C130
情報の収集と活用
われわれが適切な知的活動を行うことができるためには、また組織体がうまく運営され活動するためには、それに必要な情報が的確に入手・活用できなければならない。この科目群では、情報を収集・活用するための基本的な概念を与える。
C131 情報の伝達
(1)位置づけ
個人および組織体が情報の入手から行動に移るまでに行う、情報の収集、加工、再生、伝達などの情報処理の仕組みを理解するために、情報の収集・活用における一概念として情報伝達を扱う。本科目は「情報の獲得と解釈」、「情報の蓄積と検索」とともに情報活動の基本となる科目である。
(2)ねらい
情報は発信者と受信者の意図および意味が付与されたデータであることを認識させ、人間の情報活動あるいは情報システムにおける情報伝達の目的や概念について理解させる。
(3)アプローチ
情報とデータの伝達における共通点と相違、組織体が行う情報伝達と個人が行う情報活動の違いなどに注目しながら、事例的に情報伝達の概念を説明する。
(4)内容
情報伝達の変遷
情報伝達の概念(共通点と相違点)
・個人的な情報伝達と組織的な情報伝達
・情報伝達とデータの伝達
・情報伝達の仕組み、情報の種類による伝達の違い
・発信者の意図と受信者の意図
・伝達目的
・発信者と受信者の社会的/個人的関係
情報伝達のメディア
・論理的なメディア(テキスト、画像など)
・物理的なメディア(FDなど)
・社会的な組織としてのメディア(放送など)
・情報の表現法(会話、文書、電子メールなど)
などを取り上げる。
(5)レベル
学部
C132
情報の獲得と解釈(1)位置づけ
個人としてのまた組織体としての日常活動や意思決定に影響を与える情報の入手・分析やその組織化に関する基本的な考え方や知識、およびそのような情報の収集・分析・整理方法の習得は不可欠である。本科目は、「知識と情報」、「システムと情報」を土台とし、情報システムの開発および運用に関する科目群の基礎となる科目で、「コミュニケ−ション技術」と関連する。
(2)ねらい
適切な情報の獲得と整理が人間の情報活動のみならず、情報システムの開発・運用やシステムの効果にも影響を与えることを理解させる。さらに、モデルの構築とデ−タの獲得・整理との関連を理解させる。
(3)アプロ−チ
理論的側面だけでなく、具体的な課題を選んで情報やデ−タの収集・分析・整理を実際に行わせるなど、演習的側面を重視する。
(4)内容
情報の獲得は受信者の主観的な活動であり、データの受信と整理は客観的な活動であることから、情報の整理とデータの整理には違いがあること。組織には情報の共有があり、これは個人による情報と扱い方が異なること。また、人間の持っている価値観の幅の狭さ、さらには、情報にフィルタリングがかかっていること。これらのことを認識させた上で、情報の獲得・整理の目的、それを必要とする理由とその効果的な方法、そのプロセスの特徴(たとえば循環的・動的特性)、情報源、情報の収集・分析手法(インタビュ−、質問紙法、デルファイ法、KJ法、グラウンデッドセオリー)、各種の資料から情報・デ−タを収集するための概念、獲得のための手法、さらに収集したデ−タ・情報の評価などを取り上げる。
(5)レベル
学部
C133 情報の蓄積と検索
(1)位置づけ
情報の蓄積・検索機能は、情報やデ−タの効果的・効率的な活用を目的とする情報システムにとってはきわめて重要な機能であるだけでなく、情報システムの開発・維持に必要な情報を入手・利用するための機能としても重要である。本科目は情報システムの開発および運用に関する科目群の基礎となる科目である。「情報システムと人間の役割」、「デ−タ処理法」、「デ−タベ−スの管理」とも密接に関連する。
(2)ねらい
情報検索機能の理解を深めさせるとともに、情報検索が常に新たな視点の取り込みを必要とする動的な情報処理活動であること、およびいかに情報検索機能が情報システムの中で実現されるかを理解させる。とくに検索に比較して地味な蓄積の側面に対する配慮の必要性を理解させる。
(3)アプロ−チ
情報システムにおける基本的な機能であるという立場にもとづき、情報検索の業務を表層的な記号処理の側面からではなく、情報の有効性、価値、影響力など内容的な側面から取り上げる。また、情報検索に携わる人間の心理的側面(たとえば、蓄積意欲と蓄積量との関連)にも光をあてる。情報の伝達と獲得の両面から議論する必要がある。
(4)内容
情報検索の基本的な理論と概念
・情報検索機能の特徴と情報システムにおける役割
・各種の検索手法
・デ−タ・事実(記号)の検索とトピック(概念)の検索との違いと相互関連
データベースの蓄積・検索
・デ−タベ−スの役割・種類・構築
・蓄積・検索過程
・デ−タベ−スや検索結果の評価
・情報ベースとデータベースの蓄積・検索法の違い
情報の有効性・価値・影響力
・情報メディア・技術の蓄積・検索機能に与える影響
・蓄積する情報・デ−タの妥当性・評価(たとえば、経済的効果)
・人間的側面
などを取り上げる。
(5)レベル
学部