2018年4月のeビジネス関連の主なニュースより。

1. 経済産業省の報告書

 4月25日、経済産業省が平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)を発表しました。例年発行されているeビジネスに関する報告書で、昨年より4月に発行されるようになりました。この報告書では、2017年のBtoC -ECの市場規模は、16兆5054億円(前年比9.1%増)と集計しています。伸び率は前年とほぼ同じで、しばらくはこの位の成長が続くのではないかと思われます。昨年度からCtoCの章ができていてオークションやフリマアプリの市場規模などが集計されていますが、2017年のフリマアプリによる取引の市場規模は、4835億円(前年比58%増)と大きく伸びています。また、今年度の報告書には「トピック: ECにおけるAI」という節が設けられていて、AIの活用シーンなどがまとめられています。ECでもAI活用が本格化してきました。

2. 楽天ビックの開設

 4月11日、楽天市場内に、家電の通販サイト楽天ビックが開設されました。他の家電販売店/メーカーメガストアよりも少し目立つ程度でしょうか。他の出店者に気をつかっている感じがうかがえます。通販新聞の記事によると、大型家電の設置や配送面などで利便性を向上させるほか、O2O関連施策も強化。さらには注文当日の配送や、両社による独自商品の開発も視野に入れる、とのことです。ビックカメラ側の狙いは、楽天の持つ女性ユーザーを取り込むことで、ネット販売売上高の倍増を狙う、とのことです。両社の出資する合弁会社を作ることから、今後はさらに結びつきが強くなるのでしょう。ネットとリアルの連携という点では、5/12-6/3の期間、ネットでエントリーしておくと、店舗で購入しても「清算時に楽天ポイントカードを提示で+3%ポイント還元」というキャンペーンをしているようです。


3. ZOZOSUITが仕様を完全変更

 スタートトゥディは4月27日、採寸用ボディースーツZOZOSUITを改良したことを発表しました。センサーを利用したものから、マーカーをスマホのカメラで写して計測するタイプに変えました。そして、2019年3月期にZOZOSUITを600万点配布し、スーツ採寸を介してPB「ゾゾ」の関連商品を200億円売り上げる目標を掲げています。
 新型のZOZOSUITを試用した記事が、日経MJ 2018/5/16号の1面に載りました。測定に失敗したり、プロの採寸と誤差が生じるなどの問題があるようです。十分満足している利用者もいて、「もうユニクロ行かなくなっちゃうかも」といった声も紹介されています。


4. リテールAI研究会が「Retail AIレベル5」を策定

 小売業でのAI活用について、流通団体がAI店舗のレベル5定義という記事が、日経クロストレンド2018年6月号に載りました。レベル0は人の関与の割合が100%、レベル5は人の関与の割合が0%で、レベル1→2→3→4→5とAI活用が進むという定義です。現在は、セルフレジや自動発注が進んでレベル1の小売店が多いですが、レベル2「カメラで棚監視・顧客動線分析」の導入が本格化していると分析しています。このようなレベル分けは、今後の技術展開やAI活用のロードマップを考える上で重要と思います。

 

成立したビジネス方法特許より

 特許公報発行日が2018年3月のeビジネス関連の特許は434件でした。それらの中から次の3件をご紹介します。

凸版印刷株式会社 電子チラシ画像処理装置、電子チラシ画像処理方法及びプログラム(特許6295552)
 2018年3月2日発行
 電子チラシ画像から切り抜きを行う操作が行われるのに応じて、切り抜かれた画像を新規登録の購入対象商品に対応付けて記憶する、という仕組み。この特許は電子チラシサイト「Shufoo!」のアプリのチラシメモ機能に関する発明のようです。そのサービスの発表の2日前に出願されています。

東京海上日動火災保険株式会社 & ドコモ・ヘルスケア株式会社  申請管理方法及びシステム(特許6292757)
 2018年3月14日発行
 この特許は、ドコモ・ヘルスケアが提供しているカラダのキモチという健康プラットフォームのサービス商品の見舞金制度に関する発明と思われます。カラダの変調を早期発見して利用者に連絡し受診時には見舞金を支払う仕組み。なお、上記の発表リリース文の中に「見舞金制度については、ドコモと東京海上日動火災保険株式会社が締結している包括的業務提携に基づき、共同で開発」と書かれています。

株式会社マネーフォワード & 株式会社三井住友銀行  振込に付随する情報を管理するためのシステム、方法、およびプログラム(特許6293329)
 2018年3月14日発行
 この特許は、どのサービスの発明かは特定できませんでした。しかし、FinTech分野でネット企業と既存の金融機関との連携がさかんになっていることから、このような共同出願が今後増えると思われます。


 

 

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2017年04月04日
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