H110 社会のしくみ

 

 人間社会と情報という視点で、社会や経済の活動を情報および情報システムを扱う。組織体は社会の中で活動しており、多くは情報システムを通じてその動きを感知し、対応する行動を採っている。組織体自身もまた一つ社会を構成しており、その中で同様の関係がみられる。さらにまた、情報システムは社会システムの一部を構成するようになってきており、情報システムに関わる者は社会、とりわけ経済社会と組織社会の学習を通じて社会とその活動についての理解を深め、さらに社会的な関わりを認識する能力を高める必要がある。この科目群は学部レベルが相当である。

 

H111 社会と情報

(1)位置づけ

 社会の流れやその時々の社会状況はニュース情報や社会統計、世論調査などの各種の情報を通じて認識・理解される。他方、社会は情報によって動かされる面も大きい。情報システムは、それ自身が一つの社会を作っているが、時に周りの社会システムまでも作り変えることがあり、組織体(あるいは個人)の情報システムもそこに所属する人間社会に大きな影響を与え易い。

 情報システムの構築には、このような社会環境の中での人間に関する知識や基本的な社会構造とその挙動について理解することが重要である。したがって、この科目は、これから情報システム学を学ぶために必要とされる、参照学問領域の基礎的な科目である。

(2)ねらい

 種々な社会現象を認識し、組織体や社会の重要な特徴を理解するための一般的能力を育てる。また、情報システムが組織体や社会あるいは個人に与える影響や情報の持つ社会的な力についての理解を深めさせる。

(3)アプローチ

 社会と情報との相互の関わりあいに焦点をあて、社会とその動きに関する基礎的理解を与える。その場合、できるだけその時々の身近かな状況を教材に用いるとともに、社会に関する各種調査・統計情報を活用することが望ましい。また、学生自身もすでに社会に所属しているのであるから、各自に考えさせるような授業の進め方やレポート課題の工夫が望まれる。

(4)内容

・社会と情報、社会の情報化

・人間関係と情報

・社会構造・階層・権力・政治と情報

・役割・知覚・行動と情報

・情報の所有と権力構造(構造の違いによる情報伝達の仕組みの違い)

・情報化による人々の生活様式の変化

・情報システムが社会に与える影響

などを扱う。

(5)レベル

 学部

 

H112 経済と情報

(1)位置づけ

 経済社会の活動やその状態は、経済統計などの情報を通じて認識・理解される。一方それは政府自治体の経済政策や人々の消費行動や組織体の生産活動などに影響を与える。情報システムは経済活動そのものの一部を担っている。したがって、情報システム技術者は経済活動の理解を深め、経済に関する知識を習得することが重要であり、そのために本科目は参照学問領域の基礎科目として位置づけられる。

(2)ねらい

 経済社会の全般的な理解力を養わせるとともに、経済環境と経済政策との関係やそれらが個々の組織体に与えるであろう効果を理解させる。また、経済活動や経済状態を明かにする経済情報の性質やその情報源、信頼性などについて理解させる。

(3)アプローチ

 できるだけ現実の生の状況を題材にして、情報という視点から、経済社会と情報との関わりを理解させることが望ましい。経済学の基礎的諸概念も理解させる必要があるが、視点を情報に置くのであって、単なる経済概論にならないようにする必要がある。

(4)内容

・経済と情報

・経済活動と情報の役割拡大

・景気循環と情報

・経済統計と情報処理

・産業構造の長期的変化

・情報の産業化と産業の情報化

などを扱う。

(5)レベル

学部