C250 情報システムの運営

 

 情報システム技術者にとって、情報システムの企画、開発とともに、その運営は重要な仕事である。また、運営に関わる諸問題を理解し、情報システムの評価の諸側面について知ることも大切である。本科目群では、これらと併せて、情報システムの資源管理、情報センターの機能について学ぶ。全体的には大学院で扱うテーマであるが、学部で扱う場合には、運用活動の内容が適当であろう。

 

C251 情報システムの運用活動

(1)位置づけ

 情報システム技術者にとって重要な専門科目の一つである。情報システムの運用には、組織体自身の運営と密接な関係にある経営的、政策的な側面と、その情報システムを構成するコンピュータや通信機器に関する技術的な側面とがあることを認識させ、これらの知識を企画や開発に役立てられるようにするための科目である。

(2)ねらい

 情報システムを運営する際、現実にどのような活動が行われるのか、またどのような問題が発生してくるのかを理解させる。また、これらの問題点が新たな企画・開発へとつながっていくことも理解させる。

(3)アプローチ

 実際のシステムの運営の実態を伝える。また、経営的、政策的な側面の問題を解決するために、業務分野と協同で対応することが重要であることを事例をあげて説明する。さらに、情報システムの管理・運用時に発生する技術的問題が関連部署に与える影響の強さについて分かり易く説明することが望ましい。

(4)内容

 ・システム障害対策

 ・システム機能の変更

 ・システム老朽化と再構築

・システム切換時の問題

 ・正しいデータの管理責任の所在

 ・運営体制、エンドユーザ管理、稼働時間延長への対応

 ・物理的な安全対策、ハードウェアとソフトウェアの管理と保守、運用の自動化

 ・利用技術教育、コンサルタントやアドバイザなどのサービス活動

 ・関連部署との経費負担配分

 ・人事管理、健康管理

 ・情報公開の基準

などを扱う。

(5)レベル

 大学院

 

C252 情報システムの資源管理

(1)位置づけ

 「情報システムの運用管理」とともに、情報システムの運用に不可欠な資源の管理について扱う専門的なコア科目である。

(2)ねらい

 情報システムに関する資源の管理の重要性を理解させる。さらに、情報システムを構成する資源である、人的資源、コンピュータシステム、通信回線、データ資源、プログラム資源などの管理上の問題点とそれへの対処を理解させる。

(3)アプローチ

 具体的な事例を挙げ、情報システムに関わる人的資源、データやプログラムなどのソフトウェア資源、コンピュータなどのハードウェア資源の管理について、それらの相違点がわかるように説明する。また、データ管理と所有権の問題についても扱う。

(4)内容

 ・情報システムの資源計画と管理(計画の必要性、組織内での、または組織を越え  たデータ資源・プログラム資源の扱いなど)

 ・とくに、ハードウェアに関する資源運用計画と管理

・ソフトウェアのバージョン管理

 ・資源管理計画レベルと目的(技術的・操作的な側面、資源管理者と関係スタッフ  の役割)

 ・データ資源管理と所有権に関する問題

 ・パソコンの急増と管理に係わる問題

 ・専任者の教育と情報技術の進歩

・新製品と陳腐化

(5)レベル

 大学院

 

C253 情報センター機能

(1)位置づけ

 情報システムの運用活動と対になる機能として、情報センター機能を扱う。ここで、情報センター機能とは、情報を必要とする人々が的確な情報を利用できるように支援する機能のことをいう。情報システム技術者にとって重要な専門科目である。

(2)ねらい

 一方では、情報システムがますます複雑になり、情報資源は多種かつ多量になっている。他方では、人々の情報要求はますます高度になっている。この両者をつなぐための情報センター機能の必要性と、それをどう実現したらよいかを理解させる。

(3)アプローチ

 情報を要求する立場に立ち、それに応じた情報センター機能はいかにあるべきかを論じる。また、この機能を通じて得られた各種資料が、情報システムの次の企画にどのようにつながるかを事例をあげて説明する。実際にある情報センター機能の具体例を使って、その役割や機能を検討させたり、身近な情報要求に応えるためにあるべき情報センターと、その実現のための条件などを考えさせるのもよい。

(4)内容

 ・情報センター機能のための組織と運営

 ・情報システムの利用やエンドユーザコンピューティングの支援

 ・情報の受入・保管・更新・提供などに関する諸事項(とくに大規模な組織体の場  合に必要となる情報センターの運営)

 ・図書その他資料のリファレンスやリフェラルのサービス

 ・情報センター機能のための情報システム

(5)レベル

 学部および大学院

 

C254 情報システムの評価

(1)位置づけ

 情報システムを企画し、開発し、運営することと並んで極めて重要な専門的なコア科目である。

(2)ねらい

 情報システムの企画から運用までの各段階での評価項目や、評価方法について理解させる。また、様々な評価項目が、情報社会の進展とともに変化し、組織の構造や目的、他の組織との関係によっても影響されることを理解させる。

(3)アプローチ

 情報システムは目的やねらいや内容が有益と評価されて初めて設計され実現されること、また稼働後も目的が達成されたかどうかとともにその品質が評価されることを、事例を取り上げて説明する。評価視点の違う複数の例を挙げるのがよい。

(4)内容

 ・情報システムの利用目的と評価についての考え方

 ・情報システムの評価方法(アプリケーション・ソフトの品質評価と比較評価など)

 ・情報システム評価の視点(システムの目的、ねらい、代替案の可能性など)

 ・情報システムの評価時点(計画時点、開発時点、稼働後など)

 ・情報システムの評価項目、重要度

などを扱う。

 評価項目の例としては、稼働性、配置方法とその管理、ユーザサービス、資源の個人割当、データ共有、データ管理、データの所有権、利用の容易さと応答の良さ、管理責任者の管理し易さなどがある。

(5)レベル

 大学院