代表的な企業の事例を教材に使うことで、学生の興味を引き出し理解を深めることができる。業務の様子を示すビデオテープ、業務の流れ図、業務処理システムの概要を示すチャート、伝票や帳簿などを例示することによって実務を実感させる。実務家の話を聞く機会を作るとか企業の歴史を追うことで競争戦略の要点の変化を示すことが望ましい。

(4)内容

 各業態ごとの典型的な業務を学び、必要に応じて、販売促進とマーケティング、労務管理、資本運用、資金調達などを取り上げる。

(5)レベル

学部