C210 情報システムの概念

 

人間と組織の活動を情報創造から活用に至る過程としてとらえ、広義および狭義の情報システムの特徴、デザイン、技術の諸概念などを扱う。このカテゴリは中心となる教科であり、学部レベルでは教科内容の一般的な知識の習得と理解を与える。大学院レベルではより深い理解力の開発に置く。

 

C211 情報システムの生態学

(1)位置づけ

 情報システム学の立場からの情報システム分類論である。これは、情報システム学専門コア教育の中心となる教科の一つである。

(2)ねらい

 個人または組織の情報活動の普遍的特性から、情報システムの形態の分類を行い、個々の情報システム計画で必要な、システム形態を選択する理論的指針とさせる。

(3)アプローチ

 まず、具体例を示しながら、個人、組織、組織間の情報活動を分類する。次に、各活動を支援する情報システムの事例を示し、情報システムの分類を行う。更に、個人の価値観、組織の活動目的の変化を示し、今後の情報システムの形態変化について予測させる。

(4)内容

 比較的狭義な情報システムをとりあげ、情報システムとはどのようなものかの具体的なイメージを与えるとともに、情報システムの機能的分類やシステム構成要素に関する考察を行う。

 個人、組織、組織間の情報活動の分類と変遷、各情報活動を支援する情報システム形態の分類、今後の情報システムで必要とされる情報システム技術を扱う。例えば、情報システムの下部構造である計算機・通信システムとしての生態、銀行勘定系システムとか、生産管理システムといった個々の情報システムとしての生態などを取り上げる。

(5)レベル

 主として大学院

 

C212 社会における情報システム

(1)位置づけ

 企業、機関を始めとする各種の社会的な組織の活動に関わってきたか情報システムについて、時代的特徴を明らかにし、多くの組織体(企業、公共団体、学校、病院など)が結びついて構成されていることを、社会全体という視点から見つめる専門基礎的な科目である。

(2)ねらい

 社会における情報システムが、個別組織体の情報システムの結合によって構成されることを理解させる。さらに、それが個別情報システムの単なる連結でなく、共同体としての共通の理念や価値観を基礎にしたシステムであることを認識させる。

(3)アプロ−チ

 社会情報システムや機関内情報システムなど各種の具体的な情報システムを取り上げ、その特徴や開発経緯、社会や組織に与えた波及効果などを説明する。良く機能する事例や悪く機能する事例を数多く取り上げることが望ましい。

(4)内容

 社会を構成する組織体にどのようなものがあるか、個々の組織はどのような自主性を持って運営され、そのためにどのような情報システムを持っているか、社会全体として個々の組織体がどのような形で結びつくか、そのときにどのような活動が期待される複合情報システムとなるか、さらにうわさなど個人の行動が情報システムにどのような影響を与えるかなどを取り上げる。

(5)レベル

 大学院

 

C213 組織における情報システム

 

(1)位置づけ

 組織体には計算機が導入される以前から情報システムが存在していることから始めて、情報システムの変遷を追いながら、その構成要素や役割、情報技術の改良・進展のもたらす影響などについて扱う。「情報システムと人間の役割」とともに、情報システムのコアとなる基本科目である。

(2)ねらい

 組織体における情報システムの目的、構造、機能を理解させ、情報システムの導入時に応用できる能力を身につけさせる。さらに、情報システムの導入・改訂が組織体に与える影響や組織変革・革新を伴うものであることについても理解させる。

(3)アプローチ

 組織体における重要な情報システムを取り上げ、それらの目的および構造、機能の変遷・進化を、組織体の置かれた歴史的・社会的背景と技術的進展と関連づけて説明する。組織体を集中、分散、あるいは階層型、フラット型などのタイプに分け、各々のタイプの中で情報システムが果たす役割、また組織と情報システムとの相互作用について扱うのも良い。

(4)内容

 ・組織体における情報システムの発展の歴史的概観(進化と適応)

 ・情報システムの発展仮説(Nolanのステージ仮説、Synottのコンピュータの時代か  ら情報の時代へなど)

 ・組織間の情報システム

 ・情報システムの分類(組織形態、生産形態、業務範囲、規模など)

 ・情報の役割

 ・情報要求の多様性

 ・公式の情報システムと非公式の情報システム(利用されない原因・理由、柔軟性  の必要性、不確実性とシステム化)

 ・情報システムの構成(機械的・構造的・機能的・人間社会的)

 ・経営効率の改善・合理化と情報システム

 ・知的支援と情報システム

 ・情報システムの導入・改訂と組織変革

などを扱う。

(5)レベル

学部レベルでは、実際の情報システムの事例を適宜用いて問題の認識と理解を図る。大学院レベルでは、より深い問題意識と理解力の習得に置く。

 

C214 情報システムと人間の役割

 

(1)位置づけ

 情報システムは、人間(個人の見方)の介在なしには存在し得ないこと、また人間の活動を支援することに焦点をあて、情報システムとそれに関係する人間の関わりを扱う。情報システムのコアとなる基本科目である。

(2)ねらい

 情報システムに主要な役割、システムの企画・設計・開発および運用の各段階での関わり方について理解を深めさせる。とくに、各役割がどのような人によって占められているか、役割配分の歴史的変遷についても理解させる。

(3)アプローチ

 情報システムに関わる様々な人々の役割りと関心の違いとに重点を置いて説明する。情報システムの運用時や改良・増強時、さらには新規開発時など種々の状況を使って理解を深めさせる。

(4)内容

 ・人間の情報活動

 ・人間と情報システムとの情報処理の分担

 ・スポンサーであることの役割(問題の所有者、権限、開始の役割、目標設定と評  価の役割)

 ・ユーザの役割(ユーザの活動と責任)

 ・企画・設計・開発者の役割(専門情報処理部門の役割の変遷、プロジェクト管理、  調整の機能)

 ・オペレータの役割(仕事の満足感、機能)

 ・情報システムの目的・機能などによって異なる、関わるべき人・役割の違い、役割の多重化などを扱う。

(5)レベル

学部レベルでは、情報システムの具体的な事例を使って、関与者と役割の理解を図る。大学院レベルでは情報技術の進展に伴うそれらの変遷や組織的・社会的インパクトなどに重点を置き、理解をより深めさせる。

 

C215 情報システムの技術的環境

 

(1)位置づけ

 社会的要請としての情報技術(情報システム技術、コンピュータハードウェア/ソフトウェア技術)の発展を扱う。これは、「情報システムの社会的環境」に対応した科目であり、社会学的に見た情報技術について扱う科目である。

(2)ねらい

 情報システムはオープンシステムであるため、その計画・構築にあたっては、情報技術の発展方向の理解が不可欠であることを認識させる。また、その現状および将来動向について、(その技術的内容には深入りせずに)社会的ニーズの変遷および周辺技術から理解させる。

(3)アプローチ

 情報技術の発展とその必然性について、ディジタル計算機の黎明期から始めて、各時代の社会的ニーズと周辺技術との関係に焦点をあてて説明する。

(4)内容

 情報技術の進歩・発展が情報社会に与えた影響を時代的に捉えることによって、技術や人間や社会の行動にいかに大きな影響を与えてきたかを扱う。

 ・ディジタル計算機の発明の必然性

 ・情報システム課題の変遷

 ・素子技術の変遷と半導体技術の役割

 ・情報産業の変遷と情報技術との関係

 ・情報システム部門の役割変化

などを扱う。

(5)レベル

 大学院

 

C216 情報システム学の基礎理論

(1)位置づけ

 情報システムをモデルとして捉える際の哲学的・論理的考察を可能とする基礎理論を扱う。情報システム学の専門科目である。

(2)ねらい

 情報システム学とは何か、情報システム研究とは何かを理解させ、問題発見から解決への応用ができることを目指す。

(3)アプローチ

 広義の情報システムと狭義の情報システムに関わる基本的な理論を示し、情報システムに抽象的にアプローチするための基盤を与える。また、これまでの代表的な情報システムの特徴(利点、問題点)を明らかにすることによって、現実の情報システムへの理解を深めさせる。

(4)内容

・基礎理論(一般システム理論を始めとする各種のシステム論など)

・研究分野(研究分野としての情報システム学の目的、研究対象、歴史、体系、研究 方法等、全体の展望)

・情報システムの歴史(情報システムと文明:古代から現代までの歴史の中でどのよ うな情報システムがあり、それらが政治体制、宗教、経済、社会などといかに関わ ってきたのか)

(5)レベル

 大学院