C220 情報システムの社会的環境

 

 人間の行動、その活動する場、情報、情報技術が相互に密接に関連し影響し合う社会を情報社会と考え、情報の生産・収集・処理・利用の視点から統合的にこの情報社会を捉えるシステムを、広義の情報システムとみなす。そこで、情報社会との関連で広義の情報システムを適切に理解するとともに、情報システムの母体である組織体を取り巻く外界の状況を十分認識し、把握しなくてはならない。そのために必要な知識と深い洞察力を与えることが本科目群の狙いである。

 

C221 情報と倫理

(1)位置づけ

 情報に関わる者は、倫理的妥当性に基づいて情報を取り扱うことが必要であることを理解しなければならない。これは情報システムが正当に評価されるためにも不可欠である。本科目は情報システムの開発・運用に関する科目群と並列するコアの科目である。

(2)ねらい

 法律だけでは解決できない、情報社会特有の様々な問題が存在することや、倫理感の必要性を理解させ、倫理的意識の高揚を図る。

(3)アプロ−チ

 情報の処理、活用は効率的・効果的な組織体活動にとって不可欠であるとともに、他方それが負の効果・影響を与えうることを、具体的な問題事例を使って説明する。さらに、その問題点や原因・理由を検討・整理させ、問題意識を高めさせるとともに、その防止策を考えさせる。

(4)内容

 情報システムの企画・開発・運用・利用におけるプラス面とマイナス面について扱う。情報流通によってもたらされる弊害、個人情報の保護、データ保護、プライバシー、職業倫理、消費者保護、ネットワーク文化、電子決済、電子マネーなどの問題を、いろいろな側面から取り上げて、倫理とは何か、何故必要かなどについて考えさせる。また、実際にあった種々の具体的なケースについて、その特徴を整理し、社会における組織や個人の責任などについても考えさせる。

(5)レベル

 大学院

 

C222 情報と法律

(1)位置づけ

 情報システムの開発・運用・利用の各側面に関連する各種の法律の特徴、影響などを取り上げ、これらの活動が法律によってどのような影響を受けたかを実例で扱う。情報社会における諸問題を法律的側面から認識するための専門科目である。

(2)ねらい

 専門職従事者に関する法律などがあって、開発作業の進め方に関係があることを認識させる。また情報の入手・処理・利用に関する各種の法律の意図、特徴、影響に関して理解させる。

(3)アプロ−チ

 各種法律・条令の単なる説明ではなく、情報利用の推進および制限の二つの側面からその特徴・影響を例示的に捉えて説明する。

(4)内容

 著作権など知的所有権に関する法律、プライバシ−の保護に関する法律、情報公開法、法意識、各種の法律の影響などを取り上げる。また、情報システムの開発段階においては、労働基準法および労働者派遣法についても留意する。

(5)レベル

 大学院

 

C223 情報産業論

(1)位置づけ

 現在の各種の情報産業の興隆が情報システムにいかに影響を与えたかについて扱う。広義の情報システムを理解する上での重要な専門科目である。

 

(2)ねらい

 情報の生産・提供を業とする企業・業界の特徴、活動の概略を理解させ、それが情報システムの企画、開発、運営および活用にどのような影響を与えているか、さらに情報システムの発展が情報産業に与える影響などを理解させる。また、今後の動向に対する洞察力を高めさせる。

(3)アプロ−チ

 この種の企業・業界が生まれ成長してきた歴史的経緯について、それぞれの時代の社会的・技術的背景を含めて説明する。

(4)内容

各種機関の発展経緯

 ・デ−タベ−ス作成機関

 ・情報検索サ−ビス機関

 ・シンクタンク

 ・情報処理業

 ・出版、流通、アミューズメントに関わる情報産業

 ・コンピュ−タメ−カ− など

情報産業の活動の実態(活動が社会に与える影響など)

(5)レベル

 大学院

 

C224 情報と国際問題

(1)位置づけ

 情報やデ−タの流れには国境がなく、場合によっては大きな国際的摩擦、紛争を引き起こしかねないこと、組織の国際化によるコミュニケ−ションの複雑さが顕著になっていること、情報やデ−タの入手・交換・利用における国際基準の確立などの国際協力が重要であることなどを扱う。コアとなる専門科目である。

(2)ねらい

 世界的規模での情報流通の現況とその影響の概略、情報流通で生じる各種の軋轢を理解させ、国際的視野をもたせる。

(3)アプロ−チ

 具体的な例に即して、情報の収集・利用が深刻な国際問題となり得ることを示すとともに、国際的視野の重要さと有効なコミュニケーションをいかに行うかに重点を置いて説明する。

(4)内容

 ・情報政策としての情報ネットワ−クの構築

 ・国際的性格を有する(たとえば人員構成)組織内でのコミュニケ−ション・ギャ  ップ

 ・国際間での情報の流通(Universal Dataflow and Telecommunications)

 ・国際基準

 ・デ−タヘイブン(data haven)

 ・国際情報戦略

 ・国際情報摩擦

などを取り上げる。

(5)レベル

 大学院

 

C225 情報システムと監査

(1)位置づけ

 情報システム関連の犯罪や災害の発生とともに急速にその重要性を増しているシステム監査について扱う。情報システムの開発に関する諸科目を理解したあとで学ぶ専門科目である。

(2)ねらい

 システム監査の機能、役割、権限等を理解させる。とくに、事後的な不備の指摘を避けるため、開発工程中の監査の重要性、幅広い監査の領域や監査技術等についての全般的理解を深めさせる。

(3)アプローチ

 監査関連の技術や理論体系について体系的に述べることで概要を示すとともに、不正や犯罪事例をもとに、監査の方法・権限・体制などを考えさせる。

(4)内容

 ・開発前監査と事後監査

・開発フェーズ分けを守った開発

 ・開発ルールの遵守(ドキュメント基準、テストデータのカバー領域、障害対策、  セキュリティー対策など)

 ・監査と評価との差異

 ・業務監査とシステム監査の関連

 ・監査技術

 ・システム監査士

(5)レベル

 大学院